先週(12月18日~23日)、アメリカに行ってきました。
まず、18、19日の2日間、サンフランシスコに行き、シリコンバレーを回ってきました。これは、日本にいる米国のルース大使から、かねがね一度シリコンバレーを見ないかと言われていて、そのお誘いに乗る形で訪問しました。
ルース大使は、大使になる前にまさしくシリコンバレーの様々な企業、グーグルやフェイスブックも含めた企業と早い段階でコンタクトを取り、そういった企業を育て上げる弁護士事務所の共同経営者でした。
話には聞いていましたが、シリコンバレーには新しい発見もたくさんありました。
1つは、シリコンバレーというと、どうしてもグーグルやアップル、フェイスブックといったIT関係の企業を思い浮かべてしまいますが、新エネルギーやバイオなど、いろいろな技術を持ったベンチャー企業が活動しているということです。
もう1つは、そういったベンチャー企業が育っていくための、法律的あるいは経営的なバックアップを法律事務所や会計事務所が担い、スタンフォード大学やカリフォルニア大学バークレー校などで、そういった種が生まれ、いろいろな国から新しい種を見つけるために、多くの人がそこにいること。つまり、そういう仕組みが出来上がっているということだと思います。
日本も同様のものがあれば素晴らしいと、若者にもいろいろな夢を持ってもらうことができるのではと思いますが、なかなかこれだけのものを作るのはそう簡単ではないのではないか、正直そう思いました。
ちょっと気になったのは、会話の中でインドや韓国の企業は、このシリコンバレーで新しいベンチャーを探すために様々な努力をしているが、日本企業の影は薄いというものです。
日本にはそれだけの種があるのだから、わざわざシリコンバレーをあてにする必要はないという意見もあるかもしれませんが、最近の日本企業の韓国企業との競争状況を見ると、そうも言っていられないのではないかと思いました。
日本企業で、ベンチャー企業とタイアップした最近の例で言えば、トヨタ自動車が電気自動車のテスラ(Tesla)とともに、電気自動車を作るという提携を発表したことです。
普通に考えてはなかなか出てこないような、全く新しい技術の種がシリコンバレーにはたくさんあって、それを企業が起業し、一定の塊ができたところで――もちろん、そのまま上場するものもありますが――大企業や既存の企業が丸ごと買収して、自分のものとして更に育てていくというやり方も行われています。
いずれにしても、なかなか刺激的なシリコンバレーでした。
もう1つは、ワシントンD.C.に行って、私のライフワークの1つでもある核軍縮・不拡散についての議論、米国議会の状況、米国が最近打ち出している戦略「エア・シー・バトル」という概念についての議論、そして、北朝鮮の金正日総書記が亡くなった直後だったので、そのことについて、旧知や今回初めてお会いするシンクタンクの皆さんや、元政府関係者の皆さんと意見交換をしてきました。
たまたま玄葉外務大臣と入れ違いでワシントンに入りましたので、政府関係者は避けて、シンクタンクの皆さんや、国会議員であればウェッブ上院議員やイノウエ上院議員、旧知のスコウクロフト元大統領補佐官、ハムレCSIS(戦略国際問題研究所)所長、タルボット・ブルッキングス研究所所長、その他、核の専門家の皆さんなどと意見交換をしてきました。
また、改めてお話ししたいと思いますが、非常に刺激的でした。国内ではどうしても内向きになり、ねじれ国会とかいつまでにこの法案をとか、予算委員会の審議とか、そういうことに心血を注いでいると、たまには視野を大きく広げ、グローバルに物事を考えている人たちと意見交換をすることは大変有用だなと思いました。
以前は、私は年に1回は必ずワシントンD.C.を訪れることにしていましたが、ちょっと途切れていましたので、また、少なくとも1回は行かなければいけないなと改めて感じたところです。
※ブログの動画版はこちら
ごぶさたしております。うーんシリコンバレーは魅力的ですね。ルース大使というそういう方がおられるんですね、スタンフォードやカリフォルニア大学の人らもおおいのですね僕は大体MITやハーバードで占められてるのかとおおもいました。勉強になりましたありがとうございます。
