今日は、映画の話をしたいと思います。
イギリスの映画、ケン・ローチ監督の『麦の穂をゆらす風』を最近見る機会がありました。素晴らしい映画ですので、少しそのお話をしたいと思います。
この映画は、1920年代のイギリスの統治下にあったアイルランドの独立の問題を扱った映画です。
ロンドンで医師として勤務することを希望していた主人公が、ふとしたきっかけで祖国アイルランドの独立運動に参加をし、そして数々の試練を得る。最後は意見が分裂をして、イギリスと講和条約を結んで半独立国としてやっていくという路線に対して、主人公はあくまでも完全独立を目指して戦いをしようとする。言わば内戦にアイルランドは陥るわけです。最終的には、主人公はかつての仲間の手によって死刑を宣告され、刑に処せられてしまうという非常に重い、しかし素晴らしい映画です。
この映画を見ていて、戦争の悲惨さ、そしてそこにある人間模様の重さということを改めて感じました。
同じ時期に日本が朝鮮の併合を行いました。1910年代のことです。そのことを重ね合わせて見ていました。いま日本が、植民地であった朝鮮半島に対して同じような映画がはたしてできるだろうかと、自ら問い返していました。
そういう意味で、イギリスの中にもいろいろな意見があったようですが、ケン・ローチ監督のその素晴らしさに改めて敬意を表したいと思います。
そして、この映画を見てもわかるように、植民地化された国の人々の誇り、私は、日本が素晴らしい国だと思いますし、日本人であることを非常に誇りに思う一人でありますので、同時にやはり同じような感覚をそれぞれの国々の人々が持っているということも、しっかりとわきまえながら考えていかなければいけない。自分の国のことだけを誇りと思っているということでは、それは非常に狭い考え方で、それぞれの国にそういった考え方があることを我々はわかり、尊重していかなければいけないと改めて感じた次第です。
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