イギリスで総選挙が行われ、その結果が出ました。特筆すべくは、長かった労働党第一党の時代が終わり、そして、保守党が第一党、労働党が第二党、自由民主党が第三党となったことです。
そして、いままでと違い、単独で過半数を取った政党がなかったということで、保守党と自由民主党の連立政権となりました。このことを持って、イギリスでは二大政党の時代が終わったという見方もあります。
私は、本来、完全小選挙区制度というのは、硬直的な制度であると考えてきました。完全小選挙区制度となると、第三党が出てきにくく、得票率がある程度あっても、議席を得るには至らないということになり、その結果、2つの政党だけがずっと議席の大半を占めます。
こういうことになると、活力がなくなるというか、弾力性がなくなり、いわば、カルテルのようなことになります。そういう欠点を補うために、完全小選挙区制度ではなくて、ある程度比例代表制度を入れて、第三党が出てくる余地を残しておくことは、非常に合理的だと私は思ってきました。
よく、「二大政党制」と言いますが、私は、正確には「二大政党」というより「政権交代が可能な政治」、そのために、基本的には大きな政党が2つある。つまり、それ以外に小さな政党があって、場合によっては、その二大政党が、小さな政党に取って代わられるという、弾力性を持った仕組みが良いと考えてきました。
もちろん、いまの日本の制度は、300の小選挙区と180の比例区ですが、もう少し、比例は少なくていいと思います。300の小選挙区、100の比例くらいが、一番適切ではないかと思います。その100の比例の中で、少数政党が存在し、場合によっては、大きく入れ替わるという仕組みが、最も優れているのではと思っています。
今回、ブラウン首相が退陣をし、党首の座を去ることを表明されました。ブラウン氏は、ある意味では、非常に運がなかったリーダーだと思います。ブレア氏とブラウン氏が競っていた時代、実際には、ブラウン氏のほうが、政治家としては良かったのではないかという声もありました。
しかし、一足先に、ブレア氏が首相になり、その時代があまりにも長かったために、ブラウン氏の出る幕がないまま終わってしまった。首相にはなったものの、様々なことが重なり、力量を発揮できないまま終わってしまった、というような感じがします。
人間、政治家というのも、「巡り合わせ」だと改めて感じます。
国会議員は、国民の単なる国会議決代表者か、選ばれた指導者か、運命を背負った統治者か、はたまた、エンターテイナーか、という政治学的議論が必要でしょう。
イギリスは階級社会であり、支配階級には長年の富と利権の蓄積がありますから、有望かつ適性のある若手議員なら、労働党であろうと支援して、ブレアのように自分たちの意に沿う議員を首相に押し上げ、国民と政府の支配を続けようとします。
もちろん、民主主義社会ですから、一般市民に受け入れられる政治家であることは重要ですが、基本的に誰が首相になってもイギリスや日本の高度先進国では、それほど大きな違いはない。
しかし、「なるべきない人」が首相になる場合もあります。それだけ、その国が特殊な状況にあったということになりますが。
たとえば、韓国の前大統領は自殺しています。米国でもホワイトハウスでの破廉恥な行為で世界に軽蔑された大統領がいます。
ただ、基本的な条件、力量、素養、教養、実績、才能、適性がない人が、そういう違いが分からずにトップに就くということもあります。
これは、単一課題の解決が求められている場合に、たまたま、しかるべき地位を占めていたために、トップにまで祭り上げられたというケースに代表されると思います。
あるいは、時代が短期間、本来不適格であっても特殊な政治家をトップに必要とした場合もあります。
イギリスでは、「真の支配階級」がブレアを選択し、ブラウンを後回しにした、という感じがあります。
鳩山首相と菅蔵相の関係も興味深い。ただ、そのあとは岡田大臣の世代ですが・・・
それから、ギリシア、アフガニスタン、北朝鮮、タイといった問題地域を訪問して「日本の外交力のアピール」を行うべきではないでしょうか。
沖縄から向こうには目が向かないようでは困ります。
首相は上海万博でも訪問して、「友愛」の実績を作るべき?
