今日(9月13日)、米国人の元戦争捕虜(通称POW=Prisoner of War)の皆さんが日本政府の招待でお見えになり、6名の元捕虜の方とその親族や同行の方と外務大臣の面会が実現しました。
冒頭私からは、米国のPOWに対する日本への招聘が他の国々に比べて遅れたこと、そして何より、捕虜としての虐待や厳しい非人道的な扱いがあったことについて、外務大臣として日本政府を代表し、心からのお詫びを申し上げました。
このPOWの皆さんは、ほとんどがもう90歳かそれ以上で、戦争時代に捕虜になって、それぞれの各地域や日本に連れてこられました。そして、工場などで厳しい強制労働を強いられ、かなりの方が亡くなりましたが、今回招聘された皆さんは、生き延びて米国へ帰られた皆さんです。
65年間の思いを抑えることが出来ず、感情を露わにされた方が多かったのですが、そのお話を聞かせていただきながら、私は、「同盟国である米国の皆さんが、これだけの日本に対する思いを持って65年間生きてこられた。もっと早く、日本国政府として何とかできなかったのか」という気持ちがしてなりませんでした。
もちろん、この元捕虜の皆さんは大変厳しいことをおっしゃいましたが、同時に、頻繁に日本に来て日本人の若者との交流を続けておられる方や、あるいは、会合が終わったあと一緒に写真を撮ったのですが、そのあとに、わざわざ私に対して「非常に過酷な日本兵もいたけど、優しい素晴らしい日本兵もいた」ということを語ってくれた方もいました。
いずれにしても、彼らは強制労働を強いたとされる企業に対して、それぞれ謝罪を求めています。私の立場からは、最終的には個々の企業が判断することであるという答えを返すしかありませんでした。
しかし、戦時中とはいえ、本当に過酷な労働を強いたことに対して、少なくとも日本国政府としては、その捕虜の扱いの問題について、お詫びを申し上げなければなりません。
そして、そういうことがあったということを、日本人1人ひとりがきちんと認識しなければならないことを、改めて感じた次第です。
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65年間の思いを抑えることが出来ず、感情を露わにされた方が多かったのですが、そのお話を聞かせていただきながら、私は、「同盟国である米国の皆さんが、これだけの日本に対する思いを持って65年間生きてこられた。もっと早く、日本国政府として何とかできなかったのか」という気持ちがしてなりませんでした。
もちろん、この元捕虜の皆さんは大変厳しいことをおっしゃいましたが、同時に、頻繁に日本に来て日本人の若者との交流を続けておられる方や、あるいは、会合が終わったあと一緒に写真を撮ったのですが、そのあとに、わざわざ私に対して「非常に過酷な日本兵もいたけど、優しい素晴らしい日本兵もいた」ということを語ってくれた方もいました。
いずれにしても、彼らは強制労働を強いたとされる企業に対して、それぞれ謝罪を求めています。私の立場からは、最終的には個々の企業が判断することであるという答えを返すしかありませんでした。
しかし、戦時中とはいえ、本当に過酷な労働を強いたことに対して、少なくとも日本国政府としては、その捕虜の扱いの問題について、お詫びを申し上げなければなりません。
そして、そういうことがあったということを、日本人1人ひとりがきちんと認識しなければならないことを、改めて感じた次第です。
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2,3お聞きしたい事がありましたのでコメントさせていただきます。
まず1点目は戦争犯罪という面ですが、終戦後において戦勝国がこれまでに無い罪状を訴え裁判になった経緯に対してどのようなお考えをお持ちなのでしょうか?
2点目の質問ですが、戦勝国の戦争犯罪(非戦闘員、別な言い方をしますと一般市民への虐殺)についてどのようなお考えをお持ちなのでしょうか?また、それらの罪を犯した戦勝国に対して日本は何も言えないのでしょうか?
