先日、我が地元にある港、四日市港の将来の中長期ビジョンについて、いま四日市港のほうで取りまとめ作業を行っていますが、その素案に対する意見書を私が中心になって地元の県議の皆さんや同僚の中川正春さんとともに記者会見をして、発表させていただきました。そのことを今日は少しお話ししたいと思います。
いま日本にはたくさんの港がありますが、その中で3つの地域をスーパー中枢港として、これから重点的に整備していこうということが国の方針として決まっています。
3つというのは、東京港と横浜港、これで1つ。そして、名古屋港と四日市港。神戸港と大阪港です。
この3つをこれから重点的に投資をしていく、バラマキはやめようということで、その基本的な方向は私は評価しています。
しかし、四日市港のビジョンは今回、どうしても四日市の独自性、名古屋港に比べてどういう独自性を出していくかということを中心に書かれていて、私は方向が違うんじゃないかと思ったわけです。
まず、世界の港はいまどうなっているか。私は十数年前に中国の大連港を見て、発想が全く違うということに驚いたのですが、その後、シンガポール、韓国の釜山、それぞれ国家プロジェクトとして、大規模な設備投資をして、ハブ港湾としてコンテナ港を造っている姿を現地視察する機会がありました。
それに比べると、日本の港はまるでオモチャです。規模的に言っても、自動化から見ても、2歩も3歩も後れを取っていると思います。
そういう中で、遅まきながら3つの地域をスーパー中枢校に指定して巻き返そうということですが、そうであれば、より規模の小さい四日市港は名古屋港と完全に一体化して整備していかなければならないと思います。
四日市だ、名古屋だとバラバラでお互い競い合うというのは、全く意味のないことで、いかに機能分担、役割分担するか、あるいは将来的に完全に運営主体も含めて統合していくか。そういったことを念頭に置いたビジョンを書かなければいけないと思います。
そして、さらにもっと踏み込んで言えば、本当に太平洋側に3つスーパー中枢港がいるのかという問題もあると思います。
いま北米にコンテナなどを運ぶときに、多くの船が太平洋を横断するのではなくて、津軽海峡を通って北回りで北米に行っているということを、果たして皆さんご存じでしょうか。
多くの船がそういう形で、距離を短縮しているわけです。そういうことを考え、アジアの時代ということを考えれば、私は太平洋側に3つは多いかもしれないとすら思っているわけです。
そして、逆に日本海側に1つ、自動化されたコンテナのハブ港湾を造るべきじゃないかと。それと太平洋側に1つか2つ、多くても3つ。そういった形で日本の港湾整備をしていくべきだと思っています。
地球温暖化の問題を考えても、港の役割というのは、ますます重要になってきます。日本も競争力のある港をきちんと方向性を持って整備していかないと、中国や韓国の港にすべて依存するということになりかねない。そういう危機感を強く持っているところです。
そして、そういう大きな目で見たときに、四日市だ名古屋だ、あるいは四日市港の独自性などという議論は方向性が違うんじゃないかと、強く思っているところです。
選択と集中。無駄な予算を使わないで、必要なところに集中的に投資をする。そのことが非常に重要だと思っています。
※四日市港長期構想(第一次案)への意見はこちら
※ブログの動画版はこちら
北米に向かう船が、津軽海峡を通る北回りが多いとは、知りませんでした。
大連、釜山、シンガポールの港の写真と、日本の港の写真があれば、比較もより鮮明だと思います。
米国の大金持ちの中には、将来を見据えて、子供の乳母を中国人にして中国語を学ばせ、シンガポールに移住する人もいると、クーリエで読みました。
港というと、利権も絡むでしょうから、簡単にはいかないでしょうが、日本も韓国、中国、シンガポールに後れを取ってはいけないと思います。
自民の総裁できレースのおかげで、国民のための大切な問題が、ほとんど、日の目を浴びない。
毒米問題の方が、公明ロボット自民の総裁選より重要だと思うのに、マスコミは、自民のゴマすりばかり。
自民のできレースは、、国民にとって、迷惑以外の何者でもありません。
それにしても、総裁選騒ぎで、国民が浮き足立っているときに、港の話をブログに冷静に書いている岡田さんというのは、面白い方だと思います。
先見の目がおありになるので、この港の問題は、今後、重要な問題になるのだろう思っています。
投稿情報: 地球人 | 2008/09/16 12:24
今回、岡田さんの四日市港の長期構想についてのコメントを拝読し、きわめて慧眼であると感じました。ビジネスは、人々の需要に応え、価値と雇用を生み出します。そして、日本のビジネスは、輸出・輸入に頼っています。中枢港整備は、ビジネスのための好適な環境づくりという点で、まさに政治が主導権を発揮すべき分野だと思います。
報道などで、日本の港湾は、アジアのハブ港(欧米などとの基幹航路の発着港)として、その整備が十分でないということは聞いていました。岡田さんが指摘されていた大連港や、シンガポール港、釜山港は、規模も、サービスも、コスト削減も、日本の港と比べ、全くレベルが違うようです。仮に日本の港がハブ港から外れると、日本企業は、物流の面でハンデを背負い、低コストでタイムリーに内外の需要に応えることが難しくなると思います。
地球規模の、大きな発想が求められると思います。
太平洋側の中枢港の中では、京浜中枢港、阪神中枢港を評価する声もありますが、世界有数の製造業の集積を後背地に持つことを考慮に入れると、名古屋港・四日市港を含む伊勢湾中枢港が、将来の発展可能性を含め、もっとも重点的に整備されるべきかも知れません。
また、日本海側に中枢港をひとつ設けるという選択肢も、北米航路の面からも、また、東アジア地域の物流拠点としての可能性という点からも、真剣な検討に値すると思います。
オープンな民主主義的議論を通じ、様々な知恵と工夫を引き出し、選択と集中の観点から、もっとも合理的なスーパー中枢港の配置と整備が実施されるべきであると思います。
民主党においては、今後も、現在恩恵を十分受けていない業界、あるいは各業界の2番手3番手の企業によりいっそう働きかけ、国民の需要に応え、ビジネスのための環境づくりをすることを通じて、二大政党制の下の政権交代を実現していただきたいと思っています。
投稿情報: BUSINESS LIBERALISM | 2008/09/17 07:01