しばらくご無沙汰していましたが、マスコミなどでご案内のように、中国からアフガニスタン、パキスタン、そしてインドネシアと、ほぼ1週間回っていました。この間のご報告を少しずつしていきたいと思います。 まず、中国で日中韓3カ国の首脳会談が行われて、私もそれに出席するとともに、バイ(1対1)の会談も中国の楊潔チ(竹カンムリに褫のつくり)外相や戴秉国国務委員や何人かの方と行ったわけです。 そして、その中国からドバイ経由で、アフガニスタンのカブールに入りました。今回のこの計画は、安全上の理由で伏せられていましたが、私が外相就任直後から計画していたものです。
つまり、アフガニスタンとパキスタンへの支援が、私が外務大臣として当面取り組むべき3つの課題の1つであると、私自身明らかにしていたわけで、その政策を組み立てるうえで、やはり一度は現場を見ておきたいという思いで、アフガニスタンとパキスタンに行ってきました。
今日はアフガニスタンの話をしたいと思いますが、アフガニスタンといえば、この30年間、戦争で本当に国民が苦しんできた、そういう国です。
まず、当時のソ連の侵攻があり、そして、それに対して戦ったタリバン。そこには、アメリカはじめいくつかの国々が、それを側面支援したということがありました。その中には、オサマ・ビン・ラディンも含まれていたわけです。
そして、やがてソ連が引き揚げたあと、タリバン政権が出来た。しかし、そのタリバン政権およびタリバン政権がかくまったアルカイダ、そしてオサマ・ビン・ラディン。
それが、アメリカの9・11テロの犯人であるということで、アフガニスタンのタリバン政権に対して、アメリカはじめ各国が攻撃を加えて、タリバン政権を倒した。そして、そういう中で、いまの新しい政権が選ばれたわけであります。カルザイ政権です。
しかし、この30年間、国民から見ると常に戦争があったなかで、国民は本当に疲弊してしまいました。
もともと、地理的な位置から、いろんな国の支配を受けてきた国ですが、しかし、アフガニスタン王国という時代もあって、聞くところによると、例えば、1971年に現在の天皇・皇后両陛下は、皇太子および皇太子妃の時代に、1週間くらいアフガニスタンに滞在された。そういう平和な時代もあったわけです。
そして、素晴らしい自然と農業を中心とした豊かな国。しかし、そういったものが破壊されて、今日があるというわけです。
もちろん、そのタリバン勢力を一掃するためにアメリカは作戦行動を展開していますし、国連でも各国が軍を出しあって活動をしています。
日本もインド洋に給油艦を出すとともに、あるいは、それよりはるかに大きなこととして、アフガニスタン国内での農業支援、あるいは警察官の給与を負担したり、職業訓練校を開設したり、あるいは道路や首都カブールの国際空港のターミナルを建設したりと、様々な支援をしてきました。金額で言うと、約20億ドルの支援をしてきたわけです。
そういうアフガニスタンですが、なかなか平和が確保できない。タリバンの勢いもむしろ増しているという状況の中で、しかし、世界がここでアフガニスタンをしっかりと安定させないと、テロの根源が除去できない。そういう中で、各国が兵士を送ったり、あるいは支援をしたりしているという状況です。
アメリカもオバマ政権になって、力でタリバンを駆除するだけではだめだと。結局、そこに働く家族をしっかり養えるような基盤を作っていかないと、貧しさの中で、給料がもらえるタリバンに人々が走ってしまう。したがって、民生復興支援が重要であるという考え方に、アメリカも変わってきました。
そういう中で、日本が平和に向けてどういう活動ができるか。そのことを、しっかりとこの目で見てきたいと思ったところです。
様々な活動がありました。日本のJICA(国際協力機構)が支援した職業訓練校では、男性も女性も刺繍や電気工事とか、そういったものに一生懸命取り組んでいました。そして、学校にも行きましたが、校舎は既存のビルを使っただけの本当に明かりもないような、あるいは雨が降りこむような、そういう環境の中ですが、子どもたちが一生懸命学んでいた姿も印象的でした。
アフガニスタンの国民には、基本的に罪はありません。国際社会の荒波の中で翻弄されてきたといっても、言い過ぎではないと思います。
