今日(2月8日)は、国会の予算委員会が終日テレビ入りでありましたが、そのあと、ソマリアのアリ・アーメド・ジャマ「外務大臣」(注:カッコ書きは、日本がソマリア暫定連邦政府を承認していないため)と、1時間ほど会談する機会がありました。
ソマリアはアフリカの国ですが、いまは暫定連邦政府があり、アリ「外相」は、その暫定連邦政府の要人としては初めての来日です。このアリ「外相」と、ソマリアの支援について、いろいろと意見交換をしました。
日本としては、過去3年間で8500万米ドル規模の支援を行ってきました。これは決して少ない額ではありませんし、アリ「外相」には、「これは日本の納税者の負担によってなされているので、有効に使ってもらいたい」と、私からも伝えました。
実は日本政府としては、このソマリア暫定連邦政府を承認していませんので、支援金は直接この政府に払うということではなく、UNHCR(国連難民弁務官事務所)やWFP(国連世界食糧計画)、UNICEF(国連児童基金)といった国連の様々な機関を通じてこういったお金を払い、難民・国内避難民の支援とか、雇用の創出とか、治安の向上のためのお金とか、そういう形で使われています。
ソマリアは、いま非常に複雑なことになっていまして、現在は、ソマリアの一部はソマリランドという形で独立した国になっており、ソマリア自身も2つの国に分かれて、プントランドとソマリアで連邦を組んでいるという状況です。
中には、アル・シャバーブという反政府組織もあり、まだしっかりとした政府が形作られていない。政府はあるのですが、いまだに内戦状態にあるという、非常に厳しい状況にあります。
ただ、そういう状況に付け込んで、アル・カイーダとアル・シャバーブの関係も言われていますし、ソマリア沖の海賊とそういったゲリラ組織の繋がりも言われています。つまり、ソマリアが安定するということになれば、こういったテロ組織、あるいは海賊問題の解決につながってきます。
アリ「外相」は、「しっかりと雇用の場を作らなければいけない。そして、軍や警察の力を強めて、反政府組織と戦っていかなければならない」ということを強調されていました。
大変な破たん状態に近いソマリアですが、関係者の皆さんの努力と国際社会の後押しの中で、早く安定することを強く望みたいと思います。
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中東やアフリカの貧しい国がいつまでも貧しいのは、欧米の植民地支配的な態度にあるのが原因です。
中東やアフリカの貧しい国のエリートは欧米の大学に留学し、欧米の価値観を叩きこまれ、欧米のエリートを友にするようになります。
中東やアフリカの貧しい国のエリートは、欧米の利益に貢献することで、欧米に支援され、自国でエリートとしての地位を確かなものとします。
(カリブ海諸国も同じ。)
従って、このような国では市民が政府を信用しなくなり、公務員の間でも腐敗が横行します。市民に対する責任感がないからです。
産油大国サウジアラビアのエリートが民主主義に反対し、国民を抑圧しながら欧米から大量の兵器を購入して、欧米のエリートと親密な関係を築いているのはよく知られています。
そして、他方では、産油国でない中東やアフリカの貧しい国に対しては、サウジアラビアたドバイなどはたいした支援もせず、安い労働力の供給源とみなしています。
もし、自国民のために、民族のために、欧米の経済支配と戦うヒーローがそのような国に現れても、欧米の政府や大企業のエリートからは目の敵にされます。そして、謀略によって失脚させられるというのが、これまでのパターンでした。
そのような不満をもつ市民にアピールすることでアルカイダなどが勢力を伸ばしてきたのが実情です。
日本は米国に、そのような植民地支配的思想や差別意識を捨てて、平和的・経済的な戦略を取るように、さまざまな提案を行う必要があります。
ただし、親イスラエルの米国政府は、イスラムの貧困国への経済支援よりも、イスラエルの安全保障を脅かすイスラム・テロリストに対する武力行使を優先するという姿勢を堅持しています。
従って、日本は米国だけでなく、イスラエルにも働きかける必要があります。
しかし、イランが北朝鮮のように核兵器を保有すれば、イスラエルも米国もとてもイスラム貧困国の支援などに取り組む余裕はなくなると思います。軍事的なイラン封じ込めの動きの中で、さらにイエメンやソマリアの武装勢力が反米・反イスラエル感情を強めることも懸念されます。
そういう事態も想定した日本の外交方針を今から検討しておくべきでしょう。
いずれにしても、岡田外務大臣がそういう地域を歴訪して、米国との仲介役を果たされてもよいと思います。
投稿情報: 一国民 | 2010/02/09 14:03
岡田克也さま、スタッフの皆さま。こんばんは。お疲れ様です。
長いですね・・・ソマリア内戦。
『延々と続く内戦』というのを全く想像できません。住人の方々、どれだけツラいか。
戦争「人命を奪うだけの最低最悪の蛮行愚行」。
「この世でいちばん金かかる必要性皆無の浪費」。
現代人、殆どイデオロギーで動きません。カネで動きます。
だから・・・誰か儲けてる、けっきょく。考えたくもない、儲ける人の存在。
あらゆる意味、あらゆる角度から、戦争がイヤ。理由なく死にたい人間なんて1人もいない。
全ての紛争地帯、小さな子供たちにだけでも安眠が訪れますよう。もう祈るしか。かしこ
投稿情報: 井上彩 | 2010/02/09 18:45
日本にいると、どうしても平和ボケしてしまっていけません。今こうしている時同じくして、同じ地球上で人を殺めたり、ぶつかったり。同じ人間として、心苦しいです。
どの状況でも、まず被害にあうのは、身分・立場の弱い人間。もちろん人に限らず、動植物も被害者です。そんな人達(動物も自然も)を少しでも多く救うことが出来るのなら、是非税金を使って欲しいです。
生まれた場所が違うだけで、私はこんなに幸せだけど、一方で苦しい思いをされてる方がいると思うと、申し訳ない気持ちもします。みんなが幸せになるのは不可能なのでしょうか・・・。
投稿情報: いいちこ | 2010/02/12 16:47