少し時間が空きましたが、前回の出張の続きをお話ししたいと思います。
私は、アフガニスタンからパキスタンへ移動して、パキスタンで1日過ごしました。
パキスタンは、皆さんご存じの様に、イギリスから独立したときに、ヒンドゥー教のインドとムスリムのパキスタンということで、国が分かれました。そして、東西のパキスタンが分かれ、東パキスタンがバングラデシュになり、現在のパキスタンの姿になりました。
パキスタンは核を持った国です。したがって、パキスタンが安定しないということになれば、核の拡散も懸念され、それだけに世界各国が、パキスタンが安定するように努力してきました。
最近では、タリバンが、パキスタンとアフガニスタンの国境に存在するということで、これは双方が、アフガニスタン側とパキスタン側から訴えかけ、あるいは武力攻撃をしないと、タリバンを完全には排除できないということで、パキスタン政府に対して、そのことを強く各国が迫っているという状況です。
パキスタン政府も、最近ではそういったタリバンの排除にかなり力を入れてきました。その結果として、私が行った頃にも、5日間の間でテロが4件続けざまに起きたわけです。
結果として、私は、アフガニスタンの国境近くにある、パキスタンにいる約300万人のアフガニスタン難民のいるキャンプに行くことを断念せざるを得ませんでした。
いずれにしても、国際社会の中で、このパキスタン、アフガニスタンが安定することが、タリバン勢力あるいはアル・カイーダの排除に必要であり、かつパキスタンについては、核の問題も絡まって、その安定が非常に重要視されている。
日本も春にはパキスタンを支援する国際会議を開き、全体で50億ドル、日本自身も10億ドルの支出をすることを約束し、パキスタン支援の一翼を担っていますが、今回行ってみて、よりしっかりとした日本としての関与をしていかなければいけないということを、改めて感じました。
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サラリとおっしゃっていますが、そんな、テロの近くに行かれたと想像しただけで、身震いしてしまいました。
でもアフガニスタンやパキスタンに暮らす人々にとって、岡田大臣の訪問は、
『日本の人々は、自分たちをほったらかしにせず、ちゃんと境遇を見ていてくれる』
という(問題解決への)希望にもなっているのですものね。
ただ見るだけではなく、岡田大臣のように、そこに住む人々を感じ、気持ちを汲み取ろうとしてくれる方の訪問は、現地の人々にとって、どんなにか、心強いだろうと思います。
貧しくてもタリバンになびいたりせず、諦めずに、希望を持ってがんばろうと思う人が一人でも増えてくれるのでは、と思います。
その後も日米のお仕事で忙しく、疲れもおありのはずなのに、それを全く見せずに、大臣になっても変わらず国民に語りかけるようにご自分の言葉でお話して下さる岡田さんを見るたび、
『公のために働く』ということの重みを想像し、本物の政治家とはこういう方をいうんだ、と胸が
ジィ~ンといたします。
今まで政治家の方には感じたことのなかった、感謝の気持ちがわいてきます。
いつも、ありがとうございます。
私たちも、岡田大臣の働きに値するような、きちんと自分の頭で考える国民でい続けなければ、と、改めて思いました。
寒くなってきましたので、お身体、ご自愛下さいね。
投稿情報: asuka | 2009/10/23 21:00
ゲーツ国防長官との会談でもアフガニスタン情勢の意見交換はあったと思いますが・・・
ポイントは以下の3つだと思います。
1)インドとパキスタンが互いに反目する核保有国であり、特にパキスタンの政情不安によって核兵器がテロリストの手に渡る可能性。
2)アフガニスタンはウランや希少金属などの資源の豊富な中央アジアと隣接しており、また、カスピ海からの石油・天然ガスのパイプラインのルートにもなること。
3)パキスタン部族地域などに潜伏するアルカイダが米本土やサウジアラビアへのテロを完全に断念したとの確証がないこと。
実は今年のノーベル平和賞はアフガニスタンで長年支援活動を行ってきた日本の中村医師(ペシャワールの会)などが受賞してもよかったと思います。実際に同会の青年が一人、現地で農業支援の活動中に命を落としたニュースはまだ多くの日本人の記憶に残っているはずです。