この国をしっかり安定させ、テロの根源を絶ち、そして何よりも、そこに住む人々が本当に安心して、少しでも豊かに暮らせるようにする。そのために日本が何をなすべきなのか。しっかりと考えて、答えを出していきたいと思います。
※ブログの動画版はこちら
ご無事での帰国を知ってほっとしました。
お疲れ様のことでしょう。ご活躍を応援しています。
投稿情報: foo | 2009/10/16 10:37
アフガンといえば、遠い昔クシャーナ朝が栄えたところですね。
平和が訪れることを願っています。
医師の中村さんの記事を、前に新聞で読みました。
スイカを栽培したら、その地区は、すごいよい出来で、成功だったそうです。
中東や、シルクロードでは、礼節に対する感覚が、欧米より、日本と似ている気がします。
岡田さんの落ち着いた、紳士的な態度は、欧米でも、中東でも、アジアでも、好感をもたれると思います。
期待しています。
習慣、文化の違いから、いざこざも生まれるでしょうけど、お互いに礼節ある振る舞いで、回避してほしいと思います。
投稿情報: 地球人 | 2009/10/16 12:13
岡田 様
アフガン訪問、ご苦労様です。
外交成果が出ることをお祈りします。
民生支援に振り返られる道も探っているようですが、そうなった場合は、できるだけ政府関係者か議員の方も同行し、一定の期間は現地で支援に参加されることを切に望みます。
この戦争は、「アメリカとテロとの戦い」というより、「アメリカによるアフニスタン侵略戦争」であると位置づけないと、なかなか解決しないと思われます。
9.11テロやアルカイーダの検証を、政府として再考していただきいとも思っています。
いずれにせよ、アフガニスタンに早く平和が訪れることを希望します。
投稿情報: somebody | 2009/10/16 14:25
岡田さんには期待しています
なので、平和に向けた活動ということで関連させていただきますが、チベットの問題を中国国内での問題で中国政府に任せるなどというようなことはどうかやめて頂きたいです
日本でも積極的にこの問題の解決に取り組んで欲しいです
自分も政治を学びたいと思っているのですが今出来ることは意志を伝えることでしかありません
本当にお願いいたします
投稿情報: 高校生 | 2009/10/16 22:43
アフガニスタンやパキスタン等への訪問、お疲れ様でした。
治安が悪い状態なので心配していましたが、ブログを拝見し安心しました。
アフガニスタンは、長い間苦しい生活が続いていますね。
一生懸命に暮らしている人々に平和が訪れますようにと、願わずにはいられません。
明かりが無く、雨が振りこんでくるような学校で学ぶ子供達がいるという現実。
とても辛いです。
我が子にも、このことを伝えたいと思いますし、日本はどれほど恵まれているのか、当たり前になっていないか、一緒に考えてみたいと思います。
投稿情報: naomi | 2009/10/17 06:49
アフガンの問題について詳しいわけではありませんが、素人の目から意見を言わせていただきます。
アメリカに対するテロがなぜ起こったのか、そして今もアフガンでテロが続くのはなぜなのか、という部分をきちんと議論しないと、民生支援の効果も限定的にならざるをえないのではないでしょうか。
帰還兵たちが書いた本の書評に、「自分たちはテロと戦っていると言われてきたが、実は自分たちがテロを行なっていることに気づいた」という内容があったとありました。
アメリカが自国の面子のために、力で押さえつけるということをやめて(=撤退)、違う解決方法を考えない限り、アフガン社会が本当の意味で復興することはないと思います。
テロの根源を絶つには、アメリカ自身が謙虚に内省する必要があると思います。
投稿情報: 山川 敦 | 2009/10/17 21:46
アフガニスタンでの大使館員の外出には外国(リトアニア?)軍隊の警備が付くということを聞きました。また、先日の岡田外務大臣の訪問の際にも外国人の警備員の姿が映像にありました。一般的に日本の在外公館の警備はその受け入れ国の警察なりが行っているようですが、他国の中には自国の警備員もしくはマーシャルポリスが行っている例もあるようです。アフガニスタン、イラクのような治安が悪化している国での大使館等の警備にあたって、どのような形がよろしいとお考えでしょうか?現地に行ってこられた経験を通じてお考えになったことはなんでしょうか?
