金曜日(2月19日)の夜に成田を発って、月曜日(2月21日)の朝に戻ってくるという急な日程ではありましたが、例によって「弾丸外交」でオーストラリアに行ってきました。
今回はラッド首相、スミス外相と日豪間の課題について、あるいは地球温暖化や核といった、もう少しグローバルな問題について議論をしました。
核の問題については、外相同士でステートメントを出し、核なき世界に向かって、日豪両国政府が緊密に連携を取りながら、これから世界に対して働きかけていこうという、非常に良い中身のステートメントができました。
ただ、マスコミに取り上げられたのは、核の問題も記事にはなりましたが、テレビなどは捕鯨の問題が中心。捕鯨に関しては、オーストラリア側からは、「日本の調査捕鯨は違法であり、これについて話し合いがつかなければ、国際司法裁判所に提訴することも視野に置く」というものでした。
私からは、「それは非常に残念なことである。しかし、もちろん現実に提訴ということになれば、我々の正当性を主張していく。ただ、提訴の前に、なるべく2国間で、そしてIWC(国際捕鯨委員会)で議論することが先ではないか」ということを申し上げました。
これだけ捕鯨の問題でオーストラリア側が強硬なのは、1つは、やはりオーストラリア側の国民感情にあります。「クジラは特別だ。それを捕ったり食べたりするということはとんでもない」と思っている人たちが、オーストラリアには多いということです。
そして、オーストラリアでも前回の選挙で政権交代があったのですが、そういった調査捕鯨について、「これはけしからん、場合によっては国際的な裁判で争う」ということを選挙で約束し、政権交代がなされたという与党の状況も、その背景にはあると思います。
選挙のときに約束したことを、あとから野党や世論から「どうなっているのか」と問われるのは、これはオーストラリアだけの話ではありませんが、大事なことは、お互い冷静にやっていくということです。
日本とオーストラリアは、多くの問題で非常にうまくいっていますし、相互補完関係にある2国間関係ですから、捕鯨の問題は感情的になりやすいわけですが、これが両国の関係全体を損なうことがないようにしなければいけません。
そのことについては、ラッド首相やスミス外相と私との間で、完全に合意したところです。
◎岡田外務大臣の豪州訪問(外務省HP)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/g_okada/australia_10/index.html
◎日豪外相共同ステートメント「核兵器のない世界に向けて」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/g_okada/australia_10/pdfs/1002_ks.pdf
※ブログの動画版はこちら
調査捕鯨は、どこから見ても国際法には違反していないという主張をしなければいけません。
外交上は主張しない事は認めた事になりますよ。
違反していないものを国際司法裁判所に提訴すれば、世界の笑いものになりますよと忠告するべきでした。
また、科学的見地からも鯨は現在増えすぎで、サバ、イワシ、秋刀魚のほうが鯨の餌になり危機的状況です。
くわえて、オーストラリアは絶滅危惧種のジュゴンを大量虐殺している事実も指摘するべきでした。
国を代表して行っているのですから、外務大臣として、しっかり主張すべきは主張して責務を全うしてください。
今後の活動に期待しております。
投稿情報: 石井伸武 | 2010/02/23 08:21
シーシェパードの件がニュースになるまで、私の中でのオーストラリアのイメージは、「暖かい」「フレンドリー」「親日」という感じでした。だからこそ、ここのところのニュースを見ると、寂しくなります。
お互いに言い分はあるし、どちらも間違っていないとも思うので、余計に辛いです。
ただ、過剰な攻撃だけは許せません。どこの国の人であっても、怪我人や負傷者が出るのは、絶対嫌です。
もっと事細かな部分まで、彼らが武器を持たないうちにお話し合いが出来たら良いのですが。
鯨を食べるか食べないかなんて、たいした問題じゃないと思います。実際日本人でも食べたことのない人もいるだろうし、オーストラリア人でも食べたことのある人もいるだろうし。
主食でもない、しかも1年に1回食べるか食べないかのものの事で、オーストラリアと仲が悪くなるのは、残念でなりません。
良い方向に話が進む事を願います。
それよりも、外相の弾丸外交が心配です。本当にお身体大丈夫ですか??長く頑張って欲しいので、くれぐれもご無理の無いようにお願いします。私的には、鯨さんよりそちらの方が心配です。
投稿情報: いいちこ | 2010/02/23 13:13
選挙の事情であるとか、色々と、冷静な分析を聞かせていただくとホッとします。外務省HPの報告を読んでも、押さえるべき事をしっかりと押さえていらっしゃる岡田さんの頼もしい手腕を感じることができて、とても安心します!
それにしても、やっぱり色々なことが言われていても、その中心には「鯨を食べるなんて、、!」という人達の思いがあるのは確かなのですよね、、。
そんなことを考えていたこともあり、逆に食べたことのないオージー料理を食べてみたいと思っていた矢先、たまたま行った動物園でカンガルーを生まれて初めて見ました。
カンガルーが、二本足で立ち上がって細い首を真っ直ぐもたげて、前足で木の枝を掴んでしばし佇んでいたり、珍しい動きでビヨンビヨンと飛び跳ねながら高速移動している姿を見て楽しんだ後では、
「・・・こ、、、これは、食べ物ではアリマセン!」という気分にたわいなくも押されて、カンガルー肉を食べる挑戦を頭から抹殺してしまっていました!
