実は、先ほどIPCC(気候変動に関する政府間パネル)のパチャウリ議長とお会いをして、30分ほど同僚の福山議員とともにお話をしてまいりました。
特に話題となったのが、COP13の評価ということですが、だいたい議長と私の認識は一致しているなと思いました。
その前に今日は、民主党の環境部門会議が朝からありまして、そこでも私自身もCOP13の私なりの報告をさせていただいたわけですが、私の前に外務省と環境省が政府としてのCOP13の総括、評価を説明していました。
もちろん外務省も言うように、まず中国、インドその他のこれから豊かになろうとする発展途上国も合意し、そしてアメリカも離脱しなかったという意味で、一定の評価ができることも事実です。2009年までに次の枠組みを決めると合意したことも、非常に良かったと思います。
そういった点はもちろん評価できるわけですが、議論の途中で出ていた、例えば2020年に先進国が25~40%温暖化ガスをカットするということについて、日本はカナダとともに、これを盛り込ませないという方向で努力をしました。ブロックしたと言ったほうがいいと思います。日本とカナダ、そしてその後ろにいるアメリカが、一種の抵抗勢力というかたちで、今回数字が入らないことに貢献したと見られているわけです。
日本がどうしてそういう行動に出たかということは、様々な理由があると思いますが、一つはアメリカ、もう一つは国内事情ということだと思います。
しかし、アメリカは大統領が変われば、もちろん政策はガラッと変わると思いますが、その前のブッシュ政権であっても、いま大統領選挙が本格化しつつある状況で、アメリカだけが、世界が合意する中で、また合意から離れてしまう、一人反対するということは出来なかったと思います。そうであれば、少しでもアメリカを説得し、ある意味追い込みながら、数字をのませる努力をもっと日本としてすべきではなかったかと思います。
そういった取っ掛かりをつくっておきませんでしたので、洞爺湖サミットで具体的な成果を上げることは非常に難しくなってしまったのではないか。洞爺湖サミットで日本がアメリカを説得して、日本が数字を入れるなどということは非常に考えにくいことで、非常に洞爺湖サミット自身の成果というものが厳しくなってきたと思います。
その辺を、例えば福田総理がサミット後に解散・総選挙をお考であるとすれば、あまりにも策がなかったなと、これは政府の、あいは与党のことではありますが、そんな気がしてなりません。
もう一つは、何といっても国内で反対する勢力があったということで、基本的には経団連であります。しかし、短期的な利益という意味では、色んな数字が入るのは困るというのは、それなりに理由のあることかもしれませんが、長い目で見たときに、やはりEUなどが考えている国内排出権取引、そういったことに日本も早く乗っていかないと、結局日本の産業の競争力にとっても大きなマイナスになるのではないかという気がします。
私がイギリスの気候変動大使にお会いしたときに、彼が渡してくれたパンフレットがありますが、それは、イギリスの経団連が先頭を切ってこの温暖化問題に取り組んでいるというパンフレットでした。
日本の経済界にも色んな声があると思います。現に経済同友会の中からは、温暖化問題にちゃんと取り組むべきだという声もかなり出てきています。
国際的に、例えば自動車や電器製品などを作り、販売している会社から見ると、ヨーロッパと違うルールで日本が動いていくということに対しては、むしろ懸念があるのではないかと思います。
したがって、経済界の中でも様々な議論がもっと出てくるべきだし、そして私達政治家は、もう少し長期的な視点で見るべきこと。そして何よりも、次の世代に対して責任を果たすという観点から、日本が温暖化問題でリーダーシップを取っていく。そのためにもまず、きちんとした数字を日本自身がつくって、そしてそれを守っていく。そういったことの必要性をもっと私達が語らなければいけないと思います。
経済界の意向を真に受けて、そしてそれをオウム返しに言っているだけの政府の中の一部の官庁や、あるいは与党の中の一部の議員、そういったことに対して、もっとしっかりと私達は声を上げていく必要があると改めて感じております。
そういう意味で次の国会の大きな争点、そして総選挙の大きな争点、それが温暖化であると改めて感じたところです。
日本にある青山の国連の建物の中で、議長にお会いしたわけですけれども、ちょうど温暖化に関する写真展もロビーでやっていまして、そう大きなものではありませんが、一見の価値ありということですので、お時間のある方は是非ご覧いただきたいと思います。
