先般、私の地元である桑名市旧多度町の多度大社で行われている「上げ馬神事」について新聞に記事が載っていました。
「上げ馬神事」とは、各地区単位で選ばれた馬が坂道を駆け上がって、一定の高台まで達するかどうかを競うものです。ゴールデンウィーク(連休)中に行われ、大変長く行われている歴史ある神事です。
塀を乗り越えるような形で高台まで達する馬が多ければ、その年は豊作であるということです。
この「上げ馬神事」ですが、馬を興奮させるために、蹴ったりといった行為が行われ、関係者が書類送検されたことが記事になっていました。もちろん、動物に対して必要以上に殴ったり蹴ったりといった行為は、動物愛護の観点から望ましいことではありません。
そのことを踏まえながら、この「上げ馬神事」は歴史のある行事であり、例えば、騎手に選ばれた少年は一定期間体を清めて生活することを求められますし、そして、馬に乗って坂を駆け上がるのですが、そのときに、なかなか馬も怖気づいてしまうので、いろいろな刺激を与えることが昔から行われてきました。
それが、時代も変わり、あまりにも度が過ぎるということで、今回の書類送検になったのかと思いますが、もちろん、その馬が坂を駆け上がるのに、あまり強く殴ったり蹴ったりすれば、かえって馬が傷んでしまうので、それは一定の範囲のなかで行われたのではないかとも思えます。
どこまでが法に触れることになるかというのは、非常に難しい問題です。例えば、競馬では馬に鞭(ムチ)をあてます。これを、法に触れると言う人はいないと思います。
微妙な問題ですが、いままで歴史的に長く続いてきたことについて、是非、良識で判断していただきたいと思います。この「上げ馬神事」の当日には何万人という多くの方が来られて、馬が坂を駆け上がるのを見て喜ばれます。そういう行事だけに、関係者の皆さんはそれぞれ真剣に馬を大切にし、騎手を選び、毎年町を挙げて活動しています。
新聞を見ていて、いかにも虐待をしていると受け取られたりすると、その伝統的な行事に水を差すことにならなければいいなと思っています。
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上げ馬神事は、テレビで何度か見たことがありますが、確かに、見慣れていないと、馬が痛くないのかな!?と思う瞬間もあった気がしますが、伝統や日本の大地の力などを強く感じさせる行事だなあ、と思っていました。
馬を叩いたりの度が過ぎては問題ですが、そうした監視も度が過ぎては逆に日本中から力のようなものが抜き去られてしまって、無菌状態にさらされ続けて免疫力がなくなり、色々と弱体化してしまうような気もしてしまいますね、、。
そういう伝統の行事やお祭りに関わったことが私には残念ながらありませんが、子どものころからそういうお祭りに参加している人たちの中には、一年間、その自分達のお祭りのことだけを楽しみに生活している、、という人たちもいるとのことです。きっと、そういう方達は、お祭りの晴れの日だけでなく、日常生活でも自分達の住んでいるところに誇りや愛着を持って過ごしていけるのではないでしょうか。そういう意味でも日本各地のそれぞれの土地固有のお祭りは本当に素晴らしくて、大きな意味がありますね。
ずっと、そういう行事は、守り続けて行って欲しいですね。
投稿情報: レイ | 2011/07/06 21:39
私がよく子どもに言う事ですが”いろいろな出来事を主観的にとらえる事、そして自分の行動を客観的に判断する事”が高度情報化社会では大切ではないでしょうか。どんな目的で発信された情報なのか、自分が発信する立場になって考えてみるのも面白い事だと思います。
投稿情報: baryon | 2011/07/07 04:40
ニュースで男性数名が一頭の嫌がる馬の腹や尻を殴っている実際の映像を見ました。「馬をつくる」という名目で興奮させることが目的のようですが、映像ではこれは虐待ととられてもおかしくないくらい目を覆いたくなるようなものでした。今回5名が書類送検されたとのことですが、あの映像を見る限り当然だと思います。子供よりペットの数の方が多い動物愛護の進んだこの時代に、皆が楽しみにしている伝統行事ですし、馬が犠牲にならない祭りの運営方法を考えていかなければ継続は難しいのではないでしょうか。
投稿情報: 横山 羽月 | 2011/07/08 14:23
私は新聞を読んで上げ馬神事の事が気になった乗馬をしている者です。上げ馬神事の事ですが 古来では日本の馬を使っていましたが現代はサラブレットを使っています。馬の種類に応じて壁の高さ、角度を緩やかなものにしないと大変危険です。私は画像だけしか見ていませんがあのような乗り方をしていると騎手である少年にかならず大惨事がおきます。もっと馬の事を知ってから意見を言ってほしいです。落馬をして死亡、首から下が麻痺という大惨事になりますよ。また、競馬の鞭は名前は鞭ですがやわらかな素材を使用していますので馬にとってはまったく痛くないです。上げ馬のいろいろな画像をネットでみましたが気持ち良いものではないです。私の娘は馬がかわいそうと言います。この意見が一般的ではないでしょうか?それとも桑名市の皆様はあのような画像を見てなんとも思わないのでしょうか?人も動物も危険ではないように改善する方が良いと思うのですが私や娘がおかしいのでしょうか?
