今日はこれから本会議が開かれて、日銀総裁の件が衆議院においても承認か不承認か問われるわけです。
もちろん、我々民主党はじめ国民新党以外の野党は、総裁については不承認ということで、副総裁2人はこれで決まるものの、総裁については空白と、大変非常に残念なことになります。
このことについて、いくつか申し上げたいと思います。
まず、私自身の基本的な考え方・スタンスですけれども、私はこの日銀総裁の決定の党の中のプロセスには入っておりません。したがいまして、記者さん達からも「岡田さんどうなんですか」とか様々なことを聞かれますが、私はどういう結論であれ、党の中できちんと意思決定された、そのことに従うと、そして、余分なことは言わないという方針で今日まできました。そのことは、これからも変わらないということを、まず申し上げたいと思います。
党として非常に重要な意思決定でありますから、そのことについて、あまり外野からいろんな声が出ないほうがいいと思っています。
2番目ですけれども、私自身の基本的な考え方については、もう随分前ですけれども、記者の皆さんに記者会見の場で質問をされて答えました。つまり私が申し上げたのは、財務省・大蔵省の事務方トップを務めた人が、日銀の総裁になることについては違和感を持つと申し上げました。この言い方も、その後も一貫して同じであります。
財政と金融の分離、これは政府の中で金融行政を財務省・大蔵省から分けて、そして金融庁をつくるという話だけではもちろんありません。一部のメディアは、財金分離というのはそういうことだと言っていますが、これはもちろん違います。
金融政策が政府の中で独立しているということの重要性を当然感じるからこそ、あるいは財政・金融が分離しないなかで、財政政策あるいは国内政策に引っ張られて金融政策をやったためにバブルが発生した、そういう反省に基づいて日銀法の改正も行なったわけです。
その金融政策を、政府から一定の独立性を担保するということの具体的なあり方として、財務省のトップが日銀の総裁をやる、日銀生え抜きと財務省のトップが一回交代に総裁を務めるという、そういった慣行をこの際やめるということを、私は意思決定をしたはずだと思っております。
将来にわたって財務省トップが日銀総裁になっては絶対いかんと、そこまで断言するつもりはありませんが、2代続けて日銀出身者が総裁にはなったものの、このタイミングで財務省に戻すということは、結局かつての暗黙のルール、つまり日銀と財務省が一回交代ということが復活をする、そういったことを非常に懸念するわけであります。
民主党にとっても、今回この日銀総裁が空白になるというのは苦渋の決断でした。混乱がないようにそういうことは避けたい、そういう思いは民主党の執行部は当然持っています。しかし、民主党がダメだと言った武藤さんが出てきた、そして次にまた財務省次官経験者が出てきた。こういうことで、これは拒否せざるを得ないと、民主党としては判断したものだと思っています。
武藤さんが素晴らしいということで最初に出てきて、次に田波さんが出てきたところを見ると、何が何でも財務省事務次官経験者を総裁にしたいのだと、そういう風にしか思えないわけで、そういう福田総理を見ていると、本当に財務省を中心とする霞ヶ関に取り込まれている。そういう姿をどうしても想像してしまうわけであります。
そして、民主党の考え方が基本的に分かっていない、情報がきちんと入っていない福田総理と、そして霞ヶ関に取り込まれている福田総理の姿、大変気になるところです。ひょっとすると、福田内閣は相当行き詰っているのではないかという感じすらする今回のこの日銀総裁の問題です。
