今日の新聞各紙は、政府つまり麻生政権が、財政健全化路線を転換するということを報じています。
具体的には、いままで続けてきた、公共事業を３％ずつ削減していくという考え方を、しばらくやめるということを中心に、別枠で３年間で１０兆円程度の公共事業をはじめとする景気対策をやっていくということが、現在議論されている中身のようです。
私は、今回のこの動きを大変心配しています。
まず、手続き的なことを言いますと、経済財政諮問会議で骨太の方針としていままで出されてきたものが、結局党主導で変わろうとしている。党主導で変わるのはいいのですが、いきなり総務会長が官邸に乗り付けて談判する。本来であれば、自民党の中で部会、政調などでの議論を踏まえて、どちらかというと総務会というのは、決まったことを承認する機関ですから、政調が動くなら分かりますが、いきなり総務会というのは、やや他党のことながら理解に苦しむわけです。
そもそも、政府の大方針である財政健全化という大きな目標を変えるということであれば、まず経済財政諮問会議、あるいは閣内できちんとした議論をし、意思統一をするということが必要なはずです。そういうものがほとんど見られないまま、いきなり総務会長が官邸に行くというのは、非常に異例な感じがします。
そもそも、いままでの予算委員会はじめ国会での議論で、９０年代初めの小渕内閣、森内閣を中心とする財政出動が果たして意味があったのかどうかということに関して、これだけグローバル化が進んだなかで、一国だけが公共投資などによって需要を増やしたとしても、そのことの効果は非常に限定的であるというのが経済学者の議論であり、そして、我々の経験から言っても、結果的に財政赤字はたくさん残ったけれども、効果はほとんどなかったということで、総括されていたはずです。
それが、いままた同じことが繰り返されようとしていると思います。少なくとも、バラマキ的な公共投資や、２兆円のバラマキではなくて、将来の改革につながるような投資でなければなりません。
例えば、地球温暖化に資するような省エネや、あるいは自然エネルギーの導入といったことにお金を投じていく。そういったお金の使い方であれば、それなりの意味があるのではないかと思いますが、いまのやり方というのは、結局過去の失敗を繰り返すだけに終わってしまうのではないかと思います。
そして、繰り返しますが、最も問題なのは、いろいろな議論なくしていきなり、このままじゃ選挙は戦えないと、だから公共事業を増やすんだと、つまり、建設業を選挙で動かすために、燃えてもらうために、公共事業をバラまく。そして、２兆円を国民にバラまく。
そういう選挙対策としてのバラマキが、いま横行しようとしている。そのことは、経済にとってプラスにならないし、財政にとって大きな負担になるだけだということを申し上げておきます。
麻生内閣も、そういう意味では、全く司令塔がない状態で、末期的な症状ではないか、そんな気がしてなりません。
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産業の構造改革には時間がかかります。
新エネルギーやバイオ系に資金を注入するのも良いですが今ある雇用の問題には
直接解決いたしません。
給付金などは無駄遣い以外のなにものでもなく景気対策にはなりません。
やはり公共事業や消費税減税、自動車減税が友好的な手段と考えます。
派遣社員の問題も社会保障や雇用保険充実するよりも景気対策が一番の特効薬
です。
投稿情報: 樋口 | 2008/12/05 07:31
岡田さんが指摘されているように、選挙対策としてのバラマキは、経済にとってプラスにならないばかりか、財政にとって大きな負担を生むことになると思います。与党が行おうとしている定額給付金や道路建設の継続では、広範な企業の設備投資を呼び起こし、雇用を拡大する効果は乏しいと思います。
岡田さんがおっしゃられているように、現在必要なことは、環境対策や代替エネルギーなど、市場拡大が見込める分野で適切な財政出動を実施し、政治が将来の方向性を示すことだと思います。将来の方向性が見えれば、企業は、拡大する市場や需要を見越し、設備投資を行い、人材の確保・育成・教育に取りかかることが出来ます。それは景気回復・経済成長、そして雇用の拡大につながります。
すでにアメリカでは、OBAMA次期大統領が、代替エネルギー産業や電気自動車産業育成のため、１０年間で１５兆円を投入するとしています。また中国では、景気刺激のため２０１０年末までに５７兆円を投じ、その一部を環境対策に充てるとしています。
日本が、代替エネルギー産業や電気自動車産業育成へ向けて動き出せば、アメリカは、国際競争力維持のため、よりいっそう本格的に動き出します。中国も同様です。それは、各国間で相乗効果を生み、新しい成長産業が立ち上がる起爆剤になります。
さらに健全な競争は、太陽電池や電気自動車の品質を高める一方、コストの低下を生み、人々の需要に応える製品が市場に大量に供給されることを可能とします。専門家が指摘しているように、数年以内に、太陽発電が火力発電とコスト的に並ぶこと（GRID-PARITY）が可能となるかも知れません。
国民の貴重な税金を投入するにあたっては、目先の選挙対策でなく、国内外の経済状況を踏まえ、最大の効果を生むような投入をすべきだと思います。
投稿情報: BUSINESS LIBERALISM | 2008/12/08 07:01
財政健全化路線の転換 3年間に10兆円の公共事業を増やし結果的に財政赤字を作り、経済効果はほとんどないと結うことが、総括されているはずなのに、バラマキ的な公共投資や、２兆円のバラマキではなくて、将来の改革につながるような投資でなければならないのに 最も問題なのはこのままじゃ選挙は戦えないと、だから公共事業を増やし ゼネコンにバラまく。そして、２兆円を国民にバラまく。財政にとって大きな負担になるだけだと結うことが解っているのに国民無視の政策をつずける自公政権党を何としてもこれは民主党に頑張って頂いて、この悪策を廃止して下さい、これこそこんな愚策を与党が慣行仕様とするのなら民主党が先頭を切って国民運動を起こしてください、これには国民も支持するはずです
投稿情報: 近藤 | 2008/12/12 12:43