今日は悲しい話をしなければなりません。ケニア在住の岸田袈裟(きしだ・けさ)さんが、お亡くなりになりました。
岸田さんは、NPO法人「少年ケニヤの友」の副理事長であり、代表者であります。私がケニアを訪れた際に、ほぼ4日間の日程をずっと一緒に行動してくれた方でした。
岸田さんは、NPO法人「少年ケニヤの友」の副理事長であり、代表者であります。私がケニアを訪れた際に、ほぼ4日間の日程をずっと一緒に行動してくれた方でした。
現地に長くお住みになり、非常にユニークな活動をしてこられました。例えば、日本のかまどを普及させる「かまどプロジェクト」。当時私が聞いた話でも、1万個以上のかまどが作られていました。そして、それはもう日本人の手を離れて、ケニア人の間で普及活動が進んでいるというお話でした。
それまでは、焚き木を拾ってきて、それで食べ物の煮炊き等をしていたと。しかし、効率が悪い。泥があればすぐ作れるかまどを使うことで、木の消費量が半分くらい減り、焚き木を拾いに行くという、かなりの時間と労力を要する仕事から女性は解放されました。
また、焚き木の採取が減りますから、緑の保全にもなるということで、非常に歓迎され、かまどがケニアにかなり広がったということです。その運動を始められた、大変なアイディアウーマンだと思います。
私もケニアのかまどで作った食事をごちそうになりましたが、多少煙が広がるという難はあるものの、非常に効率的で家事労働の負担も減って、ケニアの皆さんも非常に喜んでおられました。
そして、それだけではなくて、例えばエイズで苦しむ人たちに食事の指導をして元気づける。あるいは、私も一緒に回りましたが、非常にエイズが広がっており、島民の3割、4割の人がHIVウィルスにポジティブ(陽性)という、ビクトリア湖という大きな湖の島々で巡回医療をやったりと、様々な活動をやっておられました。
非常に幅広くケニアの中で活動されておられた方で、ガンでお亡くなりになったということを新聞で知って、大変残念に思っています。
そして、世界あちこち回っていますと、そういった形で地域に根差した様々な支援活動をしている日本人に会うわけですが、岸田さんはその1つの典型だったと思います。
そういった日々の活動を通じて、日本に対する理解や日本人に対する親近感を、それぞれ厳しい状況にある国々の人々が持っていただく機会を作る、大変ありがたい存在です。
岸田さんのご冥福を、心からお祈り申し上げたいと思います。
※ブログの動画版はこちら
こんな話をすると貧乏な人間のひがみに聞こえるかもしれませんが、本来蓄えるべき物はお金や物ではなく、知識や技術ではないかと思います。私は父から真面目に生きる事、自分の信念を貫く事を伝えられました。これは私の人生にとってとてもありがたい父の遺産で、私は自分の子供に何を伝えるのか、それが今の私の夢にもつながっています。
投稿情報: baryon | 2010/03/06 04:07
私の父も、昨年ガンで亡くなりました。それまでは、人が亡くなるということがあまりよく分からなかったのですが、今までいた人がそこから消えるという事がどれだけ辛く大変な事か、よく分かりました。
でも不思議なもので、亡くなって1年以上経っているのに、まだすぐ側にいてくれているような気が常にしています。
亡くなった人に対する愛情や親しみ・感謝の気持ちが強ければ強いほど、ずっと側にいると思えるのかもしれません。
岸田さんもきっと、ケニアの方達や関わってきた方達の心の中に生き続けると思います。
投稿情報: いいちこ | 2010/03/07 11:30
このホームページの「活動レポート」の中の「特集-ケニア訪問報告」で、岸田さんや、日本のかまどの写真なども拝見させて頂きました。
このブログのお話とこの活動レポートの内容は、大変に重く、息苦しくなるほどですが、エイズの問題など、重要なのに逃げがちだった問題を直視する良い機会を与えて頂いたと思います。
1月29日の外交演説で、岡田さんが貧困やエイズで苦しむアフリカの人々の支援について、力を込めてお話になっていたことを思い出しました。
アフリカの貧困は、アフリカの外側の人々の利益によって始まり、そして今なお、それによって持続している、、というような話を聞いて以来、もしそれが本当なら、それに目をつむるのは恐ろしいことだと思いました。同時に日本人である自分の日々の生活も、かなりの部分見も知らぬ遠い国の誰かの犠牲の上に成り立っている可能性が大なのかもしれない、、、ということを考えたりもします。
いずれにしても、現在苦しんでいる人達の支援の為に、岸田さんのような素晴らしい女性たちがいらっしゃることを、しっかりと心に刻みたいと思いました。
投稿情報: レイ | 2010/03/08 23:28
岡田克也さま、スタッフの皆さま。こんばんは。
恥ずかしながら岸田袈裟さんを存じ上げませんでした。調べましたら、本当に凄い方。
…栄養学とカマド(水と食事)。まさに女性ならではの能力と行動。
何故ここまで他者に尽くせるか…少しでも岸田さんから学びたい。
まだまだ、お若かったのに。ツラい。ご冥福を祈ります。
投稿情報: 井上彩 | 2010/03/08 23:42
お忙しい中、お別れの会にもご出席されたのですね。
私も、もう20年も前になりますが、岸田袈裟さんにお会いして竈のことなどいろんなお話を伺って記事にしたことがあり、深く心に残る方でした。
克也さんの誠実なお働きぶり、心から応援しています。どうぞお体を大切になさってくださいね。
投稿情報: 珠 | 2010/04/11 21:32