週末を利用して長崎県の佐世保に行ってきました。
2週間前の横須賀に続いて、朝長(ともなが)佐世保市長にお目にかかって、核の「密約」の件についての説明をし、市民の皆様に対するお詫びを申し上げてきました。
佐世保と横須賀は、アメリカの2つの大きな軍事施設がある港ですが、そこには米艦船が入港します。歴代の市長はその艦船に核の搭載はない、と市長として市民に説明をしてきました。
その元になっていたのは、日本政府による「核の搭載があると米国が言ってこない以上、核の搭載はない」という説明です。その国の説明を信頼して、歴代の市長や市議会は、市民に対してそういったものはないと説明をしてきました。
しかし、「密約」の解明の中で、アメリカは「そういった一時的な寄港は持ち込みには当たらない」と考えており、それを明確に分かりながら、日本政府は「アメリカが言ってこない以上、持ち込みはない」と、いわば偽りの説明をしてきました。
そのことに対して、もちろん政権は代わったわけですが、外務大臣として、政府を代表してお詫びを申し上げに行きました。本当に申し訳ないと思い、ある意味では、市民や国民に対して平気で嘘を言ってきたわけですから、日本政府としてもっと早くきちんとした対応をすべきだったと思います。
少なくとも、91年にアメリカの核政策が変わり、東西冷戦が終結によって戦術核が持ち込まれる可能性がなくなった時点において、明確に説明すべきだったと、改めて市長や市議会の皆さんに申し上げました。
さて、その佐世保市への訪問の際に、今回は揚陸艦「エセックス」を視察し、説明を受けました。
揚陸艦「エセックス」は、海兵隊を乗せて被災地や戦地に赴きます。2週間前に横須賀で視察した「ジョージ・ワシントン」と比べて、私は、揚陸艦がこれだけ大きなものだとは思いませんでした。
「ジョージ・ワシントン」は長さが大体330メートルくらいと説明されましたが、揚陸艦「エセックス」は、そこまではいきませんが、やはり300メートル近くを誇ります。
そして、揚陸艦の特徴ですが、そのまま上陸できるホバー・クラフトをおなかの中に積むことができます。
今回視察して非常に興味深かったのは、医療施設が非常に充実していることです。船の中に手術台もいくつかありましたし、緊急の患者を収容するベッドも並んでいました。
これはもちろん、戦地で傷ついた兵士を揚陸艦に引き上げて、そこで手術をしたり治療をすることも想定されますが、同時に、インドネシアでの津波の折、台湾での地震などの災害が起こった際に、この「エセックス」が行って、患者の治療にあたるということもやっています。
そういう意味で、アジア太平洋地域における災害支援に、米軍が力を入れていることも理解しました。ハイチなどでも、米軍の病院船などが話題になりましたが、病院船は足が遅いので、まず被災地に乗り込むのは、この揚陸艦になります。多面的な役割を米軍が果たしていることを、改めて感じました。
折しも沖縄では、大きな集会が開かれました。沖縄県民の皆さんの思いを重く受け止めながら、同時に米軍が日本の安全のために、そして、東アジアの平和と安定のために非常に重要な役割を果たしていることも念頭に置き、限られた時間の中ですが、普天間移設の問題も方向性を出して解決していきたいと改めて感じた次第です。
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外務省HPで、岡田外務大臣が佐世保市訪問の際に、佐世保市長に手渡された、市長や市議会議長からの質問のお手紙に対する外務大臣の回答文書を読みました。こうして実物と同じものを、私たち国民も読むことができると、よりはっきり伝わるものがあると思いました。
そしてそのお手紙を、実際、外務大臣自らが市長に手渡され、お話することによって、市長や佐世保市民の皆さんにも、またはっきりとお気持ちが伝わったのではないかと感じました。岡田さんが謝罪をしてくださることで、この件にはある一つの区切りができるのだと思いました。
「一つの区切り」ということはどんな時も、とても大事なことだと思います。
「沖縄の方々にとっては、まだ戦争は終わっていない」ということを、沖縄に行って、歴史関係の会合に出席された人が強く感じた、といつか聞いたことがあります。
その会合は戦争の内容が主ではなかったにもかかわらず、「沖縄以外の人たちに話す機会が来た。ぜひ、聞いて欲しい!」という圧倒的な沖縄の人たちの思いが、押し寄せてきたそうです。
それで、まず第一に大事なのは、沖縄の人たちの話を、沖縄以外の多くの人たちが、直接、何度でも、時間をかけてでも、聞いていくことなのだ、、と思いました。
何故、それは、今まで十分になされず、あたかも封じられてきたかのように沖縄の人たちだけが「終わらない戦争」を抱え込み続けてきたのでしょうか?