投稿情報: 小島 充 | 2009/10/18 09:58
今回、岡田さんにおかれましては、アフガニスタンでの外交活動につき、詳しくご報告をいただきありがとうございました。国民の一人として感謝を申し上げます。
岡田さんのアフガニスタン電撃訪問は、日本でも各ニュースがトップで取り上げました。岡田さんの現場主義が外交でも発揮された形だと思います。アフガニスタンで、現地のニーズ・需要を直接聞く機会を得られたことは、今後の岡田さんの主張に大きな説得力を与えるものと思われます。
中東・中央アジア地域の不安定化は、日本はもちろん、世界の産業・経済への阻害要因となります。日本を含む主要国並びに地域諸国が協力し、地域の安定を実現する必要があると思います。とくに、アフガニスタン情勢については、パキスタンやイランも含め、広域でとらえる必要があるように思われます。
これまで、アフガニスタンに関しては、NATOの増派、タリバンの攻勢など、軍事的側面に焦点が当てられてきました。しかし、事態には変化の兆しがあると思います。新たな外交努力が徐々に実りつつあると思います。
まず、現在、アメリカのOBAMA政権は、イランを、アフガニスタン安定化のための国際協力に参加させようとしています。これは、BUSH政権がイランを悪の枢軸と呼び、敵視してきた姿勢からの大きな転換です。イランがアフガニスタンの安定化に寄与すれば、アフガニスタン情勢の改善だけでなく、イランと国際社会との関係改善にもつながります。
また、OBAMA政権は、先月、ミサイル防衛システムのヨーロッパ配備見直しを明言しましたが、この結果、これまでイランに対する制裁に難色を示してきたロシアが、制裁に言及し始めました。米ロ協力の進展は、P5プラス1(国連安全保障理事会の5常任理事国にドイツを加えた6カ国)によるイランとの交渉力を強め、イラン核問題の解決を促進します。今月初めには、アメリカとイランの間でハイレベルの直接対話も実現しました。
さらに、OBAMA大統領は15日、パキスタンへの非軍事支援法案に署名しました。今後5年間で75億ドルの資金がパキスタンの民主化や経済、社会復興に向けられます。
これら各国の外交努力と、それが中東・中央アジア地域にもたらす影響を考えた場合、アフガニスタンの安定化実現に向け、民生復興支援の占める比重は、今後、よりいっそう増すことになると思います。そして、その中で、 日本の役割は、ますます重要になると思います。
外務省・日本政府においては、現地アフガニスタンのニーズ・需要に応えつつ、中東・中央アジア広域の情勢展開を見透し、アメリカの国務省、国防総省とも連絡を緊密に取りながら、アフガニスタンに対する民生支援をよりいっそう充実させていただきますようお願い申し上げます。
投稿情報: BUSINESS LIBERALISM | 2009/10/18 12:21
お帰りなさいませ。わが国の、私たち一般人は、学校で習ったり新聞や本を読んだりして、『中東のほうに平和を』ということは何となくはわかっていても、その実際をよくわかっていないのが現状だと思います。このようにわかりやすく、具体的に説明を(しかもおそれ多くも外務大臣から)受けたのは、30年余の人生の中で初めてです。中東のお話を通して、外交とは、自国の利益になることを短絡的に考えるのではなく、世界の皆が幸せ(安全)になるように…そしてそうなれば自国も幸せ(安全)に…そして互いに利益ももたらされたりして…という順序なのだと強く感じました。国によって、また政治によって考え方も違うのかもしれませんが、このブログを読んで、我らが岡田大臣を、誇りに思いました。。。
昨夜なぜか岡田さんが夢に出てきて、(最近TVもあまり見ませんし、政治のことを考えていたわけでもないのですが、なぜでしょう…)今日初めてブログを拝見いたしました。わりとまじめに勉強してきても、いろいろなことを漠然としかわかっていない私のような一般人が結構多いかもしれません。(だから夢に出てこられて、「もっと勉強せよ」、とおっしゃったのかも……?)お忙しいとは存じますが、また、お時間のございます時に、いろいろ教えてくださませ。。。
投稿情報: asuka | 2009/10/18 22:53
アフガニスタン付近で戦争が活発に起きていることは知っていましたが、なぜ起きたのか、なぜ戦争をしているのかなどを詳しく知らなかったので、改めて事の深刻さを知りました
それから『日本が海外に資金をかなり出している』と学校の授業で習いましたが、これもまたなぜ日本がこんなに出しているのかを知らずに悪いイメージを持っていました
しかしそれは永久の平和を願う日本だからこそ、世界の平和のために大量の資金を出しているんですよね
日本で何不自由なく同じ普通を繰り返している自分は国際社会はどこか他人事という意識がありました
これからもっと考え直してみようと思います
投稿情報: あとふじ | 2009/10/19 00:22
ネットでの報告や主張はすばやく、報道機関を介してより、正確で大変好ましいとぞんじます。是非、他の大臣諸氏にも広め頂けれがばと期待いたします。
今日の報告で現場主義のポリシーが理解できましたし行動に賛意します。
お願いがあります、
映像を視聴させて頂ましたが、カメラポーズが右に傾斜しているので、こちらもどうしても、首をかしげる姿勢になります
ので、癖かも知れませんが、今後総理大臣になって頂ければならない方ですので
何億人の首を守っていたきますよう、失礼いたしました、今後も民主党には期待いたしていますので、健康に留意されて頑張っていただきます様。
投稿情報: onda isamu | 2009/10/19 10:47
ありがとうございます。
カタチだけでなく、心ある政治をしてくれることを民主党に期待しております。
このように、ブログ更新をしてくれることは忙しい中では大変であろうと思いますが、今後もよろしくお願い致します。
投稿情報: 三重県有権者 | 2009/10/19 17:16
岡田 克也 様
こんにちは。いつもブログを楽しみにしています。
先日は、突然のアフガン訪問に驚きましたが、ご無事に帰国されて何よりです。
外務大臣ご就任当時にアフガニスタン、パキスタンに訪問したい、とご発言されて、その実現の成果を期待していたひとりです。
ソマリヤ、DRコンゴなどの国と同じように政府が壊れている、と聞いているアフガニスタンへ、日本がどんなことができるのでしょうか?
