昨日、米ニューヨークから帰ってきました。この間の国連における様々な活動は、日本でも報じられているように、私は大きな成功を収めることができたと思います。鳩山総理の外交舞台でのデビューは、かなりいいスタートが切れたと思っています。
鳩山総理は国連でいくつかの演説をされました。総理の演説の中で、特に気候変動・地球温暖化に関するスピーチに関しては、会場から大きな拍手が沸き起こり、非常に鮮烈なる印象を残したと思います。
(温室効果ガスを1990年比で)2020年25%削減、これは私が地球温暖化対策本部長をやっていた折につくりあげたもので、民主党のマニフェストにも書かれた数字ですが、改めて総理がこの数字を国連の場で言われたことによって、非常に大きな影響力を及ぼすことができたと思います。
潘基文(バン・ギムン)国連事務総長やサルコジ仏大統領がわざわざ演説の中で取り上げて、このことを評価したわけです。
我々の基本的な考え方として、この数字を出すことでアメリカを勇気づけ、中国はじめ途上国を枠組みの中に巻き込んでいく。そのための数字だと考えていますが、地球温暖化については、12月に(コペンハーゲンで)COP15が開かれ、そしてそこで、2020年に向かってどうするかという話が行われるわけですが、非常に大きなプラスの影響を及ぼしたと言えると思います。
いずれにしても、国連における演説は、いずれも鳩山さんは英語で行われましたが、中身も、そして落ち着いた態度も、非常に大きな印象を与えることができたと思います。
我々としても、本当にいいスタートが切れたと喜んでいるところです。
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初の海外出張でお疲れのところ・・・
誤解を招きやすい話題ですが、地球温暖化に関して一言。
IPCC第4次評価報告書では、温暖化は事実であるとしても、二酸化炭素が主因であると科学的に正確に証明されたとは書かれていません。
『20世紀半ばから見られている平均気温の上昇は、人為的な温室効果ガスの増加によるものである“可能性がかなり高い”。(9.4, 9.5)
観測事実を踏まえた気候モデルの解析により、放射強制力に対する理解の信頼性が向上した。気候感度に対し、初めて「可能性が高い」と言えるようになった。(6.6, 8.6, 9.6, 囲み10.2) 』と書かれています。
(http://ja.wikipedia.org/wiki/IPCC%E7%AC%AC4%E6%AC%A1%E8%A9%95%E4%BE%A1%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8)
ここで「可能性が高い(likely)」とは、66%~90%を意味するとされています。
要するに、まだ3分の1近い確率で他の主因が認定される可能性もあるということです。
地球温暖化が事実であり、火力発電量を抑えることは環境保全に必要であっても、「温暖化の原因がCO2だということは科学的に100%証明されている。だから、排出権利取引というマネー・ビジネスを盛んにしなければならない」というのは間違いです。
それは、IPCC第4次評価報告書でも「100%証明されている」とは書けないことからも明らかです。
なお、2008年の世界の平均気温は2001年~2007年と比較して低かったと報告されています。地上のCO2は増えているのに、温暖化のペースが低下しています。
(http://www.jma.go.jp/jma/press/0902/03b/world2008.pdf)
従って、「100%の科学の裏付け」がない以上、CO2削減が温暖化防止・環境保全に万能であると考えるべきではありません。
もちろん、CO2の25%削減が「雇用と福祉に悪影響」を与えず、「排出権取引というマネーゲーム」で悪徳金融機関をもうけさせることがないなら、強力に推進すべきですが、強権を発動して推進すべき段階ではないと思います。
しかし、既に欧州では排出権取引がマネーゲーム化しているとのレポートもありますから、鳩山政権はなお幅広く関係者の意見を参考にすべきだと思います。
(http://www.mizuho-ir.co.jp/publication/report/2008/kankyo080818.html)
「環境保全/温暖化防止=CO2排出権マネーゲーム促進の必要性」ではありません。
「環境保全/温暖化防止=物欲・金欲・マネーゲームの抑制の必要性」です。
25%削減をかかげること自体には、反対しませんが・・・
投稿情報: 一国民 | 2009/09/27 21:07
毎日お忙しいですね。私は最近、岡田さんのファンになって、おかげで政治にも関心をもつようになりました。
時々見せられる笑顔が素敵だと思います。
またカエルのコレクション見せていただきたいです!
海外出張が多く、お疲れも出るかと思いますが、お体を大事になさってください。
投稿情報: ローラアシュレイ | 2009/09/27 21:34
外務大臣 お疲れ様でした。よいスタートをきれてよかったと思います。私の周りでも総理や夫人の評判はとても良かったようです。ただ、大臣としては仕様がないとは思うのですが、あまり周りことは気にせず、野党のときに考えていたことを忘れないで、日本のために頑張ってください!
投稿情報: baryon | 2009/09/28 04:39
岡田さん、おかえりなさい。そして、お疲れ様でした。
鳩山総理の演説、見事でしたね!!
