昨日ハワイから戻って来ました。クリントン国務
長官との日米外相会談を行ったところです。
クリントン長官とは、就任以来9月にニューヨークで、そして11月にシンガポールで、それぞれ1時間ほどの会談を行ってきましたが、今回も80分間の非常に充実した良い会談だったと思います。
最初の30分間は日米両国関係について、残りの50分はよりグローバルな課題について議論しました。例えば、アフガニスタン支援、あるいはイランの核問題、そして地球温暖化や核軍縮・核不拡散、北朝鮮といった問題について、日米間でどういう協力ができるかということを話し合いました。
日米の二国間関係につきましては大きな課題は2つです。1つは、言うまでもなく普天間基地の問題です。ただこれは、それぞれ日米の政府の考え方をお互い外交ルートを通じて伝えていますから、そういう意味では分かっているわけです。
アメリカ側はすでに日米合意した今の案、つまり、普天間のキャンプ・シュワブ沿岸部への移設が唯一の案であるという考え方です。そして日本側は、5月までに結論を出す。それまでの間を使って、政府、そして連立与党の中でより良い案がないか検討する。あわせて、現在の案に基づく環境影響調査は行っていく。これが日本政府の考え方ですが、お互いそういったことを直接伝えあったということです。
先送りとか合意に達しなかったとか、いろいろな報道もありましたが、そういうことではなくて、お互いの考え方についてはすでに連絡してあり、そのことを確認しあったということです。
そして、もう1つの課題は、1月19日が日米安保条約改定から50年となりますので、これから約1年間かけて、日米同盟の深化ということについて作業をスタートするということです。
日本及びアジア太平洋地域を取り巻く安全保障環境をどのように認識するかということから始まって、つまり、そこの認識の共有化から始まって、そういう中で、日本とアメリカが同盟国としてどういった協力ができるかということを話し合うための議論がスタートしたということです。全体として、良い雰囲気の中で充実した議論ができたと思っています。
残念なのは、全体80分の中で、最初の30分が両国関係、普天間の問題はさらにその一部だったわけですが、記者の皆さんの質問は普天間基地の問題にかなり集中しました。「北朝鮮やイランといったグローバルな問題について何か質問はありますか」と、むしろ私から申し上げたわけですが、そういったことに関する記者の皆さんからの質問はありませんでした。
少し話が目の前のことに偏りすぎているのではないかと思いましたが、日米同盟は幅広くお互いを必要としながら、議論し、協力していることが伝わればもっと良かったなと思います。
国会が始まりますので、いずれにしてもこれで私の海外出張は一段落すると思います。
去年の暮からほぼ毎週のように、ロシア、トルコ、そして米ハワイと。ホテルは1泊、その前後機中でもう1泊ないしは2泊という強行スケジュールの日程が続きました。ハワイに行ったのだから、もう少しゆっくりしたいなという思いもありましたが、これはやむを得ないことだと思います。
これからも合間を見て週末などを利用して、なるべく現場に足を運んで、そして直接対話をするということをしっかりと進めていきたいと思っています。
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日米外相会議お疲れ様でした。十分な成果が上がったと思います。特にクリントン国務長官から、普天間基地についての結論を5月まで待つとの日本政府の最近の決定を尊重する、また新政権が様々な新しく且つ困難な課題に対処しなければいけない立場にあることを理解している、とのコメントがあったのは嬉しいことです。日本のマスコミには不満が残ります。外交問題をもう少し大局的且つ客観的にみてほしい。戦後長い間の対米関係を正常と考えてしまうことにより、無意識のうちに米国に従属的な考え方に染まってしまっている方々が多いのでは無いでしょうか。
日本及びアジア太平洋地域の安全保障についての共通認識とその為に行う日米同盟の協力についての議論:是非徹底的に行ってください!私が強調したいのは“経済”が安全保障にとって極めて重要であることです。今までの政府は、経済と言うと“物”と“金”の移動しか考えてこなかった。これからは“場所”が重要になってくる。中国におけるグーグル問題が象徴的です。多くの米国企業のアジアにおける方針にも大きな影響があるでしょう。(アジアの何処に本拠地をおくか?勿論日本の各都市であるとの回答を引き出す努力が必要です!)民主主義国家であることは今後ますます“経済”的な財産にもなってくるでしょう。それでこそアジアの富が日本に集中する為の戦略も立てられるのです。