そのことは、同時に、違う意味で、戦争が終わっていないのが、沖縄以外の日本人にとっても同じであるようにも感じたことと、関わりがあるようにも思われます。
沖縄以外の日本人の心にある終わっていない戦争とは、私自身がそうであった、在日米軍の存在に対する知識が曖昧である人が多いことと、またそれと密接な関係があるのでは、と思われる、多くの日本人が持つ「戦争そのものを強く恐れ、憎み、否定する心」に現れていると思います。
「戦争を恐れ、憎み、否定する心」は、普遍的に重要なことであり、世界の平和を目指す時に、日本が大きな役割を果たすことができると考えるのも、私たちの多くが戦後憲法によって生まれたときから身につけてきたそうした一つの財産を持っているからだと思っています。
しかし、そのダイヤのように輝くものを日本人が持っていることを喜ぶ心の陰には、当然その、そもそもの暗い出自が常に顔を覗かせます。そして、それを認めつつも目をそらすことで、様々な思いと共に、私たちの視線は、戦後ずっと曖昧にさまよい続けてきているのではないでしょうか。
その視線の彷徨いこそが、私たちの「終わっていない・区切りのついていない戦争」の一つの姿なのではないかと思います。
大事なことは、守っていかなくてはなりません。そして、視線を定め、何かをはっきりと知り、見極めようとすることで、大事なことが消滅することはありません。視線を定めることに伴って、何か大事なこと、「平和を守りたい心」などが消えたり危機を迎えるような気がしたからこそ、私たちの目は多くのことを直視することから逃げ続けてきたのではないか、という気がしました。
投稿情報: レイ | 2010/04/27 01:13
前略
辺野古基地の案としてポンツーン(海上浮体施設)での滑走路の建設を提案します。
埋立案より環境に優しい桟橋方式でも基地が辺野古に固定化されることで
地元の強い反対は必至でしょう。
これを曳き船で簡単に移動できるポンツーン(海上浮体施設)なら
地元の反対の動きもかなり緩和されるものと考えます。
それにポンツーンの建造を即刻取り掛かることにより基地移転の計画が着実に進行していることを
米国に対しては実感させることが出来、何年か掛かるポンツーンの建造期間中に
ジックリと地元と相談してポンツーンの係留地を決定できるメリットが有ります。
我が国におきましては既に何十年も前に全長460メートルクラスの大型タンカーを建造した実績が有ります。
このクラスのポンツーン(海上浮体施設)を二施設並べることで
千メートルクラス、四施設並べることで二千メートルクラスの滑走路が建設できます。
これ等の施設は全国各地に散在する造船所に分割発注が可能となり
現在冷え切っている地方経済にとって慈雨の恵みとなる経済の刺激策としても
良案かと考えます。
ご検討を宜しくお願い致します。
以上
投稿情報: 瀧川 隆 | 2010/04/27 10:32
今、鳩山民主党政権にとって、普天間移設が、死活問題化している。県外移設を真剣に考えていらっしゃるのでしょうか?沖縄や徳之島の人々の意を汲んであげる必要があるのは、言うまでもない。
私は、東京の最南端 沖の鳥島に
海上ヘリポートを作り、必要なら
陸上部隊を含めて、移設しるのが
良いと思う。住民は、いないので、反対する人は、いない。海上ヘリポートなら、自由な基地設計が可能。
沖ノ鳥島に基地を作ることにより、日本の領土の保全・確保にも
なる。基地のエネルギーは、太陽光・海洋・風力発電など自然エネルギーでまかなえば、よい。さらに、漁業基地や気象基地などを併設してもよい。グアムなど国外への移設は、それなりの困難がともなうが、沖ノ鳥島なら、石原知事も反対しないだろう。5月末まで
の時間的なことも踏まえたら、この案がもっともろいのでは。
投稿情報: 佐橋 正文 | 2010/04/27 13:16
4月25日の沖縄県民大会に県外から個人として参加し、現地の状況を見、現地の声を聞いた上で、各当事者に対して申し上げます。