投稿情報: 高橋さやか | 2011/07/08 16:15
去年、一昨年と馬が死んでいる猪名部神社では、今年は安全対策を強化して人馬ともに大怪我はなかったようです。
「祭りなんだから・・・」ですませてしまいがちですが、避けれる事故は避けるように努力するべきだと思います。
ところで、このお祭りは昔は農耕馬を使っての神事だったのではないでしょうか?
農業に関係ないガラスの足のサラブレッドをなぜ使うのでしょう?神社で神事用の農耕馬を飼育できれば一番いいのにって思うのですが、予算の関係で難しいのでしょうか?
投稿情報: あき | 2011/07/13 03:38
私も高橋さんと同意見です。私はモルガン種の馬の馬主で、馬場馬術を習う傍ら、Equine Sports Massage Therapyの資格を取る為に勉強をしています。馬と共に生活し、馬を知る者として、現在の上げ馬神事のあり方は馬や騎手の少年達, そして祭り参加者にとって非常に危険だと感じます。近年のEquestrian Industryはショー要素を重視するあまり、馬に早い時期から必要以上の負担を強いる練習や競技等を行い、最終的に馬の体を壊してしまう傾向が増えつつあります。残念ながら上げ馬神事もその傾向があると感じます。
本来、馬はあの様な斜面をあの勢いで駆け上がる事はしません。(急な斜面を登る事は出来ますが、足元をかなり注意しながら登っていきます。)馬が山を駆け上がった時に大勢で馬の馬勒や手綱を掴み、馬を引き上げています。これは馬がハミで口を切ったり、歯を折ったりする可能性があります。最後に「馬への刺激」ですが、これは乗っている馬を一番よく知る騎手が行うべきものであり、大勢で馬を囲んで行うものではありません。騎手にとっても、回りの人間にも危険です。
800年の伝統のある神事をやめろとは勿論いいませんが、もう少し馬、騎手の少年たち、そして祭り参加者の安全面を見直すべきではないでしょうか?
投稿情報: 鈴木葉月 | 2011/11/03 06:49
上げ馬神事の問題点は、急すぎる傾斜と高すぎる壁だと思います。
つまり、馬が危険を感じて立ち止まることが分かっているからこそ、興奮させて突進させなければなりません。
検証すべきは「伝統文化」としてや「虐待の有無」ではなく、馬に行わせる競技として人や馬に危険があるかないかに重きを置くべきではないでしょうか。
また、使用する馬についても、廃用馬を祭りだけに使用する方法ではなく、地域できちんと飼養管理し、人も馬も訓練し、伝統文化として内外に恥じぬ形に改善すべきでしょう。
恐らく、傾斜や壁の高さの改善は必要でしょう。
馬術の障害飛越等の専門家で検証して頂き指示に従うべきではないでしょうか。
投稿情報: 山田佐代子 | 2011/11/07 22:04