日本と米国は民主主義を信じる国家としてお互いにとって重要なパートナーである。この前提に立って、健全で対等な関係を米国と築くことを期待しています。
PS:ハイチへの援助も迅速にお願いします。
投稿情報: Y浦野 | 2010/01/15 11:14
中国の経済発展がなければ、鳩山首相の論文や普天間の問題が大きなインパクトを持つことはなかったと思います。
非民主主義の独裁国家であっても、米国債を日本以上に買い、上海株式市場が取引総額で東京株式市場を抜くような状況では、米国にとって中国は「金の卵」です。
しかし、中国の独裁政権は日本に対して大きなライバル意識があります。中国は米国に巨額の資金還元を行う代わりに日本には厳しい態度を取れと要求している可能性があります。
その中国の反対のために、日本の国連安保常任国入りも実現しません。拉致問題解決でも中国の協力はほとんどありません。
しかし、逆に日本が社会主義化し、中国と思想的に近付けば困るのはアメリカです。アメリカは日本の社民党や共産党を簡単に認めることはできません。
それに、まだまだ、米中間の経済・文化の結びつきは日米関係に及びません。アメリカはもはや日本を敵に回せないほど日本の経済力の恩恵を受けていますが、日本がアメリカよりも中国と結びつくことは阻止したいと考えています。
アメリカ自身は中国と密接な関係を築こうとしていますが、アメリカを出し抜いて中国に接近する日本の政治家には警戒感を抱いています。
まあ、アメリカの自分勝手な外交戦略ですが、それを理解したうえで更なる日米間の友好に貢献していただきたいものです。
なお、日本からの各国への大使は非常に時間的に余裕のある勤務をしていると聞きますが、大臣だけが毎週の海外出張でダウンするというのも、外務省の考え方に問題があるような気がします。外国の大統領や首相と会うにはこちらから出向く必要がありますが、外相同志の会談であれば、相互訪問や中間国での会談を原則とすべきではないでしょうか。
日本の外務大臣だけが相手国に出向くというのは、少し日本の名誉にかかわるかもしれない。
投稿情報: 一国民 | 2010/01/15 14:58
お疲れ様でした。
記者の質問が普天間に偏っていたとの事。記者会見は限られた時間なので難しいとは思いますが、同じ様な質問ばかりする記者の質問を減らし、会談の項目と各々の概要と感想を自らお話しする事はできないものでしょうか?
ちなみに、戦後、初めてと言って良い程、米国と対等に渡り合っているお姿に敬意を表します。応援しています。
投稿情報: 渡部 | 2010/01/15 22:21
ご無沙汰しています。実はパソコンの調子が悪かったので、長くブログを見せていただくことができませんでした。久しぶりに、拝見して大変なことがたくさんあったこと、それらに対して誠実に説明や対応をしていらっしゃったことがよく分かりました。私はただただ、「ご苦労様です」としか言えませんが、お体を大切にがんばってください。
投稿情報: ひとみ応援しています。 | 2010/01/16 01:03
過密スケジュールの海外出張お疲れ様です。素人のボクでも会談の内容がとてもわかりやすく助かります。確かにマスコミの目の前の話題にだけ偏るのは、よくないですよね。一国民のしても、偏らない透明感のある話題をマスコミに期待します。
投稿情報: テシモン | 2010/01/16 01:06
記者が普天間問題ばかり聞くので、北朝鮮やイランについての質問を催促したのには、感じるものがありました。日本の新聞やテレビは、普天間問題が日米関係を崩壊させるような報道をしていますが、日米関係をもっと広い視点から分析してもらいたい。さらに、将来の日米関係への提言があってしかるべきだと思います。岡田さんには、そういう意味でも、日米関係の方向性、日本の外交方針への考え方を、どんどん発信してほしい。
ハイチ地震について、救援活動が遅すぎます。岡田さんは、状況を把握してから行動するのは間違いではないと言っていましたが、その間にどんどん犠牲者が増えています。医療隊の前に救助隊を送るべきでした。さらに、日本の救助隊の充実を望みます。自衛隊の一部を救助隊として組織して、陸海空に次ぐ第四の自衛隊のような存在として、大きな救助組織を作ってもらいたい。これは、海外の災害に対する救助というより、国内の災害にすぐ対応するための組織ですが、もちろん海外にも派遣できるでしょう。災害に対する備えに力を尽くしてください。
投稿情報: ろく | 2010/01/16 13:10
いつも楽しみにブログを見ています。
今後の日米関係のために、知っておきたいと思います。
海兵隊は守る軍隊ではなく、攻めるための軍隊なので、抑止力にはならないのではないでしょうか?
