予算委員会では、今日も雇用の問題を中心に、あるいは格差の問題を中心に集中審議が行われています。総理も予算委員会に出席しています。
午後、これからは枝野幸男議員や原口一博議員が登場しますので、非常にいい議論が展開されるだろうと期待をしています。
しかし、今回、私自身も予算委員会で2回質問しましたし、あるいは、皆さんの質疑を聞いていて感じることは、答弁が非常に軽く流れていくといいますか、上っ面だけの答弁が非常に多いということです。
今日の安倍さんの答弁を聞いていても、真剣に全部聞くというよりは、何か途中で安倍さんの答弁がどこか遠くに行ってしまうという感じがするのはなぜなのか。自分としても、安倍さんの言っていることは、あとで議事録を見るとそれなりのことは言っているわけですけれども、どうしてそれが心に届かないのかということを考えていました。
いろんな理由があると思いますが、基本的には安倍総理自身の考え方に一本筋の通ったものがないということに起因するのではないかと思っています。
彼は著書にも書かれていたように、「保守主義者」であると自ら言っています。保守の対立概念としては進歩とか改革ということだと思います。安倍さんが自ら保守主義者と言いながら、しかし一方で、雄弁に進歩・改革についても語るということで、この人の本当のところはどこにあるのだろうかということが、話を聞いていてもよく分からない。それぞれの良いとこ取りを話しているようにしか聞こえない。
外交でも総理になる前に言っていたことと、総理になってから言っていることが全然違う。そういった一貫性のなさ、一本筋が通ってないこと、そういうことが安倍さんの発言を非常に軽いものに聞こえさせてしまうのではないかと、そんなふうに思っています。
各閣僚の発言を聞いていても、同じような答弁が多いわけですけれども、そういう中であえて骨のある答弁といいますか、自分の言葉で語っているなと私が思うのは、総務大臣をやっている菅義偉さんです。当選回数はまだ少ないわけですけれども、彼の言っていることは、それに賛成するか反対するかは別にして、それなりに説得力を持って聞こえてくるなと、そんなふうに思っています。
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安倍政権の「再チャレンジ政策」とはなにか?
主な柱に「ジョブ・カード」の発行というものがある。フリーター等の職業訓練を私企業にさせるというもの。
これまた、実情を見ていない施策の典型に思われる。
「職業訓練」の具体的なものが伝わらない。職人を作るのなら意味がある。しかし、普通の会社員の職業訓練がどれほどのものかは大いに疑問だ。自分自身、なんのスキルも無いなと思いながら働いている正社員は多いだろう(私もそうである)
また、フリーターが訓練されていないと決め付けるのも大変失礼な話。気持ちのいい仕事のできるフリーターは世の中に大勢いて、彼ら彼女らが、電話応対もろくにできない正社員の横で「ジョブ・カード」の訓練をさせるというのもおかしなもので、フリーターを随分馬鹿にしている。
キャノンの派遣社員の方への理不尽な対応にも象徴される、ベテラン派遣やフリーター(このひとたちこそ訓練済みだと思うが)の立場の向上もせず、また訓練しましょうネ、というのは、働く現場を何も知らないお坊ちゃん政治家が、私企業に人件費を配る制度にしか思えない。(外国人留学生の研修に似て、ザル偽装法である)
「ジョブ・カード」はイギリスの模倣らしいが、イギリスの子供の状況が先進国でワーストワンとユニセフから認定された(日本は判定不能だった)ということは、大人の社会も不幸だということ。つまり、強制的なイギリスの「訓練志向」「競争志向」は子供も大人も、ますます生きる気力を無くさせる施策なのである。
再チャレンジと称する企業バラマキの分のお金を、経営の困難な中小(特に職人的な)企業の支援や、平均時給を上げるための助成に回す、「当たり前」の施策を期待したい。(世間知らずの政権にそれは不可能だろう)
岡田議員、期待してますよ。
投稿情報: lune | 2007/02/25 10:20