昨日、久しぶりにソフトバンクの孫正義さんとお会いしてお話をしました。
孫さんとの出会いは、そもそも約30年前になります。当時のソフトバンクはいまとは全く違った仕事、つまり、当時パソコンが出現して、そのパソコンのパッケージ・ソフトウェアができて、そのパッケージ・ソフトウェアを販売するための一種の問屋機能を担っていました。
ですから、なぜソフトバンクという名前になったかと言うと、まさしくコンピューターのソフトを預かり、小売店にそれを流通させるという意味で、ソフトバンクという名前ができたと私は思っています。
そういった会社ができたまさしく創生期に、私は通産省におり、仕事の関係で孫さんと知り合いました。他にも、当時アスキーとかコーエーといった新しい会社が出てきて、いろいろな経営者の方とお目にかかりましたが、その1人が孫さんでした。
当時は、もちろんいまと比べればはるかに小さな企業で、そういうなかで、孫さんの他とは違う「すごさ」は当時から感じられたのですが、いまほどの大きな会社になるとは、私も想像していませんでした。
汐留の大変立派な本社にお邪魔をして少し話をしましたが、いま孫さんが非常に関心を持っておられる話の1つに、自然エネルギーがあります。自然エネルギーの話はあまりなかったのですが、今回彼が語ってくれたのは、電力の送電線について、いまヨーロッパで取り組んでいるように、国境を越えて送電線を張り巡らせるという構想です。
例えば、海外のどこかで自然エネルギーで発電したものを、その送電線を日本までつなげて日本に持ってくるとか、あるいは、アジア全体でそれを分かち合えるようにするとか、そういった構想を語ってくれて、彼の非常に大きな構想力に改めて感心したところです。
いずれにしても、これから日本が夢を持ってしっかりと前進していくために、そういった大きな構想がいくつか必要だなと改めて感じました。
普段目の前の仕事にとらわれていると、なかなかそこまで目が行きませんが、非常に興味深い1時間を過ごさせていただきました。
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【再生可能エネルギー普及拡大のための民主党の役割について】
1. 再生可能エネルギーを推進する産業との連携
今回、岡田さんが会われたソフトバンクの孫さんは、現在、各地の県政府と協力し、全国10カ所でメガソーラーを建設するという計画を推進しています。孫さんは、経団連の理事としても、再生可能エネルギー産業の振興を通じ、日本経済を復興させ、雇用を増大させることを主張しています。
そこで、鍵となるのが8月末に成立した再生可能エネルギー法です。再生可能エネルギー法は、メガソーラーに対し全量買取制度の適用を認め、その促進を法定しました。しかしながら、肝心の買取価格が未定のままです。そのため、採算の計算が出来ず、孫さんのメガソーラー建設計画も現在停止しています。
買取価格は、第三者委員会が来年初頭に決定することになっています。民主党においては、再生可能エネルギーを支持する委員の選定を進め、高い買取価格を設定し、再生可能エネルギーの普及拡大を実現することが求められます。そうすることが、景気の回復と雇用の拡大を生み、次期国政選挙における国民の支持拡大につながります。
また、旧来型産業の経営者は自民党との結びつきが強いです。そのため、民主党は、メガソーラーを推進するソフトバンクや、半導体・TVから太陽電池・蓄電池へと経営の柱を転換しつつあるPANASONICなど、再生可能エネルギー産業との連携を強めていくことが大切です。そうすることが、より強い政治基盤を固めることにつながります。
2. 再生可能エネルギーを推進する県政府との連携
産業界で再生可能エネルギー推進の先頭に立っているのが孫さんですが、実は、その孫さんをその気にさせたのは、神奈川県の黒岩知事です。黒岩さんは、今年春の神奈川県知事選挙の際、大震災の結果生じた電力不足を解決するため、4年間で、神奈川県内の200万世帯相当分に太陽電池パネルを設置することを主張、当選しました。
黒岩さんは、太陽電池パネルの大量発注により価格の低減をすすめることを提案、その実施のため、「神奈川ソーラーバンク」を来年3月までに設立すると明言しています。
ここでも、鍵となるのが再生可能エネルギー法です。実は、8月末に成立した同法は、住宅用太陽電池により発電された電力に対しては、余剰買取しか認めず、全量買取を認めませんでした。そのため、黒岩知事は、4年間の太陽電池設置の目標を200万世帯相当分から55万世帯相当分に引き下げざるを得ませんでした。
しかしながら、黒岩知事は、現在、中央政府に対し、「かながわグリーンイノベーション総合特区」の認可申請を行なっています。これが認可されれば、神奈川県政府は、県内において、住宅用太陽電池により発電された電力に対して全量買取を適用し、さらに買取期間を10年間から20年間に延長することが可能となります。
民主党においては、神奈川県の「かながわグリーンイノベーション総合特区」の認可獲得を支援し、地方政府レベルにおける再生可能エネルギー普及拡大を促進することが求められます。
3. 再生可能エネルギー普及を促進する法整備の実施
a. 蓄電促進法
太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、昼夜の日照差や天候の影響を受け、不規則性があるため、蓄電による出力の平準化・安定化が必要になります。
すでに太陽光発電、風力発電が広範に普及しているドイツでは、蓄電の必要性がすでに何年間も議論されて来ました。
ドイツの固定価格買取制度では、各家庭が太陽電池により発電した電力を自己消費すると、ボーナスが支給されます。そのため、各家庭は、自己消費を増やすため、蓄電池の設置を進めます。ドイツでは、さらにより包括的な蓄電促進法の制定も議論されています。
日本は、世界で最も優れた蓄電技術を有します。次世代産業の中核となる蓄電技術を育成し、再生可能エネルギーの普及拡大を促進するため、日本においても、自己消費ボーナスを含む、包括的な蓄電促進法を制定することが求められます。
b. 市民ファンド・市民共同出資による太陽電池パネル設置促進法
ドイツでは、固定価格買取制度の下、市民共同出資による太陽電池パネルの設置が、安全かつ高利回りの投資として人気を呼び、結果として、世界一のパネル設置数につながりました。
市民ファンド・市民共同出資による太陽電池パネル設置は、日当たりの良くない家や集合住宅に住む方々も出資出来るため、太陽光発電のすそ野を広げ、不公平感の解消にも役立ちます。
民主党においては、市民ファンド・市民共同出資による太陽電池パネル設置を促進するため、優遇税制導入やファンド設置手続の簡略化など、法的支援を進めることが求められます。
市民ファンド・市民共同出資による太陽電池パネル設置は、各地の労組やNGOが推進母体となることも考えられます。そのため、その法的支援は、労組やNGOなど、民主党の伝統的政治基盤を強化することにつながります。
以上の再生可能エネルギー普及拡大の各政策を民主党が進めるにあたり、党地球温暖化対策本部長を長年務められ、民主党において誰よりも再生可能エネルギーに通暁されている岡田さんの力が非常に重要と思われます。
岡田さんにおかれましては、ぜひ民主党を通じ、そして、再生可能エネルギー促進議連を通じ、再生可能エネルギーの普及拡大を進め、景気回復、雇用の拡大を実現し、次期国政選挙における民主党に対する国民の強力な支持拡大へつなげていただきたいと思っています。
投稿情報: BUSINESS LIBERALISM | 2011/12/05 06:21