飯倉公館、聞き慣れない言葉だと思いますが、これは、レセプションをやったり食事会をしたりするための、外務省の施設です。とはいえ、私自身も外務大臣になるまでは、何らかの会合の立食パーティで、1回来たことがある記憶はあるのですが、基本的には、外務大臣になって初めてその存在を知りました。
よく日本に各国の外務大臣がお見えになります。そうなりますと、夜に、この飯倉公館でもてなすことになります。「もてなす」と言っても、だいたい30分程度外相会談を行い、それから食事をとりながら、プラス1時間半ないしは2時間議論を続けるというものです。
ただ、最初の30分は、かなりしっかりとした議論を行いますが、食事をとりながらの会談となりますと、もう少し打ち解けて話をすることができますので、私は非常に意味があると思っています。
最近でも、ドイツのヴェスターヴェレ外相やベトナムのキエム副首相兼外相、コロンビアのベルムデス外相、あるいはアルゼンチンのタイアナ外務・国際通商・宗務相などがお見えになって、食事をとりながらお話をしました。
日本の料理は1つの文化ですので、食事をとりながら、特に日本に初めて来られた方に対しては、いろいろと料理の説明もします。凝った料理は私も説明できないですが、見ただけでもきれいな料理というのは、これも外交の1つの手段だと思っています。
飯倉公館には、きれいな日本庭園と池があります。その池には、丸々と太った鯉が泳いでいます。私は30分の外相会談が終わったあと、食事の前にその池を案内しますが、きれいな錦鯉を見て、多くの方が非常に喜ばれます。
ただ、この前ある中東の方をお招きしたときに、その鯉を見て「これはサーモンか」と言われたときには、ちょっと驚いてしまいました。
考えてみれば、サーモンは赤身ですから、赤い鯉を見てそう思われたかもしれませんが、私は「これはサーモンではなく、鯉だ」と説明をしました。
中東では日本の錦鯉はあまり有名ではないと聞きますが、これだけきれいな美しい鯉ですから、中東の皆さんにも、ひょっとしたらすごく喜ばれるのではないか、日本から輸出すれば、ずいぶん需要があるのではないかと思った次第です。
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教育というと堅苦しくなりますが、家族との食事をどのように取るかということはとても大切なことだと思います。おいしいものを食べながら、今の幸せを考え、もっと幸せになる方法を話し合う、そこで何か新しい発見が生まれるかもしれない、そんな家族との時間を持てたらいいですね!
投稿情報: baryon | 2010/01/29 04:37
日本料理で外交なんて、素敵ですね!
想像するに、今頃なら、菜の花を使ったお料理が出て、
「日本では、旬の食材を食べるのを大事にしますが、旬のものは味も鮮烈で最も美味しく、栄養も豊かで、四季などの季節を直接味わうことができるんです。
この菜の花なども、食べると、大地の滋養をしっかりと体に取り入れ、これからやって来る春の息吹を感じることができるんですよ」
など、日本の文化についてもお話になれますね、、!
逆に、お客様の国の食材や料理が取り入れられていたら、その国の文化について自然にお話が出たり、それが地域や経済の話に発展して行ったりして、岡田さんも次にその国を訪ねた時に、本場の味を確かめる楽しみができたりしそうで、色々な可能性があって、考えるだけで面白いです!
投稿情報: レイ | 2010/01/31 01:36
色々な国の方達が集まっての会合、得るものも多かったのではないでしょうか?
日本人ならではの、食をもっての「おもてなし」、外国の方には絶対うれしいと思います。食が満たされると、自然とオープンになって、本音でお話できるものです。私も、大事な話をしたいときは、お茶ではなくお食事に誘います。
錦鯉のお話を読んで、ドキッとしました・・・。私も最近まで同じような事を思っておりまして。。
さすがに鮭との区別は付きますが(笑)、大事なお客様が来たときにお出ししたりするのかな。。。などと思ってました。ふぐ料理屋さんの生簀みたいな感じです。マグロみたいな売り方をするし(1匹何百万とか)、観賞用とは思いませんでした。
お仕事も大事ですが、たまにはお友達などと楽しいお食事をして下さい。良いリフレッシュになると思います。おススメは、やっぱりお鍋かな~!!
投稿情報: いいちこ | 2010/01/31 13:13
投稿有難うございました。
私は外資系IT企業に勤め、上司と同僚が米国人で、韓国、中国、インドなどのアジア諸国を相手にしている為、日本と他国の多くの違いを日々感じております。一言で言えば、”日本の常識=世界の非常識”です。
従って、鯉の様な純日本的な物は、他国の人の興味を引き易く、日本の外貨獲得産業の一つになるのではないかと思います。
投稿情報: 渡部義広 | 2010/02/01 00:05
岡田克也さま、スタッフの皆さま。こんばんは。
日本料理を大好きです。とにかく美味しいから。自炊も和食作りを心掛けます。和食はレシピが細かいため美味しい。
錦鯉は凄い。なんで、お魚が、あんな複雑で綺麗な模様になるのでしょう。
日本の打ち上げ花火の美しさにも同じ感想を抱きます。
あるインタビューで、英国ロイヤルバレエ団に在籍した、イタリア育ちの著名バレリーナさんが、
「イタリア料理はイタリアより日本で食べた方が美味しい」と話してました。
驚きました。来日すると、日本のイタリア料理店に必ず行くそう。
改良を重ねた日本の白米は美味しいため「リゾットまで美味しい」と。
ハリウッド人気女優のミラ・ジョヴォヴィッチさんは、渋谷で売ってる、日本人デザインの、
若い女性向け廉価服をたくさん買います。デザインが凝っていて可愛いから。
オバマ夫人のスーツの生地は日本製。絹で織った、綺麗な綺麗な生地。
日本人の職人芸は、繊細で丁寧で、本当にスゴいです。
だから黒澤明監督の映画は、いまだに世界で評価されます。ゲームやアニメも売れます。
売り方の工夫を変えたら、日本人が作ったモノは、もっともっと評価されて売れるハズ。
産業の空洞と聞くと悲しくなります。日本人の職人芸を生かしてないから。
人件費で少し値段が高くても、やっぱり良いモノは買ってもらえます。
全く経済について知りませんが、そんな気がします。かしこ
投稿情報: 井上彩 | 2010/02/02 02:31
中東の方が錦鯉を鮭では、と仰ったとのこと。 鮭が産卵をする為に川を遡上し、産卵が近ずくにつれ体が赤くなり直前には真っ赤と云えるくらいになりますので、良いラインに…。
池の鯉、こいのぼりと鯉は日本の文化に欠かせないものですが、又音楽で申し訳ありませんが、シューベルトに 鱒 があり、ヨーロッパ、中東等ではこちらのお魚をより身近に感じるのかもしれません。
投稿情報: 楽友 | 2010/02/08 01:26