いつもの鳩山さんとは全くの別人のようでした。顔つきもキリッとしていらして、スピーチも一言一言にすごく力強さが感じられ、英語もとてもお上手でびっくりしました。きっと、たくさんの人の心に響いたと思います。会場から大きな拍手が沸き起こりましたからね。本当にいいスタートが切れたと思います。休むまもなく今度は、中国訪問とかなり忙しそうですがお身体には十分に気をつけてください。疲れにはゴーヤー効きますよ。是非試してみてください♪
投稿情報: 日本をカエル~♪ | 2009/09/28 14:05
1. 温暖化対策は、より良い地球環境を実現するとともに、各国に持続的な成長産業と雇用を生み出し、さらに、中東の石油への依存を軽減するという意味で、エネルギー安全保障を促進します。
今回、民主党は、岡田さんが民主党地球温暖化対策本部長としてまとめた温暖化ガス2020年25%削減目標をマニフェストに盛り込み、総選挙で勝利しました。さらに、総選挙の結果を受けて成立した内閣・日本政府を代表し、鳩山首相は、国連の場で、この数字を明確に発信しました。
これは、まさに世界第2位の経済大国である日本の民主的意思を体現するものであり、アメリカ、中国を始め、世界の温暖化対策の進展に、きわめて大きな影響を及ぼすと思います。心より感謝を申し上げます。
2. そのアメリカにおいては、6月末に下院で温暖化対策法が可決されたあと、上院が医療保険改革に忙殺され、温暖化対策法の審議が大幅に遅れています。このため、鳩山首相と異なり、OBAMA大統領は、今回、国連の場で、具体的数字を打ち出せませんでした。現在、OBAMA政権は苦心の政権運営が続いています。
現地の報道によると、国連気候変動サミットおよびG20を受け、ようやく、上院でも、BOXER委員長およびKERRY上院議員の協力の下、温暖化対策法案が提出される見通しとなりました。
しかしながら、上院で温暖化対策法が可決されるかどうかは、依然として、微妙な状態です。石油業界を始めとする保守派が、強力なロビー活動を続けているからです。今後、上院では、可決に必要な60名の特別多数を確保するため、農業部門や石炭産業への配慮など、様々な譲歩・妥協が模索されると思われます。
仮に11月末までに温暖化対策法が成立すれば、OBAMA大統領も、年末の国連気候変動会議(COP15)で、明確な削減目標を打ち出すことが可能となります。それは、アメリカが新しい温暖化対策枠組みへ参加する基盤となります。
3. 他方、中国およびインドは、現在、自国のGDP比に基づく自主的削減目標の設定というところまで歩み寄ってきました。
今後、ここからさらに進んで、中国およびインドが、新しい温暖化対策枠組みに参加し、国際的な削減義務を受け入れるためには、先進国が、高い削減目標を掲げるとともに、中国およびインドに対し、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギー分野での、技術協力・技術移転を進めることが必要と思われます。
4. このような状況の下、日本は、年末のCOP15を見据え、引き続き、2020年25%の削減目標を、着実に具体化して行く必要があると思います。何よりも、臨時国会において、「地球温暖化対策基本法」を早期に可決・成立させることが重要と思われます。
そのためには、岡田さんがNHKの番組で指摘されていたように、温暖化対策による家庭負担の再見積もりを含め、温暖化対策の意義を、国民および産業界に包括的かつ丁寧に説明することが大切と思われます。
また、「地球温暖化対策基本法」の 国会審議にあたっては、附則に、いわゆる見直し条項を入れ、仮に主要国が温暖化対策枠組みに参加しない場合には、見直しを行うとすることも有効かも知れません。
日本で「地球温暖化対策基本法」が早期に成立することは、アメリカにおける温暖化対策法の審議を確実に促進します。また、中国およびインドに対する、強い働きかけを可能にします。
さらに、中国およびインドに対しては、二国間交渉・多国間交渉の場で、再生可能エネルギー分野における、政府間レベルでの技術協力を提案するとともに、ライセンス契約など民間レベルでの技術移転を促進して行くことが大切と思われます。
民主党の「地球温暖化対策基本法案」および要綱は、次のURLで参照出来ます。
http://www.dpj.or.jp/news/?num=15814
投稿情報: BUSINESS LIBERALISM | 2009/09/28 14:21
中国の温総理は、一日もはやく鳩山さんに会いたいと言っています。温室効果ガスを2020年に25%削減ということも、10月の中国訪問に議題されるのでしょうか。私は中国北京で企業として屋上緑化からごみのリサイクル事業などに携わってきました。現地政府から援助いただけないことで推進困難ですが、より困るのは、環境の一般知識を現地政府のトップからわからないし知ろうともしない現状です。中国国家発展委員会に政策研究の仕事をしている同窓に、先日、日本で温室効果ガスを2020年に25%削減を実現するために中国もアメリカも一緒に行動しなければならない、という日本の関係記事を中国語にして送りました。感想を求めたところで、中国はそんなことを考えられるまで全然遠い、といわれました。
投稿情報: 檀智佳子 | 2009/10/02 20:00
鳩山首相は訪米中の地球温暖化演説を英語で行われました。とても格好よく、首相の個人魅力も十分表れています。ただ、オバマは2020年に温室効果ガス14%削減といっただけで、具体策を出されませんでした。中国の胡錦濤はまったく温室効果ガス削減のことに触れずに、中国が東シナ海ガス田の解決を求められました。そして、これから先進国からの技術と経済的支援を期待しているそうです。温室効果ガス削減について、日本は浮いてしまったという感じで、鳩山首相もあまり魅力的だから、逆に心配ですね。
正論は理想主義でもあり、ずっと正論をやろうとすると、世間に非常識だと思われてしまいます。鳩山政権も正しいことをやろうと突っ張っているので、もし正しいことをこの世の中でやっていいのなら、また日々わくわくしますね。
中国は、思いやりもなければ遠慮もない国柄を遠慮なく外交に出していきます。日本がいまいう思いやりのある国際人は中国に対応できないと思います。岡田大臣は、思いやりもなければ遠慮もない中国に対して、どのように主導的にしていくのか、真剣に見たいと思います。
投稿情報: 檀智佳子 | 2009/10/02 20:09