イランのモッタキ外務大臣が急遽日本に来られて、夕食をとりながら、約2時間にわたって議論をしました。
特に機微に触れるところは少人数で議論しましたが、モッタキ外相が来られた理由は「制裁」に関してです。つまり、イランが核兵器を持とうとしているのではないかという疑惑について、ずっとこの問題は話し合ってきましたが、私も、民主党代表を辞めたあとにイランに渡ったときにも、モッタキさんと議論になりましたが、いよいよ「制裁」が大詰めになってきたということで、関係国を回っているわけです。
特にモッタキ外相が主張されたことは、最近、トルコ、ブラジル、イランの3カ国で「テヘラン合意」が出来たが、それは、ここ数年議論してきたイランが持っている低濃縮ウランを海外に出し、加工して――これは、アイソトープ用に使うものですが――20%まで濃度を上げ、特別な加工をしてからイランに戻して使うという合意が3カ国間で出来たので、制裁の必要性はなくなったというのがイランの主張です。そして、「この間、アメリカもこのことについて賛成してきたのではないか」ということです。
私は、「信頼醸成措置として重要なことであるから、是非、このテヘラン合意はやってほしい。ただ、だからと言って、制裁の問題がそれでなくなるということではない。なぜなら、ウランの20%濃縮をいまでも続けている。それをやめない限り、制裁は避けられない。したがって、イランおよびイラン国民の将来を考えたときに、ここは大きな決断をして、20%濃縮を直ちにやめるべきだ。そうでなければ、制裁になって、大変な苦しみを国民に与えることになる」と申し上げました。
かなり突っ込んだ激しいやり取りになりましたが、お互いの溝は埋められないまま、会談は終わりました。
モッタキ外務大臣もハイレベルの指示に基づいて日本に来られたわけですから、簡単にお互いが合意に達することは出来ないことは、最初からわかっていました。ただ、私としては、重要なイランの外務大臣、しかも、前から知っているモッタキさんが是非会いたいということでしたから、時間を割いてお会いをして、「是非大きな決断をしてもらいたい」と申し上げたところです。
全体の議論が終わったあと、車までの1分くらいの間ですが、モッタキさんが「子どもは何人いるか」と聞いてきました。私も、モッタキさんのご子息が、いま、日本で学んでおられることを知っていましたので、少しその話をしました。
モッタキさんは外相をやる前に、5年間日本でイラン大使をしておられたので、ご家族も日本には親しみをお持ちです。
外務大臣同士がそれぞれ国を背負って厳しい議論をしたあと、そういったプライベートな話をお互いして、「国の考え方はそれぞれ大きく違うけれど、個人的な信頼関係は大事にしていこう」というサインであると、私は受け取りました。
同い年でもあるモッタキ外務大臣が、イランにとって大変厳しい状況の中で、しっかりと役割を果たしていかれることを期待したいと思います。
ここ、ほんの数日で色々なことが起きてしまいました。
ですがまず、モッタキ外相のことについて書かせていただきます。特にさらにお忙しい中、岡田外務大臣がお会いになるということで、大変だなあ、という気持ちと、どうなるのかドキドキする気持ちでおりました。
何のための来日なのか、ということについて、結局冷静に考えれば、トルコ・ブラジルの間の合意についてのご報告にとどまるのかな、、と思っておりましたら、岡田さんが前に話されていた「制裁の中止」に関するお話そのものだったのですね。内容は、岡田さんが激しく反論せざるを得ない残念なお話なのですけれど、モッタキさんが日本にいらして、そのお話をされたということ自体は、逆にとても直接的で透明でいいなあ、、とも思いました。
心配だったのは、対話失敗の結果である「制裁」、にまで至った時、次に交渉の場を持とうという時、どんな形でそこまで持って行かれるのか、対話要請に対して、制裁の対象となった国がそんなに簡単に応じられるものなのか、という事だったので、逆にきちんとご本人が来られてお話をしてくださるなんて、とてもいいことだと思いました。
そして、岡田さんも、堂々と従来の姿勢を貫かれ、それでいて勿論ちゃんと繋がりを保とうとされていて、本当に素晴らしいと思いました。
こういう、自分達の意見をしっかり言い、相手の言葉も聞きながら、最後には感情的に収めて、次にまた会う時を待つ、、という、冷静で大人の外交が実際なされるお話を聞けるのは、なんだか嬉しいです!個人的に親しい間柄であるということが、またそれを容易にするというのならば、外交における鳩山総理の「友愛」の力が、また一つ実証されたことになりましたね、、。
本当に、この外交についての「友愛」については、良い結果の為に最も現実的でもある、素晴らしい理念と思う気持ちは、これからも変わらないと思います。
鳩山総理、大変にお疲れ様でした、、。先月20日の、第16回国際交流会議「アジアの未来」の総理のスピーチを読んで、「鳩山総理にしか書けない種類の、心を打つスピーチ」と、思っておりました。昨日の記者会見も、ご立派でしたね。テレビでの街の声も、皆さん寂しそうな方が多かったです。
最後の最後まで、内閣の皆さんが支えようとされていた姿も、国民が民主党の方々の本来の「信頼できる、知性と心ある」姿を再認識したのではないかと私は思っています。野党とマスコミは、相変わらずの騒ぎですが。
また明日になると、さらに世界が変わってしまっているのですね。
あれやこれや考えて、非常にドキドキしていますが、明日になるまで大人しく待っています。
投稿情報: レイ | 2010/06/03 13:56
今後の民主党のため、岡田さんのため、世界の多くの方との人脈を形成してください。
投稿情報: kassais | 2010/06/04 17:07
イランはイスラム国ですが、アラブ民族ではなく、イスラム教についてもアラブの主流の宗派とは別です。
それだけに、米国に屈しないことで中東におけるステータスを守ろうとしているように思われます。
しかし、アメリカはそういうイランのプライドは認めない。
北朝鮮には中国という大勢力が背後にありますが、イランの背後のロシアはあてにならない。
そこで、イランは防諜活動に力を入れる。北朝鮮以上に工作活動に力を入れざるを得ないのでしょう。
イラン問題に日本が米国との仲介役として介入できるかどうか分かりませんが、そういう方向に進むべきでしょう。
まあ、菅内閣も日米友好という基本はしっかり守ってほしいものです。
投稿情報: 一国民 | 2010/06/04 22:40
はじめまして。
昔から岡田さんのファンです。外務大臣になられてからは、以前よりお疲れの様子で…心配です。外務大臣再任ですね。お身体に気をつけて、頑張ってください。
投稿情報: 山本真由美 | 2010/06/07 01:28