投稿情報: 一国民 | 2010/05/14 11:03
ブラウン首相、失言報道でその名前をはっきり覚える事になってしまったわけですが(←私の中で)、ホント運がなかったですね。
誰だって愚痴の一つもこぼさなきゃやってられないと思います。。ましてや国をまとめる立場となったら、尚更です。
ハマコーさんや、亀井さんのようなキャラだったら、もっと変わっていたかもしれませんね。かわいそうです。
何はともあれ、新しく生まれ変わったイギリスに期待します。
投稿情報: いいちこ | 2010/05/14 12:51
単純小選挙区制度の最大の弊害はやはり「死票」の多さです。そのため、何らかの比例代表制は民意反映のために必要という意見が英国でも見受けられます。
もっとも、連合王国でもスコットランド議会やロンドン市議会など、一部比例代表制を用いている選挙もあります。政党の獲得議席数は、単純小選挙区と比例区を連用しています。比例区の議席配分は比例区得票数/(比例区内の小選挙区獲得議席数+比例代表獲得議席数+1)とドント方式を採用。並立制だと大きな政党に有利ですが、連用制だと小さな政党にも議席獲得の可能性があります。
投稿情報: wasaweb | 2010/05/15 01:10
岡田先生
夢の政権交代の実現お喜び申し上げます。
今世界では餓死 テロ貧困
など苦しい立場において
私も法律職につくために
勉強しておりますが
岡田先生も法律のスペシャリストであり国民の立場から
国会世界を見れる立場で
いつもアカデミックな授業を
ここで学べるので凄くここのページは為にらるので大好きです。
私達の為に日々ありがとうございます。
私も法律を学び憲法を学び
核兵器の問題もありますが
二度と同じ繰り返すことのない
平和な世界になれたらと
思います。
投稿情報: yayoi | 2010/05/15 10:21
日本の国会が、衆議院480議席、参議院242議席であるのに対し、アメリカ連邦議会は、下院が435議席、上院が100議席です。しかしながら、アメリカ連邦議会は、日本の国会よりも、はるかに強い権限を有しています。
たとえば、個々の法律を見ても、1000ページを超えるものがざらにあります。立法府が、詳細に法律で規定するため、行政府の裁量権が狭くなります。結果として、立法府の優位性が確立されます。
日本では、法律は単にアウトラインだけを決め、詳細については、行政府に委ねるとすることが多いようです。結果として、行政府の権限が拡大し、官僚が主導権を握ることになります。
三権分立の下、国家機関の権限は、相対的なものです。立法府と司法府の権限を強めれば、行政府・官僚の権限は、相対的に弱まります。
私は、民主党においては、委員会機能の活性化、議員スタッフの増員、国会の調査機能の拡充、等々を通じ、より立法府の機能を強めていただきたいと思っています。国民に近い立法府の機能を強めることが、よりオープンで民主主義的な政治過程を実現することにつながります。
投稿情報: Publius | 2010/05/16 22:46
岡田克也外務大臣、スタッフの皆さま、こんばんは。
岡田さんの深さ優しさに甘え、不躾と無知の投稿ばかり繰り返します。非礼を許してください。
最近「めぐりあわせ」について思案します。誠意ある実力ある方に、いちばん重要な仕事を。当たり前の話なのに。世の中は誤解だらけ。
「めぐりあわせ」を『政局』と呼ぶのでしょうか。世界の歴史は「もしも」が殆ど。
新しい郵政法案、私的に個人的に無念。他も多々。
政局、難しいこと。頭の悪い私に理解できません。ただ岡田大臣の弛まない最善の努力だけ、いつも心に残ります。
暇なく書類を読んでる岡田さん。真似できない。感謝いたします。
激務の連続、お疲れでないでしょうか。必ずや長生きしてくださいね。拙い文章、申し訳ありません。かしこ。
投稿情報: 井上彩 | 2010/05/27 19:29