別に私は右翼でも左翼でもなく単なる疑問を感じましたので、
岡田先生のご意見をお聞きできればと思いコメントを書きました。
投稿情報: 堀田 二郎 | 2010/09/13 21:31
「戦争は、人間を人間でないものとする」ということを、戦争を経験された方々がおっしゃるのを聞きますが、それこそがまさに、私が戦争を恐怖する理由の中枢にあります。
死、暴力、の恐ろしさをさらに超えて、同じ人間によって、人間としての尊厳を根こそぎ剥奪され尽くすことほど恐ろしいことはありません。人間を、同じ人間が人間扱いしない、人間扱いできない状態にしてしまう---それこそが戦争の最も大きな大罪だと思います。
そして、そうした最も大きな被害にあわされながら、どんな場合でも、「戦争だったから」ということで、特別な労力をさらに自ら払わない限り、その苦しみのその先の行き場も奪われてしまう、、。これもまた、戦争の恐ろしさの一つです。
そして、そうした戦時における人のあり方に対して、「人間の本来の本質が出たものだ」と言ったり、「人間は本来、戦争をする生き物なのだ」と言ったりすることも、今までよく聞いてきましたが、私は「それは、違うな、、」と最近はっきりと思うようになりました。
一見逆のことを言うようですが、戦争は、一度始まってしまえば、どうあってもそういう人間性消失の状態に行き着くものだと思います。「正当防衛」や「被害を受けた被害者家族の気持ち」を強く認めるとなれば、それをそのまま戦時状態に持ち込めば、必然的にそうした結果に行き着いてしまうものだと思います。
「絶対に自分達の仲間や家族の安全を守る為、または彼らへの暴力・殺害を罰する為に」他者を非人間的に扱うこと・死亡させることが許されているのであれば、そういう結果に自然になってしまいます。
そして、そういうことが許されている戦時の無秩序な混乱状態のままに、そうした理由からは外れているかもしれない人々でも、「念のため」に攻撃してしまう、、ということが残念ながら起きてしまうことも、嫌なことですが想像できることです。
そして、これらのことは、上記の「人間とは本来残虐であり、本質的に戦争をする生き物である」、ということを、実は全く示していないと思います。
問題は、「戦争を開始すること」にあると思います。一度始まったら、誰もが前述のような手順と理由で、自らと自らの愛するものの為に、他者にとっては何よりも人間としての愛を絶った存在へとなってしまい得るのです。
勿論、岡田さんのお話にあったように、そんな中でも人間性を失わない、素晴らしい方もいらっしゃるでしょう。けれど、そんな方ですら、戦争のシステムの中では、被害にあっている方々を、救いきることなど、殆どできません。
戦争は、人間一人一人から、そうした恐ろしいシステムの中で、全ての権利と尊重されるべき個としての存在を奪い去ってしまいますが、戦争が終わった後、それらを取り戻す必要があり、勇気を持ってそれを自ら訴える人たちがいるのなら、、、私たちは国を超え、立場を超え、このときこそ全てのそうした個々の人々の声にしっかりと耳を傾け、彼ら自身を取り戻す為に力を尽くすべきなのだと思います。
そうした声を跳ねのけることは、どんな理由があったとしても、その人たちにさらなる苦しみを味あわせ、いつまでもその方たちに戦争を覗かせたままにしておく扉を閉じさせないという恐ろしい行為です。
戦争を直接経験しない私たちまでもが、戦争---人間の人間性や個としての尊厳を奪い去るもの---にそのような形で加担するべきではありません。岡田さんは今回の謝罪によって、戦争の中の一つの閉じるべき扉をまた一つ、閉じられましたね。岡田さんのおかげで、沢山の扉が閉じられてきました、、。可能ならば、全ての扉が閉じるべく、さまざまな国の人々も心を砕いてくれれば、、と祈りたい気持ちです。
投稿情報: レイ | 2010/09/13 23:59
元捕虜の方の、「私たちが死んでいき、問題が風化されるのを待っている日本はずるい」という言葉が心につきささりました。
これは、アメリカ人の捕虜に対する態度のみならず、アジアで侵略の被害を受けた人に対する日本の姿勢にもつながるものがあると言えると思います。
「戦争中の人道に反する行為は日本のみならず多くの国がやっていたことだから、日本の加害の側面だけ取り上げるのはおかしい」という方もいらっしゃいますが、自国が行ったことも知らずに自分の国を誇る心は持てないと思います。
その意味で、今回の謝罪が実現したことを嬉しく思います。
投稿情報: 江口優子 | 2010/09/14 10:54
日本は被害国だとばかり思っていたので、事実を知ってびっくりです。捕虜になって辛い思いをされたのは日本人ばかりではないのですね。戦争が憎いです。
65年経って、もう亡くなられた方も多いかと思います。心残りのまま天国で暮らしているかと思うと、心苦しいです。
せめて今生きておられる方達には、企業側から誠心誠意謝罪をして欲しいです。
みんなそうだった時代だとは言え、悪いことは悪いのですし。
残りの人生が、より楽しく幸せな人生になってほしいと思います。
投稿情報: いいちこ | 2010/09/14 13:33
いつもお疲れ様です。政治家の中で岡田大臣は国民のために働いてくださっていると信頼しています。
今回、少し 反論してみたいと思います。
おしゃっていることは よく理解できます。しかし、戦争に負けた日本は謝り続けているような気がします。戦後数年ならともかくそれが 戦後65年も過ぎて 戦争を知らない 言い換えれば戦争責任がない世代になっても 「お前たち日本人は悪い」と外国も日本人でさえ言い続けて、日本の若い世代が世界に対して自信がなく、覇気も無くなっているのはどんなものでしょう?