日本に攻めてくる無謀な国があったとしても、最初の攻撃はミサイルと空爆による攻撃なので、どんな軍隊がいても破壊は免れないと思います。それでも沖縄に米軍基地があり、海兵隊を駐留させる意味がわかりません。
仮に海兵隊が抑止力として、ミサイル打つなら、海兵隊が攻撃するぞという脅しをしても、もともと無謀な国は、自爆的な行動をするものなので、今後の日米安保や、日本の軍事力は、ミサイル攻撃と空爆に備えるものに変えたほうが国民は安心するのではないかと思います。
ミサイルと空爆を防ぐ事が国防だと考え、決して他国に日本から戦争を仕掛けないのであれば、横田・厚木・横須賀の基地も不要だし、沖縄の海兵隊も不要なのではないでしょうか?
投稿情報: 綿引隆一 | 2010/01/16 15:18
ワシントンポストにこの会談後のクリントン長官のコメントのトーンが変わり、日本政府の考え方を理解し始めた、という記事があり、このブログで岡田大臣が会談をどのように掲載されるのかを楽しみに待っておりました。
ワシントンポストの記事は岡田大臣の要約のようにアジアの安全保障の枠組みの中で在留米軍の意味、場所の問題を解決するという点で一致しているように思います。
記事にはアメリカ側が日本政府の中国への接近について懸念するコメントを提示した際に、逆に岡田大臣がアメリカこそ先にアジアの最重要パートナーを日本から中国に移していますね、と切り替えしたやりとりもあり、これは見事な切り替えしでしたね。
クリントン長官はその後のアジア歴訪をハイチの地震のせいでキャンセルしましたからタイミングも運がよかったように思います。
外交は会話の継続が最重要ですので、これからもがんばって飛び回り、そのお話をこのブログに掲載してください。
投稿情報: 小森広隆 | 2010/01/16 23:17
昨年の11月6日の国会で、岡田さんが、「安保条約」と「安保体制」の定義をきちんとしなければ、議論が成り立たない、ということで、「安保条約、それより広い概念としての安保体制、さらに大きい概念としての日米同盟がある。」と説明してくださって、それがとても図式的で分かりやすく感じたので、下のようにメモしていました。
①日米安保条約→②日米安保体制→③日米同盟
このうちの、①と②は安全保障についてで、①は主に日本と極東についてのことで、②になると、アジア太平洋全体の平和と安定に範囲が及び、③の日米同盟になると、内容が安全保障の枠を超えて、例えばミャンマーで公正な選挙ができるようにするというような政治的な問題を日米が協力して取り組んだり、あるいは経済や文化にまでもその対象が及び、アジア太平洋、あるいは東アジアの中で、平和で豊かな地域づくりに大きく貢献することを目指すものである、、、。ということも、テレビや記者会見で岡田さんが話されたことで勉強することができました。
今回のブログについてですが、クリントン国務長官との会談での「日米同盟の深化」の作業で、まずは議論のスタートに、「(日本及びアジア太平洋地域を取り巻く安全保障環境の)認識の共有化」をしっかりと据えられるあたり、最初にも書いた「ものごとの定義がきちんとなされなければ議論が成り立たない」とビシっと明言され、実際問題解消される岡田さんであるからこそ実現できることで、今後30年、50年続く日米同盟のはじめのしっかりとした土台作りの段階として、これ以上なく重要なことだなあと思います。
そうした実質的重要さだけではなく、そういう、なんというか、横に広くだけではなく、縦に深いレベルでの話し合いが行われているということは、それ自体が素晴らしくて、これもまた岡田さんだからできることだなあ、、、としみじみ、つくづく思います!
私は、「日米同盟の重層的な深化」という言葉が、(響きがカッコ良いこともあり)とても好きなのですが、それは、この言葉が、様々な領域における日米同盟の発展、というような意味を持つだけではなくて、「日米両国互いの十分な理解という点において、より深まる」というような意味を持っていると感じられるからです。本当の意味でアメリカと日本が国レベルで深く理解しあえれば、そんなに嬉しいことはありませんね。
それ自体が、すでに心の平和を生み出してくれるような、そんな意義深いことだと思っています!
投稿情報: レイ | 2010/01/18 02:25
岡田克也さま、スタッフの皆さま。おはようございます。
ハワイにおけるクリントン長官との会談、お疲れ様でした。
「ロシア、トルコ、ハワイ」を訪問された年末年始。
昨秋も強行スケジュールをこなされていましたが、
外務大臣という仕事が、真に大変な仕事であるということを、
恥ずかしながら私は初めて知りました。
少し痩せてしまった岡田さんの体調を案じています。
温暖なハワイで、半日でも養生して欲しかった。
今後、空いた時間に、指圧やマッサージを受けてみることは良いことではないでしょうか?