オバマ大統領はノーベル平和賞を受賞した以上は、速やかにイラクから米軍を撤退させ、アフガニスタンには軍事行動よりも人道支援で平和をもたらす努力をすべきです。
日本から大規模な人道支援の計画を示して、米国に強力に働きかければ、オバマ大統領やヒラリー長官も軍事費を減らして、アフガニスタンの民生支援に振り向けてくれるかもしれません。
いすれにしても、アフガニスタンで何年も泥沼の戦闘を続けているうちに、隣国のイランやイスラエルの問題も再燃する可能性があります。
日本の外務省も「戦争紛争防止局」の新設など、機構開発が必要だと思います。
投稿情報: 一国民 | 2009/10/23 22:18
岡田さんがおっしゃられているように、テロの根絶という意味でも、また、核保有国という意味でも、パキスタンの安定はきわめて重要だと思います。
パキスタンは、独立以来、軍のクーデターが繰り返され、現在も、軍が国政に強い影響力を持っています。今後、パキスタンの政治状況が安定するためには、文民政治家が政治の主導権を握ることが重要だと思います。すなわち、パキスタンにおける文民統制のよりいっそうの徹底が必要だと思います。
この点、先に成立した、アメリカのパキスタン支援法(THE KERRY-LUGAR ACT)は、パキスタンにおける文民統制の実現を支援継続の条件としています。半年ごとに、アメリカの国務長官が、パキスタンの文民統制の現状を検証し、アメリカの連邦議会に報告することになっています。仮に文民統制が不十分と認められる場合、支援の見直しを行うことになっています。
日本のパキスタンに対する支援についても、同様の条件・条項を盛り込み、パキスタンの文民統制の状況につき、外務大臣が定期的に国会に報告することが考えられると思います。
ご検討をいただければ幸甚です。
THE KERRY-LUGAR ACTおよびパキスタンの文民統制については、戦略国際問題研究所(CSIS)のホームページに解説が掲載されています。次のURLで参照出来ます。
http://csis.org/publication/politics-aid-controversy-surrounds-pakistan-aid-bill
THE KERRY-LUGAR ACT(THE ENHANCED PARTNERSHIP WITH PAKISTAN ACT 2009)の全文は、次のURLで参照出来ます。
http://en.wikisource.org/wiki/Enhanced_Partnership_with_Pakistan_Act_of_2009
文民統制の検証に関する条項は、SECTION 302 (a)(15)です。
http://en.wikisource.org/wiki/Enhanced_Partnership_with_Pakistan_Act_of_2009/Title_III#Sec._302.
投稿情報: Abraham_Lincoln | 2009/10/25 14:46
パキスタン、インドが核を持ってるのは、なかなか、大変なことです。
戦争はやめてほしいです。
アフガンでの石仏爆破破壊は、本当に、もったいないことでした。
アフガン、パキスタンは、すばらしい石仏が、たくさんあります。
あの破壊した人たちは、エジプトの神殿の神々は、破壊しません。
そこらへんが、どうも、不思議です。
何のための戦争なのかという、疑問です。
文化財破壊は、ほんとに、やめてほしいと思います。
昔NHKの教育テレビで「ヒンズー教は、世界最初の人種差別である」といってた講師がいました。
偉い階級の人が、階級の下の家に行った時は、銀のコップに入ったミルクを、口をつけないで飲むと、藤原雅彦氏の本で読みましたが、今でも、厳しい階級制なのでしょうか。
宗教に関しては、郷に入れば郷に従うということわざが、彼等の国にあれば、紛争もだいぶ少なくなるのではないかと思います。
温泉にでも入って、浴衣でご馳走を食べ、酒でも飲める環境にあれば、だいぶ紛争も少なくなると思います。
それにしても、岡田さんはずいぶん、危険な国々にも訪問されて、頭が下がります。
しかし安全には、お気をつけくださいませ。
投稿情報: 地球人 | 2009/10/27 13:25