一方世界は 原爆を落としたアメリカも 敗戦が決定的になった日本に不法な侵略をした旧ソ連も日本に謝ってはいません。ヨーロッパの国々は昔侵略をしたではありませんか。中国でも近隣アジアの国に不当な侵略まがいのことを現にしているではありませんか。それらは決して良いことではありません。それはわかっています。しかし、謝ってばかりいる日本は諸外国の「いいカモ」になっているのではありませんか?
なりより 日本の若者が胸を張って生きていけないのではないでしょうか。
投稿情報: ひとみ応援しています | 2010/09/14 22:50
岡田殿
今回の「外務大臣」としてのこの行動には全く賛成できない。
多くの国民はなぜ、国を代表して謝罪しなければならないのか?疑問に思っています。
外務大臣が会わずに、外務省の職員でいいではないですか。
あなたは、外務大臣として、米国に対し、原爆の謝罪を求めましたか?ロシアに対して自国民の捕虜の処遇に対し謝罪を求めましたか?
戦争で苦しんだのは、どちらの国民も同じなのです。あなたはまだ存命のわが国兵士のかたの気持ちを考えた事がありますか?
このような態度で外務大臣の職にあたるとは、あきれます。
沖縄の基地移転の件でも、外務大臣として沖縄の国民の声をたいして交渉しているのですか?
私には、弱腰にしか見えません。
あなたは、日本の国益を代表して外務大臣であることを本当に再認識してください。
今回でもう外務大臣をおやめになると思いますが、私は大賛成です。
この一年、あなたは何を実績として残せたのでしょう。機密文書の公開等は、交渉力が必要とされるものではありませんよね。ほんとに、「国益を代表してタフな交渉」をされたのか?私は疑問を持っています。
私は、この一年間かげながらあなたを応援していましたが、途中から疑問を感じました。今回の件でそれは決定的となりました。
お疲れ様でした。
投稿情報: 田中 完三 | 2010/09/16 11:33
日本人には諸行無常の精神で過ぎてしまったことは(被害者でも加害者でも)水に流そうという考え方があり、それが大戦時の被害者や被害国との間に誤解のようなものを生じているところもあると思います。過去に他国あるいは他人に対して迷惑をかけたことについては何度でも真摯にお詫びすることが、国家であっても個人であっても正しい道だと思います。(但し中国や韓国と異なり欧米諸国は戦後日本を7年間占領下におき
1000人のBC級戦犯を死刑にしてきたことは忘れてはならない。)もう一つ大事なことは
お詫びすることは大切なことだが、相手からのお詫びも堂々と要求しなければいけないことだと思います。シベリアの強制労働もそうだが、原爆投下や東京大空襲は軍事基地が目的ではない老若男女を対象もした無差別殺人です。大体、原爆投下を未だに祝している国と友人でいること自体恥ずかしいことだと日本人は悟るべきだ。(かく言う私も米国を第二の故郷だと思っているところが苦しいところです。)謝ることは相手から言われなくても積極的に謝る。但し謝罪を要求することはきちりと要求する。そんな国でありたいと思っています。皆さん、そう思いませんか?
投稿情報: y浦野 | 2010/09/16 16:08
毎日ブログ楽しみにしています!
これからも頑張って下さい!
投稿情報: 夜叉 | 2010/10/09 18:03