昨日、日本の国際連合加盟50周年記念式典が行われました。安倍総理も、祖父にあたられる岸元総理が外務大臣時代に国連中心主義を唱えられたことを挨拶の中で挙げられて、国連の改革などについて語られました。
ただ、私自身、安倍さんが国連というものをどういうふうに考えているのかということを一度しっかり聞いてみたい気がします。
あのイラク戦争では、国連決議が実質的にはないなかで、特に常任理事国であるフランス、ロシア、中国の反対を押し切るなかで、アメリカがイラク戦争を始めました。それに対して、10年前の国連決議を持ち出して、「国連決議はある」と言って支持をしたのが日本です。
果たして、あの行為がどうだったのか。アナン事務総長は「国連は死んだ」という趣旨のことを言われましたが、本当に国連にとって、大きなダメージだったと思います。
少しでも取っ掛かりがあれば、何でもかんでも正当化してしまって、そしてアメリカの単独行動、まさしく国連というものを無視する行動を正当化したということです。
私は国会で何度も小泉さんと議論しましたが、単独行動というものが、国連安保理の決議に基づいて武力行使をするという国連憲章の精神を大きく損なっているということについて、日本は懸念を表明したことがありません。
アメリカも単独行動とは言っていないとか、そういった牽強付会、まさしく説明にならない説明を繰り返してきたのが、この間の小泉総理の説明でした。
やはり国連というものは、限界はあるにせよ、非常に重要な役割を果たしてもらわなければなりません。そのために、もちろん日本も常任理事国になることも重要です。
しかし、同時に国連がより求心力を持って活動できるようにしっかりとした改革、そしてアメリカをはじめとする超大国に対しても、それに対する協力を求めていく姿勢、これが日本にとって求められているのではないでしょうか。
安倍さんがそういった国連の役割というものについて、本当はどう考えているのか、是非一度議論したいものだと思っています。
(日本が常任理事国入りを果たすための三通りの考え方。)
①現行の条件が、資金的、外交的、軍事的な面においての国際社会への貢献度なのだから、自衛隊が9条を尊重しながら軍事的な貢献度を上げようとすれば、必ず歪みが生じる。
(※私は改憲論者ではない。)
②平和的な活動と経済的な負担を十分に行ってきた日本がその姿勢を変えずに認められるには、現行の制度を覆すような国連自体のシステム改革を進め、軍事力を極力行使しなくても常任理事国になれるという制度に変わらなければならない。
③準常任理事国というシステムを検討などという話があり、これはステップとしては有効かもしれないが、最終目的が常任理事国入りである限り、後に再び理論上の矛盾が必ず起こる。
私は②の“もっと国連改革を”が有効ではないだろうかと思う。
(ここで敢えて書くと私には、国連安保理が戦勝国や軍事大国が舵取りをし、これらの大国がさらに安泰で居られるために運営されている組織なのだという先入観がある。)
だが実際日本が国際社会で存在感を示すのには、改選なく発言権を持つ常任理事国になる努力が必要である。日本の今日までの国際的な貢献はもっと評価されて然るべきである。
そして拒否権を持つということが、自国を守る時のためだけに留まらす、過激な軍事国家の暴走を抑止出来得るという点において、まさに平和主義につながると思う。
核や武力の軍縮について日本がもっと意見を言える場になれば、これまで以上に核不拡散への意識が世界で高まるはずだ。ここ暫くの日常生活の中にも入り込んでくる、不安定な国際情勢の情報を見聞きする間に私は、真剣にこの考えを持つようになった。
また、国連での存在感を増すことと、『日米同盟を支柱に据えながらのアジア外交重視』論の実現が、日本の明るい未来につながる。
そして国連は本来、平和憲章に則った多国間協議の場であるのだから、もっと機能的に運営されていれば問題はないはずである。
ところが先のイラク戦争では、超大国の先制攻撃主義と単独行動のために、国連が一切といってよいほどの機能不全に陥ってしまった。世界の警察を自負するアメリカが原因である。そして今もなお、米国主導の代理戦争が世界各地ではびこるという深刻な状況が事実上放任されている。
ここ数年間に他の国々から見て、近年の米国の暴走を抑止出来ない組織(国連)に認められたがる日本とはいったいどう判断されるのだろうか、という大きな問題が起こった。日本はこの部分でもイラク戦争支持での大きな痛手を負ったのである。
名ばかりの保守的思想にのっかる形での性急な改憲論議よりもまず、現憲法と国連(改革)との関係を模索することが必要な時期に来ている。
投稿情報: 小原 | 2007/01/11 21:38