投稿情報: D・M | 2011/12/28 14:59
興味深いお話でした。万事内向きの日本において視野の広い岡田さんの存在は頼もしく感じられます。
今回気になったところはウェッブ上院議員と意見交換をされたという記述です。上院軍事委員会委員である同議員とどんなお話をされたかはすぐにお話しできるわけではないでしょうから、何もお訊ねしません。ただわたくしたちにとってより良い状況に繋がるものであること願っています。
今年は日本にかぎらず世界中で庶民が苦しんでいるニュースばかりが多かったようです。来年は良い年になりますよう祈っています。
よいお年をお迎えください。
投稿情報: さんぴん茶 | 2011/12/28 17:46
民主主義・物質・情報が変化する中で、その表面を追う事だけでもいろいろな富を手に入れることが出来た時代が終わり、その本質を見極める時代が来たような、日本という国がやっとそんな国になるための時が来たように思います。日本のリーダーとしての岡田さんに期待しています。
投稿情報: baryon | 2011/12/29 03:45
現在、アメリカでは、太陽電池パネルの価格低減にともない、太陽光発電の爆発的な普及が始まる様々な条件が整い始めています。
たとえば、最近のもっとも注目すべきニュースとして、シリコンバレーに近いサンマテオに本社のある大手太陽電池設置会社SOLAR CITYによる「SOLAR STRONG」計画の復活があります。
同計画は、今後5年間で、全米の軍人向け住宅12万世帯に太陽電池パネルを設置するというもので、実現すれば、アメリカにおける住宅用太陽電池の数が一気に倍になるという大規模なプロジェクトです。
しかしながら、同計画は一時頓挫していました。というのも、連邦政府から補助金交付を受けていた太陽電池メーカーが昨年8月に破綻し、その影響を受け、「SOLAR STRONG」に対する補助金交付が取りやめになってしまったからです。
ところが、アメリカビジネスの底力はここから発揮されます。補助金交付中止の決定を受け、SOLAR CITYは、すぐに大手商業銀行・投資銀行との交渉を開始、事業計画・採算性の徹底的な説明を行ない、資金供給の約束を取り付けることに成功、なんと政府の支援なしで、民間だけで「SOLAR STRONG」を実施するということになりました。
アメリカでは、ベンチャーキャピタルやファンドなど、新しいビジネスのための資金供給の仕組みが整っています。太陽光発電の事業性・採算性が実証されれば、大量の資金が一気に流入することが考えられます。
一般的に、政府・与党の大切な役割のひとつは、新しい成長産業・次世代産業育成のための環境づくりにあると思います。制度的・法律的環境が整えば、そして、その下で事業性・採算性が実証されれば、ビジネスは自律的に発展・成長して行きます。
昨年12月2日付の岡田さんブログ(http://katsuya.weblogs.jp/blog/2011/12/孫正義さん夢のある大きな構想力に改めて感心.html#more )への投稿でもお伝えさせていただいたように、日本においては、当面、本年7月から施行される再生可能エネルギー法の下での固定買取価格を高く設定することが鍵になると思います。
また、蓄電を促進する法律、ならびに市民ファンド・市民共同出資による太陽電池設置を促進する法律の制定も大切です。
そして、これら再生可能エネルギー普及拡大の環境づくりを与党民主党が進めるにあたり、党地球温暖化対策本部長を長年務められ、民主党において誰よりも再生可能エネルギーに通暁されている岡田さんの力がきわめて重要と思われます。
岡田さんにおかれましては、ぜひ与党民主党を通じ、そして、再生可能エネルギー促進議連を通じ、再生可能エネルギーの普及拡大を進め、景気回復、雇用の拡大を実現していただきたいと思っています。
参照資料:
SolarCity's Press Release of November 30, 2011, "SolarCity and Bank of America Merrill Lynch Move Forward with Project SolarStrong, Expected to Build More than $1 Billion in Solar Projects"
