まず、第1に行きましたのが、タンザニアの蚊帳工場です。蚊帳は、日本古来のもので、私も子どもの時に、田舎の祖母の家に行くと蚊帳が吊ってあったことを思い出しますが、蚊帳の糸に殺虫剤の成分を練り込んで、マラリアを持った蚊が近づいて触ると死んでしまいます。
住友化学が開発をして、タンザニアの地元の企業と一緒に作っています。これが非常に効果があって、マラリアによる死亡――特に5歳以下の子どもの死亡が多いのですが――が半分になったという国がいくつか出てきました。
これは、この蚊帳を大量に配っている成果が出てきたわけです。同時に、そういった素晴らしい技術を日本の企業が提供しているというだけではなくて、このタンザニアの蚊帳工場では、合わせて6000名の雇用を作り出しています。
私も工場を訪れましたが、それまで農村で働いていた主婦や若い人たちが、本当にきびきびと働いていました。ここまで持っていくのは大変だったと思いますが、1つの非常に顕著な成功事例を見ることができたと思います。
作っているものもアフリカの皆さんの命を救うものであり、そして、同時に大きな雇用を生み出しているという意味で、大変素晴らしい成果だと思います。
住友化学の米倉会長には、TICADIV(第4回アフリカ開発会議)閣僚級フォローアップ会合の場にも来ていただき、演説もしていただきました。
いずれにしても、私は、日本の企業が頑張っている姿を嬉しく思いました。
次に行ったのが、農業開発を行っているローアモシ灌漑地区及びキリマンジャロ農業技術者訓練センターです。30年かけて、灌漑をしっかりと整備をして、米作りについてもJICAの職員などが行って指導をして、以前と比べると、いまや2倍から2.5倍くらい、生産性が上がるようになったとのことです。
素晴らしい稲の田んぼが、ずっと続いていたのは壮観でしたが、日本の地道な援助の結果として、こういうものができた。そして、今や、タンザニア全体、そしてアフリカ全体に米作りを広げていくモデルにもなっています。
これも非常に成功事例ですが、そういう場所を視察しました。
そして、タンザニアの首都ダルエスサラームでは、ムヒンビリ国立病院と孤児院を見る機会がありました。
国立病院は、小児病棟などを見ました。日本の援助もかなり入っていますが、結局、医療施設が十分でなく、医者や看護師の数も十分でないということで、多くの赤ちゃんたちが亡くなっています。
もちろん、これはタンザニアで一番良い国立病院だったのですが、1つの保育器の中に2人の赤ちゃんが入れられているのはまだマシなほうで、3人がぎゅうぎゅうに押し込められています。しかし、そうしないと保育器が足りない、という厳しい現実を見ることができました。
あわせて、オロフ・パルメ孤児教育センターという孤児院を訪れました。タンザニアでも、いまエイズによって両親を亡くした子どもたちがたくさんいます。そういう中で、NGOが女の子を集めて孤児院をやっており、日本の「草の根無償資金協力」で、800万円ほどですが支援をしています。
孤児たちは、両親が亡くなったあと、ほとんど身寄りが完全になくなり、農園などでタダ働きに近い状態で働かされたり、ストリートチルドレンになったりしています。そういう子たちを集めてきて、大体11歳くらいから20歳くらいの女の子に、中等教育を行っています。そして、寄宿舎生活で生活指導をしているという孤児院でした。
日本政府としては、敷地の中に水がなかったので、井戸を掘って飲料水を確保したり、そして、これは代表の女の子が言ってくれましたが、日本政府が木の3段ベッドを寄付しました。「いままでは、1つのベッドに2人が寝なければいけなかったが、3段ベッドを寄付してもらったことで、1人が1つのベッドで寝ることができるようになった。非常に感謝している」という挨拶がありました。
金額は多くありませんが、日本政府も草の根で非常に良いことをやっているなと改めて感じました。
いずれにしても、現場に行くとそれぞれいろいろなことが見えてきます。大統領や大臣と話しているだけでは見えてこないものが見えてくることを、今日は申し上げておきたいと思います。
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孤児である子達が大きくなった時、教育を十分に生かして、悲しい思いをせずに暮らせるようになっていればいいなあ、、と思います。
それから、岡田さんのお話にあった、アフリカの大地に広がる、日本と同じ田んぼの風景、をふと思い浮かべてみて、そういえばアフリカでお米を作る、、というのは一体どういうことかな?という疑問がわきました。
アフリカの主食といえば、一つには、南アフリカでは「パップ」、タンザニアでは「ウガリ」と呼ばれているという、トウモロコシの粉を練って作ったものがあるようですし、、。
それで少し今調べてみたら、色々分かりました。
まず、アフリカでもお米の需要が今はとても高くなっていること、(祖先が東南アジア人であるマダガスカルの人たちは、もともと主食がお米なのだそうですが)、ネリカ米という、アジアイネとアフリカイネを掛け合わせた、アフリカの環境にあったお米ができて、生産が十分にできるようになったこと、また、お米に関する優れた技術・支援のノウハウを日本が持っていることなどがあるのだそうですね。なるほど、、と思いました!
アフリカでもお米の消費が増えた理由の一つに、調理が簡単、ということがあるらしいのですが、確かにテレビでみたところ、トウモロコシの粉をお鍋の中でこねるのは、力が要りそうで大変そうでした、、。でも美味しそうだし、立派な食文化として、これからも主食の座を守っていってもらいたい気持ちです!
投稿情報: レイ | 2010/05/11 22:21
蚊帳技術が外国にしっかりと定着した事は、とっても嬉しいです。でも、蚊が触れただけで死んでしまうような殺虫剤を糸に混ぜて、それを人間が使用して、身体に害は無いのでしょうか?小さい子が謝って端っこを口に入れたりしても大丈夫なのかなぁ・・・などと、ちょっと心配してしまいました。
日本ではたいした金額ではなくても、外国で活用すると色んなことができるのですね。お金だけじゃなくて、雇用も増えているという点も、今の日本にとってはうらやましい限りです。
お米作りもしてるのですか。おいしいお米がたくさん取れるといいなぁ~!!収穫の時期に現地を訪れる機会があるなら是非、「おにぎり」を教えてあげてください。きっとみんな喜びます。
どこでもドアでもあれば、私も行ってみたいです・・・。
投稿情報: いいちこ | 2010/05/12 11:23