もう一つの不都合な真実-ピークオイル問題についても、民主党さんが政策を打ち出してくれると、物事が動き出すのだと思いますが。
なぜなら、ピークオイルの適応策=地球温暖化の緩和策という関係になりますので。
投稿情報: SGW | 2007/12/19 23:08
政治家ならば、環境問題を議論する際には、同時にエネルギー問題も同じテーブルに乗せて議論しているものと思いますが、岡田さんがこの議論を行う際には、ピークオイル論の他に、「石油無機起源説」の真偽をしっかり確かめてから議論を進めて欲しいと思います。
ちなみに、私は地球温度化は少し進行しつつあると思っていますが、その原因は人為的な温室効果ガス排出増によるものでは無いと思っています。
投稿情報: スパイラルドラゴン | 2007/12/20 17:28
14日の朝日新聞に、岡田さんがCOP13に参加した後、記者会見し、次期通常国会で排出量取引制度を導入する法案を提出する意向である旨の記事が掲載されていました。
小さい記事ではありましたが、野党議員で、単独で新聞の記事になるのは、本当に限られた方です。
岡田さんは、その数少ない方の内のお一人でしょう。
岡田さんが、地球温暖化の問題に真剣に取り組んでいらっしゃる事は、ホームページのブログなどを拝読すると伝わってきますが、しかしインターネットを通じ、ホームページまでたどり着くのは、ほんの一部の人だと思います。
岡田さんの元には、取材やテレビ出演のオファーが数々寄せられていると伺っていますが、もし機会があるならば、ぜひメディアを通じて、岡田さんのお考えを発信していただきたいと思っています。また、その時期が来ているのではないでしょうか。
僭越ではありますが、思うところを申し上げました。
投稿情報: 匿名子 | 2007/12/21 03:16
民主党に目を向け始めた経団連と牽制する傲慢自民党
日本経団連のことで、朝日に出ていた記事を思い出しました。
経団連の方が、民主党の意見にも耳を傾けたらと言ったところ、自民党が強い牽制的意見をしたというものです。
一概に経団連ばかりを悪いともいえない
と思いました。
アフガン問題でも、現地の声より米国の声を聞く、モラルなき自民党には、早く退場していただきたいものです。
密談大好きの福田さんにも、うんざりです。
核軍縮と環境問題、テロとの戦い方と環境問題、これを絡めて、是非、環境問題を平和活動へとつなげてほしいと思います。
投稿情報: 地球人 | 2007/12/21 12:44
お疲れ様です。
いつも岡田さんを応援しております。
一言申し上げさせていただくならば、日本国内での二酸化炭素排出量削減のためには、どうしても家庭での削減が必要になります。
産業界については、ある程度の削減は実施できています。
家庭部門については現在のところうなぎのぼりだとお聞きしました。
家庭でのエネルギー使用の削減について、具体的な案を出さない限り、産業界に排出権取引で規制をかけたとしても、焼け石に水だと思います。
ぜひ、その点についても御一考お願いいたします。
具体的には環境税の導入等になるのでしょうか?
その案では、ほかの財源とも一体的に税制を見直し、一般家庭については少し増税、大量消費家庭に対しては少し多めに増税、そして、削減家庭については大きな減税となるように設計できれば、民主党の政権獲得も近いと思います。
投稿情報: がんばってください | 2007/12/24 00:18
朝日新聞の記事を拝見し、この度初めてブログを拝見させて戴きました。
ぜひ排出量取引、環境税、再生可能エネルギー普及案を国会で議論していただきたいと考えています。
とくに排出量取引については、米国ではCCXですでに取引が行われていますし、州ごとの検討、法案の審議が進んでおります。
ブッシュ政権後には導入できるよう、少なくとも環境整備が整いつつあります。
日本でも取引量は少ないかもしれませんが環境省の自主的な排出権取引がありますし、自治体単位でも東京都が検討を始めました。しかし、国の法案の議論が見られません。
また、来年のG8に向け、我が国の数値目標の設定とその為の政策パッケージの提示はG8でリーダーシップを果たす上で重要なツールだと思います。
数値目標や、排出量取引や環境税の制度設計の議論などは、審議会形式では動きません。状況打破には国会での議論が必要とされています。
是非、議論を巻き起こしていただきたく思い、コメントさせて戴きました。
投稿情報: tokyosustainability | 2007/12/24 02:35
ピークオイル論の論客であるリチャード・ハインバーグは最近、石炭もピークが近い(2030年頃)というドイツの研究(「驚きの石炭ピーク研究」)を引用して、全化石燃料の生産量ピークも2010年頃である可能性がある、としています。