ハードワークで凝り固まってしまった身体をほぐすと、
疲労からの回復は、かなり早くなるそうです。
私などは自宅でヨガをおこない、筋肉の柔軟性を維持して、
出来るだけ心身が疲れないようにしております。
身体が柔らかいと、思考まで柔らかくなる気持ちが致します。
本日から長丁場の国会が始まりますね。
国会においては、真摯に外務大臣としての責務を果たしつつ、
しかし、決して絶対に無理だけはなさらないで下さい。お願い致します。
国会のテレビ中継で、大好きな岡田克也さんの姿を拝見できることが本当に嬉しいです。かしこ
投稿情報: 井上彩 | 2010/01/18 10:07
日本国とアメリカとの関係、地域住民の負担の間に板ばさみになる格好かと思います。どの結論を選択するにしても非常に難しい判断となることは確かですよね。。これには東アジアの安定というグローバルな問題も関与しているので難しい問題だと思います。
日本国民にとって最良の選択がなされることを期待します。
投稿情報: yumioka | 2010/01/18 17:20
先日、沖縄の問題について太田光のテレビ番組を見ていました。
その中で沖縄の住民の苦悩・・
しかし、基地による経済効果で生計を立てておられる方々の不安。
様々の立場があり、思わくがあり・・
マニフェストに掲げたから、即、実行
と言うのは、無理だと思います。
政権交代し徐々に色んなことを模索しながらかえて行くべきだと改めて外交の難しさを考えさせられました。
昨晩でしたか?ニュース番組ゼロに出演されておられましたお姿を拝見致しました。
いつ拝見しても”キリッとした目”をしておられると思いました。
外務大臣の職は、気苦労が多いと思いますが、先生の信念、ブレル事なくお働き下さい。
投稿情報: 藤野保弘 | 2010/01/19 14:02
クリントン長官との充実した話し合いができてよかったですね。民主党の支持率が低下しているのは同じなのですが、鍵はやはり経済の活性化ではないでしょうか。スマートグリッドの国際規格の策定などが日本主導でやれるといいですよね。経済分野での連携もうまくいくといいですね。本当にお忙しいようですから、雑事から逃れた集中的な休養を執務の間に織り込んでいけるといいですね。ナポレオンは馬上でも眠ったとか聞きましたけど、机上での仮眠も慣れてくるとすぐ寝つけてお勧めです。その際、「良い気分で眠れる」という自己暗示もかなり有効かもしれません。
投稿情報: 飯島 | 2010/01/20 10:54
岡田大臣殿
私は辺野古への移転問題をニュースで見て常に悲しい気持ちになります。 なぜ、マスコミは中立な立場で視聴者に正しい情報を流さないのか? なぜ、自民党が沖縄県民と腹を割って話さないで水面下で物事を決めた事をマスコミはサポートするのか? アメリカ人とアメリカ政府はその様な事をして辺野古に移りたいとは思っていないです。 民主党は自民党が犯した成田空港事件等の独裁的な行動を再現してはいけないと思います。 アメリカは岡田大臣や民主党とは長い付き合いを続けたい事がなぜマスコミに分からないのか悲しいですね。すべてにおいて岡田大臣や民主党の誠意をもってアメリカ政府と対応されている事はアメリカ政府は理解をしています。 一つだけ、アメリカ人としてアメリカ政府の不満を述べますと、普天間に関する問題解決は10年間もかかって、又、変わるのか?といういらだちですが、今度は、どの県であろうと県民と腹を割って話せば普天間基地の移転問題に付いては直ぐに解決すると思います。 どうか、マスコミのうその情報は無視して、今まで通り、アメリカ政府には誠意を持って岡田大臣と民主党は普天間に代わる県民が合意する新しい場所をアメリカ政府に提案してください。 (マスコミの嘘の情報とは、アメリカ政府が辺野古でなければダメという事ですが岡田大臣の新提案をアメリカ政府は聞きますから。) 大阪橋下知事も関空を普天間の代わりにする事をニュースで述べましたよね。 大阪府民が橋下知事の考えを支持したら、実行は早くなりますから、アメリカ政府は考えてくれますよ。 アメリカー日本同盟上、地理的には辺野古よりも関空が良いと思いました。
投稿情報: 高木ポール恒雄 | 2010/01/29 15:26