貧困、麻薬、旱魃、病・・・そしてタリバン。一般人の頭で考えても、よくわかりません。
ただ、申し上げたいことは、いつも犠牲になるのは、子ども、女性、弱い立場の人たちです。
タリバンは、10歳前後の子どもでさえも兵士として使うことも伝えられています。
いつか必ず、アフガニスタンに平和が訪れることを信じています。そして、岡田大臣なら、有効な支援ができると期待しています。
お体にお気をつけて、がんばってください。
投稿情報: akko | 2009/10/19 21:40
お疲れ様です。いつも拝読しております。
これまでの政権と違い、明確に意見を主張する外交は素晴らしいと感じており期待しております。
ただし、
(1)アフガニスタン支援/給油問題
(2)在日米軍再編
この問題が長期化すると泥沼化しそうな懸念を持っております。
政権としてのコントロールを失う前に、またアメリカとの同盟関係を失う前に、明確な結論を出していただきよう希望します。
これからも期待しておりますので”国益重視”でお願いします。
投稿情報: ねこ | 2009/10/20 19:09
アメリカは終戦後の占領軍時代に日本を『民主化』して成功しましたが、その後単独に近い形で首を突っ込んだ地域紛争では次第に『成功』とは言い難い状況に変ってきました。 朝鮮戦争では南北が38度線で分割されて『引き分け』、次のベトナムは当初南北分割でしたが双方に大きな被害を残した後、最終的に撤退に至りました。 そのベトナムが今は敵国であったアメリカとも仲良く交流しています。
軍事力で押さえつけて『民主化』した訳でない事はアメリカもよくわかっているはずですが、9.11の報復で怒りに任せて再び泥沼に入ってしまいました。
岡田さんも考えられている事と思いますが、いくら中の良いアメリカでも一緒に泥沼におつきあいする必要はないです。 むしろ、アメリカが一刻も早く泥沼から出られる様に範を示してあげたり、アフガンの平和をどうすれば早く実現出来るのか軍事以外で協力をすべきです。
投稿情報: 石田 修二 | 2009/10/20 20:49
アフガニスタンの歴史と現状をわかりやすく述べていただいて、ありがとうございます。アフガニスタンの人々が希望をもって生活を再建できるような、農業やそのほかの産業の育成支援が必要だと感じました。岡田さんが外相になられて、はじめて日本国内でも支援のあり方について、人々がすこしずつ関心をもちはじめていると思います。アフガニスタンで赤ちゃんを抱っこされているようすが、印象的でした。
投稿情報: ハーモニカ | 2009/10/21 09:15
やはり、岡田さんは岡田さんだなあ、とつくづく思いました。危険なアフガニスタンに自ら乗り込み、今、何が必要か視察して対策を練ろうといったひたむきな姿勢をすばらしいと感じます。自分は安全なところから指示ばかり出すような人とは違いますね。外務大臣として、大変な決断を下すときもたくさんあるでしょうが、全員が満足することはなかなかでしょうが、最善の策をお願いします。お体をいたわってください。
投稿情報: 仁美ー応援しています。 | 2009/10/21 16:59
アフガン訪問お疲れ様です。アフガン問題を考えるに当って是非紹介したい活動を紹介したいと思います。福岡を拠点とする「ペシャワール会」です。昨年この会で活動をされていた伊藤和也さんが凶弾に倒れて広く報道されてご存知の事と思います。アフガンの今後の対応を考えるに当って是非この会の活動の内容を知って頂きたく、現地代表の中村哲医師の話を聞いて欲しいと思います。何故医師が砂漠の中の灌漑用水路を建設するに至ったのか?何故伊藤さんは亡くなったのか?「医者、用水路を拓く」に記載されています。アフガンの人たちはカブールのみで生活している訳ではなく援助の届きにくい地方で苦難の生活をしている人たちが多くいる事を忘れないで欲しいと思います。アフガンの人たちはけっして銃弾や爆弾を欲している訳ではなく、明日も未来も自分や家族たちの命をつなぐのに精一杯なのだと思います。カブールへの集中した援助だけでは新たな腐敗を招きかねません。どうかペシャワール会のように草の根で活動されている方々の声を聞いてあげて下さい。アフガンの人々が誇りをもって生きていける様な支援を日本国が行なう事を切に願っております。
投稿情報: がんばれ岡田克也さん | 2009/10/26 23:30