このレベル(年率5%以上)の石油生産量の急減が本当にあるとすれば、排出枠取引は、上限(キャップ)の設定を過剰に設定してしまい、炭素価格が暴落する(すなわち市場が機能しない)おそれがある、という警告も出しています。
まずはすでに存在する法律を大幅強化することを目指してはどうでしょうか。
省エネ法の年率1%削減規定を5%程度に強化し、罰則を持たせて守らせることと、再生可能エネルギーの数値目標を10倍以上引き上げると言った手段の方が、炭素税や排出枠取引を新たに設置するよりも即効性があり、そのスピードこそが日本経済の生死を分けるかもしれません。
もう一つの不都合な真実-ピークオイルの紹介-(日本語pdf版)
http://www.janjanblog.jp/user/stopglobalwarming/files/Another_Inconvenient_Truth_Windows.pdf
というのも作っていますので一度ご覧いただければと思います。
投稿情報: SGW | 2007/12/24 20:12
ライフスタイルと技術の逆行。もしこれを数十年などという短いスパンに実現出来るのであれば、まさに理想的解決法になるのだが、なかなか難しいだろうと考えざるを得ない。
そしてまた違った視点からいうと、地球全体の温度変化の歴史からみると、今は氷河期の中の一時期だということ。
しかし当然のことながら、そんな何万年単位での話に楽観することなど出来ない。
なぜなら現に、CO2排出量増加を原因とする地球温暖化の影響から起こる世界各地での異常気象の頻発、またその被害の甚大さを考えると、あまりに長期的なスパンで捉えて大きすぎる対策を練るという方法では、近い将来の地球を守れなくなってしまうこと必至である。
やはり消費エネルギー量・CO2排出量を緊急に検討→緊急に削減という観点から、ここ近い年数で温度上昇をくい止めることが先決である。
これは何万年単位という地球の温度変化からすると、強いて言えばケガの応急処置のようなものなのかもしれない。
しかしこの「ケガ」が重症なのであり、現存する人体や動植物が適応する範囲での環境に暮らすことが脅かされつつある。もう限界に近付いているような状態なのである。
数十年先といわずともここ数年間にも、いわゆる温暖化を引き金とする干ばつや大洪水での被害者が後を絶たないのだから。
(地震に関しては、当然温度だけの原因ではないが、地表の温度上昇が進んでいくとどの地層にまでどれだけ影響を与えるのかという、温暖化による地面への負荷との関連性を全く否定することは、現時点では出来ていない。)
そして、次に、長い長いスパンでの、何代も、あるいは何十代も先になる我々の子孫に受け継がれるべき役割として、天然eco生活に戻すべきと申しましょうか、まさに生活様式全体を大昔のように戻していくための努力も、必ず必要となってくる。
詰まるところ、岡田氏の提唱されている温暖化対策は、まさに真面目な意味でスケールが大きい課題。
それに必要なのは国家を挙げての取り組み、海外との連携、企業などの組織がリードする全国民・全地球人同士の協力。こういう多角的ビジョンを長期短期、両方からのスパンでみた対処法を、今すぐにでも仕上げなければならない。その舵取りの方向を示していただくのが政治の大きな役割である。国家総動員で取り組むのだという信号を発し、可能にすることにも政治力が必要。
そして岡田氏がかねてよりおっしゃっておられるように、いま日本が中心的リーダーシップを発揮しなければ、どこの国がこの役割を果たすことができるというのだろう。
また、書きながら思ったのですが、この問題はとてつもなく奥が深いというか、ものすごく様々な角度からの視点を見付け、掘り下げていかなければならない。民間人の私達にはどうしても限界があります。
自民長期政権であったが故のほころびを取り繕うかのような残務処理的な政治に時間を奪われるのは程ほどにしていただいて、前向きな将来型の外交にも発展し得る環境問題にこそ、政治力を存分に発揮し、解決法への一歩を編み出していただけますよう、どうかよろしくお願い致します。
投稿情報: 小原 | 2007/12/27 02:37
※CO2と書きましたが「CO2など」でしたか…。
私は、人災を大いに憂う思いからですが、近ごろ活字等にも載っている温室効果ガスの排出量・削減、という言葉に今ひとつピンときません。温室効果ガスの量というのは、云わば人害、の範疇にない言葉のように私は捉えて仕方がありません。
‘いろいろと細かいようなこと’を書いてすみませんが、決して細かいことではないと思います。
投稿情報: 小原 | 2007/12/27 08:25