いずれにしても、空白が長いということは絶対に好ましいことではありません。したがって、次なる候補者を早く提案してもらい、早く総裁を我々としても決めたいと思っています。
個人的見解の投稿、楽しく拝見しました。
日銀総裁人事も大事ですが、マスコミは決定したら、騒がなくなるでしょう。人事決定後の舵取りを報道、執筆することが重要だと思いますね。
不同意の際に、確新聞社が一斉に批難しました。しかし、世論は、中立、やや支持が多いでしょう。本心は、双方で歩み寄れよでしょうが。
テロ特措法の際は、世論半々でした。国防に関することの割には、衆参で意見が違い、恒久法も尻つぼみで国会自体に世界を意識した運営をしていないのではと思ってしまいます。あのときは、政局利用された感じが否めません。民主党議員でも賛成派はいましたが。
また、道路特定財源については、郵政民営化と全く逆の状況になっており、解散権でなく問責決議案という手段を世論を背景に使えるという風にみれます。
経済の建て直しや民主党ならではの弱者対応を期待しつつも、与野党関係なく、もう少し政治をワールドな視点で行って欲しいです。
投稿情報: ろっし | 2008/03/20 08:36
福田総理の被害者面にはあきれ返ります。
民主党の推薦する財務官僚はだめだしして、自公推薦をごり押し。
そして「財務省出身だと適切でも用いることができないのか。」と詭弁を使う。
支離滅裂です。
このような狡猾な泣き言でだまされるのであれば、日本人とはその程度の人たちなのでしょう。
でも、自公のこのようなマッチポンプのやり口は、許せません。
自公の厄病神が日本上空から、消え去ることを祈るのみです。
投稿情報: 地球人 | 2008/03/21 12:16
『専門性に基づく叡智の集合を』
霞ヶ関の官僚の多くは入省当時は専門性にもとづく政策立案を目指していたと考えています。しかしながら、余りにも狭い世界での利権誘導型の政治の結果、当初の志を忘れたのではと思います。これからは主権者に対する専門的叡智の集合を官僚の皆様には期待しています。その意味で日銀の副総裁人事には新しい息吹を感じました。
投稿情報: 牧 信一 | 2008/03/21 20:07
国民の側に立った岡田氏の信念 民主党の決意の強さを伺い 頼もしい限りです。 今やっと安易な妥協を許さない 本当の霞ヶ関改革の第一歩と 受け止めて居ります。 民主党応援団として 時に不本意だったのは 何時も最終的に何か押し通せずに 事が過ぎ去って行く事でした。 与野党話し合いとか言いますが 政治を話し合いで上手く纏めて 波風立てず 本当に国民に取って良い事なのでしょうか?? 社説、論説等 新聞記者は 国際社会から云々~等言って 誰でも良いから空白作るな~的内容に取れる気がします。 是は国際社会?~新聞記者の都合で有って 国民からすれば此処で空白が有っても 改革の為には しっかりした信念を通す 民主党さんの意見、反対内容を理解し 支持して居ります。 絶対に妥協しないで頂き度いです。 日本の場合 是位の空白は問題では有りません。 政治の空白とか言われますが 安倍総理電撃辞任から福田総理就任までの一ヶ月 何も変らなかった。 同様に今回の問題も 国際社会云々言う割りに 英国の社説では 財務省の天下り批判して居る位です。 国際社会はしっかり見ています。 うわべで騒いで居るのは 日本の記者だけです。 そして疑問は 幾ら経験をお持ちかも知れませんが 福田総理にしろ 今回の日銀総裁候補にしろ 何故日本は定年過ぎのお年の方が 総裁に就任しなければならないのか?? この21世紀 国際社会は若返り傾向に有る中で・・・ 旧体制を維持しようと躍起になって居る メンタルのずれ込んだ方々を 何故起用しようとするのか??