はっきり申し上げて、現在の普天間基地をめぐる、日米政府間および沖縄県との交渉を見ていると、全く交渉になっていないという印象を受けます。
まず、純粋に軍事的観点から言えば、海兵隊はグアム・テニアン・サイパンに移るべきです。沖縄の基地は、敵地に近く、中距離ミサイルで簡単に使用不可能になるからです。また、沖縄の海兵隊は、中東を含め、全世界へ出動するため、グアム・テニアン・サイパンへ移っても、作戦行動上、沖縄との差異はありません。さらに、沖縄海兵隊基地の主要目的が訓練である以上、沖縄に海兵隊が駐留する必然性もありません。
アメリカ軍およびアメリカ政府は、なぜ普天間でなければならないのか、なぜ海兵隊が沖縄に駐留する必要があるのか、本当の理由を開示すべきだと思います。かつて沖縄戦で多くの死傷者を出した歴史にこだわっているのかも知れません。中国の影響力拡大を警戒しているのかも知れません。軍が思いやり予算を必要としているのかも知れません。海兵隊と陸海空軍との縄張り争いかも知れません。沖縄がリゾート地なので、環境が好適なのかも知れません。いずれにせよ、アメリカ軍およびアメリカ政府が、本当の理由を開示しない限り交渉は進みません。
また、日本政府は、単に沖縄とアメリカの言い分を仲介するのでなく、日本とアジアの安全保障という大局的観点から、明確で責任ある主張をすべきだと思います。現在の、民主党政権を見ていると、普天間基地の移設先をどこにするかだけしか考えていません。政府は、政治、外交、軍事、財政、経済、国民世論、等々を総合的に勘案し、20年先、50年先を見透して、日本とアジアの安全保障にとって、どういう体制を取ることがもっとも好適か主張すべきです。場合によっては、普天間基地だけでなく、全ての海兵隊基地を国外へ移設することがもっとも日本とアジアの安全保障に資するかも知れません。それが、アジアにおける軍縮の引き金になるかも知れないからです。逆に、基地移設にもかかわらず周辺各国が軍拡を続けるようであれば、政策修正ないし政権交代で対応すれば良いことです。主権者である国民が判断します。
二大政党制の下、政権政党は、前政権と異なった政策を打ち出すべきです。それが、主権者である国民に選択肢を与えることになるからです。国民に対して模範解答を与えようとすることは、官僚的な傲慢な発想だと思います。民主主義の下、政治は、選択肢を提供するだけです。判断し、決定するのは国民です。
最後に、沖縄の皆さんも、本当に何を求めているのか、もっと明確にすべきだと思います。本当に普天間基地を県外・国外に移設させたいのか、それとも、単に反対のポーズを示して補助金を引き出せば満足するのか、本当は何を求めているのか明確にすべきだと思います。もし、本当に、普天間基地を県外・国外に移設させたいのなら、単なる県民大会にとどまらず、ゼネストの実施を検討すべきだと思います。
いずれにせよ、普天間基地交渉に関わる各当事者が、もっと本当の意図・意思を明確にし、自分たちがどういう状況にあるかを開示しない限り、交渉は進まないと思います。それぞれの当事者が、本当の意図・意思・状況を開示し、その上で、相手側の利害・事情も考慮しながら、協力して、もっとも好適な解決策を見出すことが、民主主義の下での、唯一の問題解決の方法だと思います。
投稿情報: Publius | 2010/04/27 14:46
普天間の問題が、一日も早く解決する事を願ってます。
飛行機嫌いの私でも、決死の覚悟で(笑)2回ほど沖縄へ行った事があります。
ちょうど沖縄サミット開催の年だったので、特に町全体がピリピリしてて、異様でした。
でも、自然のおもてなしが最高で、また行きたいと思いました。
これ以上自然を壊して欲しくないという感情と、それでも日本を守ってくれている基地を無くすのは・・・という気持ちと、入り交ざっていてとても複雑です。5月末でなどと答えを焦らず、もっとじっくり考えて欲しいです。