勿論、それを食べるオーストラリアの人々のことを非難する考えになどはならないのですが、それでも心の中に一瞬、「(カンガルーを食べるという)異文化に対する距離感-未知感-不安感」が生じたのは確かです。
一瞬後、すぐにそれらの感情を打ち消すにせよ、これを打ち消す理由なり態度を持っていない場合は、それらの感情が、容易に異文化攻撃へと転じることは、まったく当然に起こりうることだなあ、、と思いました。
大事なのは、感情に流されることなく、異文化を理解しようという意識を常に持つことであると思うので、、とりあえずカンガルー肉に再挑戦します。(多分、絶対美味しいんでしょうね、、笑)
投稿情報: レイ | 2010/02/23 13:37
クジラは2~30年前までは、よく食卓に並ぶ食材でしたね…。昔は肉や魚が高かったし、クジラは値段が安かった。肉や魚の代替品として食べてた気がします。今の30代以上の世代は、クジラを当時そんな感じで食べていたのではないでしょうか…。
今は日本も豊かになり、肉や魚も安く買えるようになりました。クジラは、昔の肉や魚の代替というイメージでなく、高級品という感覚になりました。私は現状から考えて、日本もクジラ保護の観点でさらに考えていく必要があると思います。
投稿情報: くま | 2010/02/23 15:08
岡田大臣の活躍に期待しています。
南極海まで行って調査捕鯨をする目的は何でしょう。
鯨肉を食べなくとも日本人は生きていけます。
投稿情報: 安達 太良 | 2010/02/24 15:10
鯨を食べるというのは食文化という確固たる文化です。日本人は鯨を食べるだけじゃなくその骨や皮、ひげに至るまですべてを利用し尽くしてきました。ただただ油をとるために殺しまくってきた国とは違います。自国の文化を守る、そして他国の文化も尊重するというのが本来あるべき姿じゃないでしょうか。愛護団体のあまりにも感情に流された、なおかつ破綻した言動をそのまま受け止めて認めるのは間違っていると思います。
投稿情報: 砂川宣貴 | 2010/03/02 09:06
鯨・クロマグロの問題は環境や倫理の問題ではなく、すべて経済の問題です。反対している国からの牛肉の輸入を制限するか、賛成してくれる国に何らかの補償をするとか、経済支援に条件(日本の意見に賛同する条件)を設ければ解決できると思います。
次期総理の岡田さんに本気で期待しています。
投稿情報: はま | 2010/03/04 12:37
岡田克也さま、スタッフの皆さま。こんばんは。お疲れ様です。
私の親の世代は「給食でクジラ食べてたのに…」と言います。
古くからの食文化を否定されるのはツラいものですね。マグロの件も本当にツラい。
…「可愛い」が理由ならば、牛も豚も鳥も魚も「可愛い」のです。
ですから、ペットとして飼う人もいます。一方、食用にする人もいます。
どちらを選ぶのも自由。そして互いに干渉してはダメ。
『競走馬』も『農耕馬』も『食用馬』もいる。それが身も蓋もない現実です。
冷静な時間が訪れるのを待つしかありません…
投稿情報: 井上彩 | 2010/03/05 00:21
海外訪問お疲れ様です。ハードな日程ですがお身体は大丈夫でしょうか。
調査捕鯨に関してですが、日本政府は「違法ではない」「合法」と主張されていますが、違法でなければ何をしても良いというものではないと思います。
現在の大型野生動物の調査方法は、発信器を付けて行動を追尾するのが普通であり、後は偶然死体が見つかるか有害駆除された死体を研究する非致死的調査が世界の標準で、研究目的で年間1000頭近くもの鯨を殺す日本の調査捕鯨は異質の存在です。
またIWCの取り決めで捕鯨は禁止されていますが、日本だけが調査捕鯨という仕組みを利用して、公海である南極海の鯨保護区で世界の人々の感情を逆なでしても構わずに鯨を殺し続け、「違法なことをしているわけではない」と商業捕鯨と同等の大規模な捕鯨を行っており、身勝手でモラルに欠ける恥ずべき行為であると思います。
このことで海外では「日本は法の目をかいくぐり捕鯨を続けている」と報道され、オーストラリアは日本の調査捕鯨を国際法廷に提訴すると言っていますが、裁判で争う事になりますと、日本側が「違法性はない」ということで勝つかもしれませんが、この騒ぎで調査捕鯨の認知度が高まり、より一層の国際的非難と日本のイメージ低下を招き、日本製品(アニメや漫画も含む)のボイコットなど様々な分野で悪影響が考えられます。
調査捕鯨は南極海で商業捕鯨再開を目的として行われていますが、再開にはIWCで4分の3以上の賛成票が必要で、現実的には不可能とされています。
また仮に再開されても、捕鯨を取り巻く経済実態の厳しさから参入する企業は現れないと言われています。
南極海で調査捕鯨が開始されてから20年以上経ちますが、ここで現実的な先の見通しを考えて調査捕鯨を見直す必要があると思います。見通しがないままに続けていても国益を損なうばかりですので、南極海で商業捕鯨再開の見通しが立つまで調査捕鯨を縮小ではなく、一時停止にすれば良いと思います。
参考資料
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/721?page=1
投稿情報: yamagara | 2010/03/08 23:11