其の上『民主党幹部が云々~』言い訳するお姿に 誰の為の政治なのか~? ご自分の意見は~? つくづくこの方に日本を任せて居る方が政治の空白と思えます。 国民にとってこの方が ずっと重要問題で情けないの一言です。 民主党さんも国民の為に この政治空白から脱すべく 対策を打って頂き度く 期待して居ります。
投稿情報: 春霞 | 2008/03/22 09:43
自民のなりふりかまわない「民主党の幹部が~」の言い訳にはあきれかえります。なんか、大連立騒動のとき、敗れた伊吹氏の「小沢さんのほうから~」と同じではありませんか。あの時もこんな部下を福田総理はおもてだって諌めなかった。だから今回の民主の勝利に対しても、おなじ反応を自民「大幹部」は繰り返すのです。
こんな小学生レベルのいいわけを負けるたびに繰り返す自民党とは、危なかしくって党首会談なんてできませんね。
なにが統率能力ない民主だ!リーダーシップはたしたらトップダウン、と批判するくせに。
投稿情報: kouti | 2008/03/22 17:41
【日銀総裁任命に関する国会同意人事と国民に対する説明責任について】
1)所信表明・質疑応答の充実の必要性-今後の課題
アメリカの中央銀行の総裁、すなわち連邦準備制度理事会(FRB)議長の承認にあたっては、大統領が指名した候補者に対し、上院の銀行委員会で、きわめて専門的で詳細な質疑応答が行われます。その過程で、委員会に所属する上院議員は、自らの意見(STATEMENT)を陳述し、候補者に対して、理論的な質問、具体的な質問を行います。このため、マクロ経済や国際金融を専門としない候補者は、排除されます。また、各委員が意見を示すことで、各政党自身の基本的立場も明確になります。[注1]
今回、日銀総裁選任の過程における、議院運営委員会での、候補者による所信表明は、あまりに形式的で、しかも質疑応答は国民に対し非公開でした。所信表明、質疑応答が、あまりに形式的でしかも非公開であったため、その過程で、候補者の資質・能力も、また、各政党の基本的考え方も、国民の反応も、全く分かりませんでした。その結果、政府は、一度拒否された候補者とほぼ同じ候補者を再提示するということを行い、総裁空白を招きました。
今後は、所信表明、および質疑応答を、充実させ、公開とするべきだと思います。その過程で、各政党の基本的考え方も明らかとなるし、国民の反応も分かります。そもそも政府は、資質・能力を有さない候補者を提示するということが出来なくなります。
2)今回の拒否権行使について
私は、今回、所信表明・質疑応答プロセスの不十分さにかかわらず、国会同意人事の制度趣旨に則り、拒否権は正当に行使されたと感じています。そもそも、国会同意人事制度は、多数の議員により構成される合議制の国会が総裁を任命する仕事に不向きなことから、総裁候補者選任・任命の権限を行政府に与え、その上で、行政府が特定の政治勢力と結びついて任命権限を濫用するなどの例外的な場合に対処するため、衆議院・参議院それぞれに拒否権を与え、不適切な候補者を排除出来るようにしたものです。
今回は、まさに、その例外的場合にあたると思われます。財政と金融の分離は、岡田さんがおっしゃられているように、金融庁の設立や日銀法の改正に反映され、与野党を問わず、国のあり方として、すでに既定の流れ・合意事項であると思います。それに真っ向から反するような人事が提示されれば、これに対し拒否権を行使する必要が生じます。
3)これまでの総裁任命の形式性
これまで、与党が衆議院・参議院ともに過半数を得ている状態においては、日銀総裁任命について、国民に対する説明は行われず、狭い範囲の中の了解だけで、決定がされていたと思います。その結果、たとえば日銀出身者と財務省出身者のたすき掛け人事というような、変転する経済情勢とは無関係な、きわめて機械的で、硬直的な人事が行われてきたように思います。そこにおいては、次期総裁の任期中にどのような経済情勢が予測されるのか、その経済情勢の下で総裁として必要な資質・専門能力は何か、そのような資質・能力を有する人材はどこに求められるのか、という具体的で実質的な議論は行われてこなかったと思われます。
今回も、政府による候補者の提示は、ぎりぎりのタイミングで行われ、そのため、せっかく国会の同意人事制度が導入されたにもかかわらず、オープンな場で、実質的な議論が行われることがありませんでした。候補者による所信表明、質疑応答もほとんどが非公開とされ、国民には見えないままで行われました。