支持率は落ちてますが、民主党になってから国が良くなっている事に国民は気付いていないのでしょうか?仕分けだって、時効廃止だって、自民党は「やらなきゃ・変えなきゃとは思うんだけどねぇ~」と実行には移さないでここまで来たわけです。それをちょっとずつでも変えてくれてるのに、この支持率には疑問です。
目の前の暮らしがすぐに良くなるなんて甘い事を考えているから、「裏切られた」「詐欺だ」なんていう発言が出てしまうんですね。
この不況を乗り越えるのに、国民も頑張らないといけないんだと思います。
いろんなことを言われても、負けずに頑張ってください。私は民主党も岡田外相も応援してます。
投稿情報: いいちこ | 2010/04/28 10:41
初めまして石坂です。
外務大臣としてのご活躍を報道ベースでたびたび見聞きしますが、普天間問題について三つ意見を書かせて頂きます。
一つは沖縄に駐留する米海兵隊は我が国の安全保障だけでなく北東アジア全体の秩序の維持の為にも必要な存在です。
朝鮮半島、台湾海峡に睨みを利かせる事が出来る沖縄は軍事的に考えて最高のロケーションです。一部に弾道弾の攻撃に晒されるから沖縄に駐留する必要性がないという意見もありますが、すでに沖縄には米陸軍のPAC-3部隊が配備されていますし、グアムも沖縄も弾道弾の攻撃に晒される危険性は同じですので、「だからグアムに移転すべし」という事にはなりません。
二つ目は辺野古を含む沖縄県の中でも辺野古移転に理解のある県民がいる事を忘れないでください。私の早大時代の先輩に沖縄で建設会社の役員になっておられる方がいますが、その方曰く「普天間移転はここ十年で最大の公共事業であり、県内移設を覆されたらたまったもんじゃない」との事でした。
三つめは沖縄に配備されている自衛隊を強化して、今まで米海兵隊に依存していた部分を幾らか肩代わり出来る体制を構築すべきであり、今年の防衛大綱改定に反映させるべきです。「対等の日米同盟」を謳うのであればそれ位の自助努力をすべきだと考えます。
長文失礼しました。岡田外相の今後のご活躍期待しております。
投稿情報: 石坂 | 2010/04/29 19:39
4月25日に沖縄で9万人が参加した県民大会が開催された2日後の27日、アメリカのCFR(Council on Foreign Relations、外交問題評議会)のホームページに、普天間基地移設問題に関し、日米両政府に県外移設の検討を求める論文が掲示されました。同論文を執筆したのは、CFRの上級研究員シーラ・スミス女史です。
政財界・マスコミ界に広く会員を擁するCFRは、アメリカの外交政策にきわめて大きな影響力を持つ超党派のシンクタンクであり、アメリカの歴代政権は、共和党政権であれ、民主党政権であれ、CFRの提言に最大限の留意を払ってきました。
そのCFRが、今回、とくに普天間基地移設問題を取り上げ、鳩山首相は沖縄の負担を軽減する必要性があると指摘した上で、アメリカ政府にその協力を求めたことは、きわめて大きな意味があると思います。
アメリカは、民主主義の国であり、政治・ビジネスの要請が、軍事的要請よりも優先します。
日本政府は、ペンタゴン(米国国防総省)の交渉担当者との議論だけに気を取られるのでなく、より大局的なアメリカ政財界の動きに注意を向けるべきかも知れません。
そこから、普天間基地移設問題解決の方向性も自ずと明らかになるような気がします。
シーラ・スミス女史の4月27日付けの論文“Reality Check on Futenma Relocation”は、次のURLで参照出来ます。
http://blogs.cfr.org/asia/2010/04/27/reality-check-on-futenma-relocation/
同論文の要旨を伝える琉球新報の5月5日付けの記事は、次のURLで参照出来ます。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-161680-storytopic-53.html
投稿情報: BUSINESS LIBERALISM | 2010/05/07 22:21