実は、今週日曜日(3月8日)に日本を経ちまして、今日金曜日(13日)の朝まで、東南アジアの3カ国(ベトナム、シンガポール、インドネシア)を駆け足で訪れました。
「なぜこの時期に」という話もありましたが、衆議院での予算審議が終わるこの日程でないとなかなか時間が取れないと判断をして、2カ月ほど前から準備をしてきたわけです。
私の最大の問題意識は、この大きな経済危機の中で、例えば輸出比率が17~18%の日本ですら、これだけ大きな影響を受けている。10-12月のGDPは2桁の減少になっている。じゃあ、アジアの国々はどうなっているんだろうか。例えば、ベトナムでは輸出比率は6割を超えているわけです。そういった国々が甚大な影響を受けているのではないか。あるいは、その可能性がこれからあるのではないか。
しかし、世界の経済を見渡した限り、やはりアジアで有効需要を創り出していくしか、この世界の大きな不況を乗り越える手立てはない。EUやアメリカは少し時間がかかるだろうと思っています。まず現場に行って、この目で確かめてきたいということで、この3カ国を訪れました。
ベトナムでは、ハイ副首相やフック計画投資大臣、そして、シンガポールでは、リー・シェンロン首相や首相の父親にあたるリー・クアンユー顧問大臣、あるいはジョージ・ヨー外務大臣などにお会いしてきました。
それぞれの国で、特にベトナムとインドネシアでは、日本企業が進出している現場も見てきました。
例えば、ベトナムではキヤノンとか、自動車向けのハーネスを作っている古河電工の子会社(古河オートモーティブ・システムズ)、インドネシアでは二輪(オートバイ)を作っているホンダの合弁会社(アストラ・ホンダ・モーター)などの現場にも行き、意見交換もさせていただきました。
そして、結論を申し上げますと、私が思っていたほどの深刻な状態ではないのではないかということです。理由はいろいろあると思います。
例えば、確かにベトナムは輸出比率は高いわけですが、社会主義国家として、金融など投機的なお金が入らないような防波堤はあらかじめ出来ているということがあると思います。
そして、これはベトナムとインドネシアに共通することですが、平均年齢も若い、人口も増えている、そういう国ですから、内需が非常に盛んで、例えば、インドネシアのホンダの工場で作られる二輪は、その大半がインドネシアで購買されている。
人口が増えていき、所得も上がっていきますから、二輪車の需要は右肩上がりであると。そういう中で、この国際的な危機の影響は、もちろんないわけではありませんが、非常に限られているということです。
政治家の皆さんとも意見交換をしましたが、目の前に問題があることは認めながらも、それを乗り越えていこうという気迫に溢れている、そういう印象でした。
一方シンガポールは、なかなか大変なところがあります。金融立国ですから、かなり大変なGDPの減少に見舞われています。しかし、蓄えがありますから、それによって景気対策をかなり積極的にやっているということです。
いずれにしても、私自身が感じたのは、やはりアジアで需要拡大をしていく。そのために日本自身も役割を果たしていく。そして、アジアで需要が喚起されるなかで、それが世界全体の経済の底上げにつながる。こういうシナリオしかないんだろうと思います。
そのために、日本が果たさなくてはならない役割はたくさんあります。そして、若いアジアの国々には高いポテンシャルがあるということを、改めて感じました。
こういう時期ではありましたが、現場を実際に見ることが出来て、そこで一生懸命に働いているインドネシアやベトナムの若い人たちの姿を見て、かつての日本もこういう状態だったんだろうな、日本も頑張らなきゃいけないなと改めてそう感じてきた次第です。
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先日、2通のテストメールを、御送りさせて頂きましたので、これが、3通目でしょうか。
何分、不躾なものですので、唐突なメールの御送付でしたが、お許し下さい。
今日、”TV”出演なされることを”民主党”のホームページで知りました。
大変な折ですが、何とかのりきられ、頑張られてください。
投稿情報: 枝 晋也 | 2009/03/14 11:25
岡田さんが東南アジアを訪問され、ベトナムやインドネシアにおいて、内需が非常に強いとの印象を受けたという記事を大変興味深く拝読しました。「アジアの需要拡大で世界経済の底上げを」という岡田さんのコメントは、きわめて重要なメッセージだと思います。
実は、今週末、日本の貿易統計に輸出改善のきざしとの一部報道があり、驚きを感じていたところでした。あれほど落ち込んでいた日本の薄型テレビや自動車にも、わずかながら回復の動きがあるようです。その背景はアジアにおける需要です。中国内陸部ではテレビ・冷蔵庫・洗濯機などの需要が拡大し、中国に続きインドでも自動車への需要が旺盛だそうです。自動車関連の市場調査で有名な、米J.D.Power社も、2009年には、アジアが欧州を抜いて乗用車の世界最大市場になると予測しています。
ただし、アジア諸国が、かつての日本や欧米と同じ石油エネルギーとガソリン自動車に基づく産業システムを追求するとしたら、資源的・環境的制約から、成り立たないことは明らかです。太陽発電・風力発電などの再生可能エネルギーの拡大、そして電気自動車や水素・燃料電池自動車への転換が必要になると思います。
その転換に必要な技術移転や産業協力を積極的に行なっていくことは、日本の役割かも知れません。日本の技術移転や産業協力によって、アジアの需要拡大がスムーズで長期的な経済成長につながるのかも知れません。それが、ひるがえって、日本自身の経済成長も約束するような気がします。
投稿情報: BUSINESS LIBERALISM | 2009/03/14 16:55