さらに、与党側の一部から、3分の2可決で日銀法を改正し、国会同意における衆議院優越を盛り込もうという乱暴な意見すら聞こえてきます。仮に、国会同意人事における衆議院優越が盛り込まれると、かつてのように国民に説明がされない状態に戻ってしまうと思います。
4)総裁に求められる資質・能力についてのオープンで総論的な議論の試み
今後、実質的な議論を可能とするために、私は、(1)でお伝えしたように、そもそも所信表明・質疑応答のプロセスを早急に改善すべきと考えていますが、それが間に合わない場合には、今回、とりあえず、次期総裁に求められる「資質・能力」について、国会でオープンな議論を行うこともひとつの方法ではないかと思っています。
行政府の選任権限を尊重する観点から、国会は選任に関して直接議論を行うべきではないという考え方もあるかも知れません。しかしながら、議論を、次期総裁に求められる「資質・能力」という総論部分に限れば、選任権限の問題を回避することは可能だと思います。
日銀の金融政策は、為替、金利、景気対策、等々を通じて、企業活動、国民生活に直結します。まして、今回は、総裁空白が生じたことにより、国民が大きな関心を持っています。国民の監視の下、オープンな議論を行えば、不合理な説明や形式的な説明は通りません。
そのため、私は、出来るだけ早い時期に、国会の各関連委員会で、日銀総裁問題に関し、オープンな総論的議論を行うべきではないかと思っています。そもそも日銀はどういう役割を果たす組織なのか、任期中にどのような経済情勢が予測されるのか、その情勢の下で総裁に必要な資質・能力は何なのか、そのような資質・能力を有する人材はどこに求められるのか、等々について、野党側の見解も示しつつオープンで本質的な議論を行うべきではないかと思っています。
もちろん、最終的・具体的な候補者選任権限は政府にあります。しかしながら、これら総論部分に関し議論を行うことで、与党側は、不合理な根拠や形式的な理由で、総裁候補を提示することが出来なくなります。与党側が、強引に日銀法を改正することも困難になると思います。また、議論の過程で、与党側と野党側のそれぞれの基本的な考え方が明らかとなり、それは、適切な候補者の選任を促し、国会同意の成立につながります。さらに、現在、政府から候補者の打診を受け、固辞している方々や、今後打診を受ける方々にとっても、受諾を再考・検討する材料になると思います。
政府は、4月上旬に候補者の再々提示を行う予定であると報道されています。この際、国会の委員会で、数日間かけて本格的で集中的な議論を行ってみてはどうでしょうか?。私は、今後5年間の任期を勤める次期日銀総裁は、これまで以上に、日本経済の鍵を握るキーパーソンになるような気がしています。
[注1] たとえば、HEARING BEFORE THE COMMITTEE ON BANKING, HOUSING, AND URBAN AFFAIRS U.S. SENATE 109TH CONGRESS ON THE NOMINATION OF BEN S. BERNANKE, OF NEW JERSEY, TO BE A MEMBER AND CHAIRMAN OF THE BOARD OF GOVERNERS OF THE FEDERAL RESERVE SYSTEM, NOVEMBER 15, 2005 参照。GPO Access Home Page の Congressional Hearings のコーナーで、STATEMENTと質疑応答の全文(PDF)が参照出来ます。
投稿情報: Publius | 2008/03/23 14:46
ご存じかとも思いましたが、モルガンスタンレーのロバート・A・フェルドマン氏が同社の経済レポートの中で、次期日銀総裁候補者の評価手法を提言されています。
実際にこれまで候補者として挙がった方をこの評価手法を用いて評価されています。
もし、まだご覧になっていないようでしたらぜひご覧になってください。
下記はレポートが載っているモルガンスタンレーのホームページのアドレスになります。
日本経済レポート 毎週更新
ウィークリー・ジャパン・ブリーフィング 03.28.2008
http://www.morganstanley.co.jp/securities/jef/index.html
投稿情報: kake | 2008/03/31 02:20