http://www.solarcity.com/pressreleases/104/SolarCity-and-Bank-of-America-Merrill-Lynch-Move-Forward-with-Project-SolarStrong--Expected-to-Build-More-than-$1-Billion-in-Solar-Projects.aspx
BUSINESS LIBERALISMこと松崎宣明 (NPO法人 太陽光発電所ネットワーク(PV-Net)会員)
(なお、上記投稿は個人の見解であり、所属する組織・団体の見解ではありません。)
投稿情報: BUSINESS LIBERALISM | 2012/01/05 14:21
2012年の国際環境を想察した場合、日本の安全保障に影響を与える二つの大きな懸念材料があると思います。ひとつはイランの核開発問題です。もうひとつは北朝鮮情勢です。
仮にイランの核開発・ミサイル開発が進んだ場合、イスラエルがイランの核施設に対し先制攻撃を行う可能性が指摘されています。中東の紛争および軍事的緊張は原油価格の高騰を招き、回復しつつある世界経済に打撃を与えます。
一方、北朝鮮も核開発・ミサイル開発を進めています。仮に国内情勢が流動化した場合、指導部への求心力を強めるため、北朝鮮が対外強硬政策を取る可能性があります。東アジアにおける紛争は、世界経済成長のエンジンである東アジアの経済活動を損ないます。
いずれの場合も、実際に紛争が起こったときの人的・物的損失は甚大なものとなります。そのため、最悪の事態への準備を整えるとともに、外交手段を駆使し、紛争の発生を未然に防ぐことが求められます。
これまで、イラン・北朝鮮に対しては、核開発をやめさせるため、経済制裁が行われてきました。しかしながら、未だ十分な成果が得られているとは言えません。
実際、過去、北朝鮮が黒鉛減速炉の活動停止・解体に合意したのは、代替軽水炉の提供が提案されたときでした。このため、今後、イラン・北朝鮮からより協力的・積極的な姿勢を導き出す外交手段として、核開発の中止と引き換えに代替エネルギーの提供を提案するということが考えられると思います。
現在、イランと核開発問題で協議をしている、いわゆるP5+1のメンバーのうち、中国、アメリカ、ドイツは、太陽電池パネルの主要生産国です。
一方、北朝鮮の核開発問題で協議をしている、いわゆる6 PARTIESのうち、中国、アメリカ、韓国、日本が、太陽電池パネルの主要生産国です。
そのため、今後協議の過程において、イランに対し、そして、北朝鮮に対し、核開発中止と引き換えに、太陽電池パネルの無償援助を行い、さらに、それぞれの国内に太陽電池パネル製造工場の建設を行うという提案をすることが考えられると思います。
この提案が成功すれば、仮に軍事紛争が発生した場合に比べ、はるかに低いコストで問題を解決することが出来ます。また、イラン、北朝鮮を国際社会・国際経済に組み入れることが可能となり、それは、それぞれの国の改革開放を促進します。地域における再生可能エネルギー普及を促進することはいうまでもありません。岡田さんが提唱されてきた北東アジア非核兵器地帯構想への道をひらくことにもつながります。
岡田さんは、前外務大臣・元民主党代表として、各国要人と親交をお持ちです。中国の現指導部はもちろん、次期指導部を担う習近平副主席、李克強第一副首相とも親交をお持ちです。ドイツのヴルフ大統領とは長年にわたる親交をお持ちです。イランのモッタキ前外相とも親交をお持ちです。クリントン米国務長官とも親交をお持ちです。
岡田さんにおかれましては、ライフワークのひとつである核軍縮・不拡散のため、そして、もうひとつのライフワークである再生可能エネルギー普及のため、ぜひそのお力を発揮していただけますよう、お願いを申し上げます。
BUSINESS LIBERALISMこと松崎宣明 (NPO法人 太陽光発電所ネットワーク(PV-Net)会員)
(なお、上記投稿は個人の見解であり、所属する組織・団体の見解ではありません。)
投稿情報: BUSINESS LIBERALISM | 2012/01/05 15:21